岡村友哉の日経225ここだけの話

岡村友哉がお届けする一週間の予想レンジと市況情報。

2017/03/21 16:12「内憂外患」も日経225は大崩れ回避?

日経225 現物指数 終値19521.59円(3月17日)
安値19454.17円(3月16日)/高値19656.48円(3月13日)

(日経225 日足チャート 25日線付)
期間:2016/1/1~2017/3/17
 
(出所:Bloomberg)

(先週の振り返り)

 “スーパー・イベント・ウィーク”として身構えられていた先週でしたが、各種イベントはいずれも市場想定通りの結果。これを消化していった日経225は・・・あまり下がりませんでした、米ドル/円が2円近くも下落したにもかかわらず・・・。後講釈で解説することすら難しい相場ですが、売買が盛り上がってないことは一目瞭然。積極的に上値を買う主体が不在なのは変わりませんが、小幅な押し目でも買ってくる日銀の存在を考えると積極的にショートで攻める主体も消えてしまったのでしょう。荒れそうと言われていた先週ですが、日経225の上下値幅は202円程度(指数で1%強の変動率)に終わりました。

 週初13日(月)は、前週末の上昇の余韻から始まった印象。強い雇用統計が出尽くし的に米ドル/円下落で反応したほか、ロス商務長官の「日本が(貿易協定の優先順位で)極めて高い優先案件」発言も円高要因となり、為替サイドからのフォローは無し。その中で、朝一番ではショートスクイーズを相当誘発するような形(先物主導)で昨年来高値を更新します。ただ、見せ場は開始1時間だけ。その後はイベント前にあえてリスクをとりにいくムードは皆無。午前10時から東京時間のラストまで、日経225は上下値幅40円程度でこう着感を強めました。なお、この日の前場のTOPIXの下落率は0.15%安で、日銀はETF買いを見送っていました。

 14日(火)は、前日の欧米株に大きな動きが無かったものの、気にされたのは原油安。2月にサウジアラビアが原油を増産していたとOPECが公表したこともあり、NY原油が7営業日続落。およそ3カ月ぶりの安値を連日で更新したほか、銅などのコモディティ全般が下落していました。また、週末に控えるG20において、米国が「保護主義への対抗」という言い回しの削除を求めるとの報道も目立ち始めました。これも米ドル/円の上値を抑える背景となっていたように思われます。とはいえ、だから下がるというわけでもなく・・・、日経225は動かないだけ。現物市場のこの日の売買代金は、終日で1兆7800億円程度(決算再延期のドタバタ劇があった東芝1銘柄で900億円出来ていたにもかかわらず)。上下値幅は37.93円と、2014年9月1日以来の狭さでした。翌15日(水)も同様。原油安を嫌気して日本株は安く始まるも、この日は上昇が目立っていた新興市場(マザーズなど)が午後に急落。このタイミングで小型株から大型株へと一部資金移動が起きるような展開になって、結局は小幅安で終えました。

 そして、この日こそ動くだろうと多くのプレーヤーが身構えていた3月16日(木)。まず織り込まないといけなかったのがFOMC。今回、市場で予想されていた通り0.25%の追加利上げが決定しました。焦点になっていた年内の利上げ回数については、昨年12月時点と同じ「あと2回利上げ」のままでした。プレーヤーの中に「あと3回」を想定していた向きが多かったのか、マーケットの反応はこうでした(市場関係者も概ねハト派的と解釈していましたが、時間が経過するとタカ派的と指摘する声が多くなっています)。米ドル/円は売られ、米長期金利は低下。原油や金が買い戻され、株は大きめに上昇、新興国の株や通貨も買われ、まさに巻き戻しの形に。これ自体は日経225にはネガティブでしたが、続いて気にされていたのがオランダの議会選挙。こちらは、東京時間が始まる前から極右政党の自由党の議席が伸びず、「今後のフランスの選挙への影響も小さくなりそう」と伝わったことがポジティブ要因に。安く始まったあと急速に戻せたのは、「オランダの選挙がマーケットにとって好結果になったため」と言われていました。さらに、前場のTOPIX下落率は0.13%と小幅だったのですが、午後に日銀がETF買いを実施。これも需給面でプラスに働いて、まさかの前日比プラスでこの日を終了します。

