岡村友哉の日経225ここだけの話

岡村友哉がお届けする一週間の予想レンジと市況情報。

2017/03/13 15:12日経平均2万円奪回の可能性は?

日経225 現物指数 終値 19604.61円(3月10日)
安値19198.78円(3月8日)/高値19623.72円(3月10日)

(日経225 日足チャート 25日線付)
期間:2016/1/1~2017/3/10
 
(出所:Bloomberg)

(先週の振り返り)

 3月利上げを織り込みにいく債券市場、金利上昇への感応度が明らかに鈍い為替市場、為替に受け身がゆえに動きが鈍い日本株市場・・・。国内機関投資家の売りに押されジワジワ水準を切り下げていた日経225でしたが、為替市場がようやく壁を先週末に乗り越えたことで、途端に息吹を吹き返しました。週末高で、これで3週連続、週間では上昇となっています(上がらないという感覚とは裏腹に、下がらない相場というのが表現としては適切かもしれません)。週末終値は、終値ベースで1月4日の大発会を上回り、年初来高値を更新しました。

 イエレンFRB議長が3月利上げを明言しても、米ドル/円は115円手前で打ち返され・・・、米ドル/円の先高期待がかなり後退した雰囲気から始まった先週。その週初いきなり、北朝鮮による4発ものミサイル発射が伝わり、一時113円台後半に米ドル/円が下落します。基本的に為替以外に日経225先物が反応しなくなっていたこともあり、取引開始直後は為替に連動して下げ幅をやや広げました。その後は落ち着くも、週末の先物のSQを控え、メインプレーヤーはロールオーバー(3月限→6月限)が中心。TOPIXの買い建玉が最大であるゴールドマン・サックス(以下GS)のロングロール(3月限を売り、6月限を買う)が立会内、立会外ともに目立っていました。翌7日(火)も非常に緩やかながら水準を切り下げた1日に。この日も先物のメインプレーヤーはロールオーバーが中心。そのなかで、日経225は朝早い段階で安値19320円、高値19380円を付け、その値幅内で終日方向感を失う展開に。日経225先物の上下値幅はわずか60円と、値幅の狭さでは今年1番となりました。8日(水)も同様に軟調で、この日の午前中に日経225は今週の安値19198円を付ける場面もありました。

 少しずつ下げながら週前半を終えた日経225でしたが、週後半は連日の米ドル/円の上昇を受け、ギャップアップが続きます。まず9日(木)。前日に発表された2月のADP雇用統計結果が文句無しの強い数字でした。市場予想は約19万人増でしたが、29.8万人増と大幅上ブレ。「週末の雇用統計も強そう」「3月利上げは鉄板だろう」を織り込む形で米長期金利は2.589%まで上昇。米ドル/円も買われ、前の週のイエレン議長講演直後に付けた高値114.74円まで上昇します。前日と比べた円安を理由に日経225も高く始まったのですが、この時点でも米ドル/円の重たいイメージはより濃くなっていました。文句無しの米ドル買い理由でも、それでも115円手前で打ち返されたわけで・・・鬼門の115円を超えて米ドル高機運が復活するまで、日経225は買えないという声がほとんどでした。それが雇用統計後なのか?それともFOMC後なのか?結局は様子見ムードが東京市場を支配していました。

 その鬼門の115円突破に成功したのが週末10日(金)。米金利上昇の流れを受け継ぎ、長期金利は9日連続の上昇で約2年半ぶりとなる2.61%の水準に。各アセットに対する資金の流出入も目に見えて変化してきました。米国株への資金流入は一旦ストップ、4日続落の原油(節目の50ドル割れ)からは流出、金利上昇を受けて金(一時節目の1200ドル割れ)からも流出。東京時間が始まると115円台に乗せ、雇用統計やFOMCを待たず、鬼門の115円台を付けたことで日経225は一気にムードを好転させました。また、この日は3月メジャーSQでした。SQ値は19434.30円。SQに関連する注文は、日経225型で36億円売り越しだったようで、ややSQ要因で安めに寄り付く日経225採用銘柄が多かったことになります。115円の壁突破直後ということもあり、19500円目安に動いていた向きが「安く寄り付いた値がさ株(ファーストリテイリングなど)にすかさず買いを入れた」動きもあり、買い戻しも巻き込みながら上げ幅を拡大。メジャーSQ日とはいえ、東証1部の売買代金は2兆9483億円と今年最高になりました。