 3連休を前にした週末17日(金)は、注目されるG20を前に様子見ムードが継続。米ドル/円で前週比2円近く円高になりながらも下げない日経225に対し、「上値は重いけど、もう下げないんじゃないか」と口にするディーラーの声もこの時点で聞かれました。3月の期末に向けて需給が改善しそうな中、円高でも、森友学園問題が政治リスクな気はしても、下げないなら売る理由はない。そんな空気が強いまま週末の取引を終了。繰り返しになりますが、前週比で約2円も円高になりながら、日経225は前週比83円安で踏み止まった“ある意味すごい強い週”でした。

(今週の見通し)

 注目されたG20では、事前の報道通り「保護主義に対抗する」という言い回しが削除されました。一方、通貨問題に関する声明文は維持され、米ドル安誘導に動くのでは?という懸念は杞憂に。それでも、米ドル/円は112円50銭辺りと下落しており、3連休前の週末と比べてさらに1円の円高です。スーパー・イベント・ウィークのラストを飾るG20を通過しても、米ドル/円は結局下落し、3月安値を更新。それでも、大きく崩れない日経225に対し、違和感を覚えているプレーヤーに溢れています。ただ、大きく崩れないから売りで攻めない短期筋は多くなっています。少々下げても、随時、日銀ETF買いで支える構図もみんな見えているからです。リスクをとって売りで動くのも無駄、かといっても上値を買うのも無駄。そんな空気が市場に強く流れています。

 先週末にCFTCが公表した投機筋の先物建玉からは、こんなことが見えました。3月14日(火)時点の建玉ですので、FOMC直前。このタイミングに向けたヘッジファンドの動きとしては、対米ドルで円のショートポジションが増えていました。一方、米10年債先物の買い戻し(米長期金利の低下要因)が急激に進んでいました。また、対ドルでメキシコペソのショートポジションが大きく買い戻され、米大統領選挙前の水準にメキシコペソは上昇。日米金利差の拡大を想定した円売りに対し、強烈な米債券買い戻しやメキシコペソ買い戻し(含めた新興国株や通貨の買い戻し)が同時進行していたわけです。その結果として円高に振れていたわけで、トランプラリーの巻き戻しの動きが日米金利差に勝っているとも解釈できます。

 先週末、FBIのコミー長官がトランプ政権とロシア政府の関係性を調査していると発言。米国内では、トランプ大統領の支持率が低下しているようです。先週発表された予算方針も、「春」に公表予定と記述され、税制改革等の方針確認は5月頃まで待つ必要があるようです(以前、2~3週間のうちに驚異的な減税策を発表すると発言していたように記憶していますが・・・)。盛り上がり過ぎたトランプラリーの処理(アンワインド)がどの程度続くのかは気にしておくべきでしょう。原油が軟調で、これもさらに進むと「中東のウェルスファンドが株を売るのでは?」といった思惑を生むかもしれない点で株にはマイナス。

 また、支持率低下といえば・・・日本も同じですよね。連日メディアが取り上げ、国民レベルで注目の的になっている森友学園問題ですが、株式市場がこれをリスクと意識し始めたのは先週の後半くらいからです。籠池氏が小学校の建設費について「安倍首相の寄付金が入っている」と発言、今週23日の衆参予算委員会で証人喚問が注目されています。こちらについての私見は避けますが、3月に入って内閣支持率が低下傾向にあります。では、なぜ日経225はこのリスクを気にしていないような動きなのか?でいえば、外国人投資家のほとんどが知らない(興味がない)からだと思われます。そのため、証人喚問後に安倍首相に対する疑惑が晴れても、これをリスクシナリオとしてトレードしている海外勢が極めて少ないと見られるため反応も限られるでしょう。逆に、(確率は低そうですが)安倍政権を揺るがす展開にここから発展した場合、そのときに日経225、米ドル/円とも下落圧力が目に見えてかかってくる話だと思います。“内憂外患”といった状況ですが、冒頭の通りで、月末にかけた需給改善など期待しながら、大崩れは回避できるとの見方を継続。今週の想定レンジは19200円~19700円に、今後1カ月のレンジは19000円~20000円とします。


(おしまい)

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