 なお、先週末より日経225先物は限月交代しており、(3月配当分だけ)現物指数より先物が安く推移します。3月29日(3月配当の権利落ち日)に現物指数の配当が落ちるためスプレッドは解消しますが、同日までは約135円ほど先物が安い点に留意ください。


(今週の見通し)

 前回コラムで米ドル/円が115円を超えられるかが何より重要としましたが、先週超えました。しかも、雇用統計やFOMCを待たず、意外にあっさり超えてしまった・・・。これで米ドル/円の上値が重そうというストレスが一気に減り、日経225に対するセンチメントも一気に上向きました。日経225、いざ2万円へ!そんな気運が市場参加者の間で出てきたのは間違いありません。

 その気運のなか、待ち受けるのが“スーパー・イベント・ウィーク”の今週。14日(火)~15日(水)にFOMC(利上げの有無やドットチャートの利上げ回数が上方修正されるか?などに注目)、14日には東芝の3Q決算発表、15日は米債務上限の期限、16日(木)は米予算教書の概要発表、日本時間にはオランダの議会選挙の結果判明があり、同日に日銀会合の結果発表があります。さらに、17日(金)~18日(土)にドイツでG20財務省・中央銀行総裁会議が開催予定。いずれも注目とされています(本当に重要なのか?と思われるイベントも混じっていますが)。2万円の大台回復についても、「このイベントを通過した後に」というのがコンセンサスになっているようでもあります。さてどうでしょうか?

 これらは、あくまで今の大勢(米長期金利が上昇基調で、米ドルも上昇基調で、安全資産の金が下落基調、一方で米株は上昇基調)が前提となっています。本当にその前提が、FOMC通過後にも適用されるでしょうか?例えば、市場が織り込んだ通り、今回追加利上げを決定したとします。その瞬間、次の利上げをすぐに織り込む相場(米金利上昇、米ドル上昇)にシフトするものでしょうか?

 例えば、先週末の2月雇用統計(NFP23.5万人増、失業率4.7%、平均時給26.09ドル)は市場予想を上回る力強い数字と誰もが認める内容でした。すでにイエレンFRB議長含めたFRB重要メンバーが3月利上げ予告を済ませた中、強い数字だろうと市場で既に想定されていた今回の雇用統計。これに向けた米ドル/円の動きがどうだったか?といえば、発表に向けて下落し、発表後にさらに下落したわけです。こういう動きを「出尽くし」と表現されますが、まさにその通りの動きでした。これ(=事実で売る)は当然、FOMC後にも気にしておかないといけないことです。

 また、この雇用統計後に米ドル/円が下落した別の理由も存在しました。それは、トランプ政権のウィルバー・ロス商務長官によるワシントンでの記者会見でした。この場で貿易協定の優先順位を質問されたところ、「米国にとって日本が貿易面で極めて高い優先案件」と日本を名指し。米国との通商政策への不安=米ドル/円売り要因、となりました。せっかく115円の壁を突破して円安気運が高まっても、その矢先に弾き返されたわけです。これが厄介。また、ロイターなどは、17日から開かれるG20で、米国が為替を議題の中心に挙げると伝えています。報道ベースではありますが、声明のなかで「競争的な通貨切り下げを回避する」という言い回しは削除されると・・・。トランプ氏の考えに貿易不均衡(米ドル高是正)があるのは周知の通りで、この考えが尊重されるようなG20の方向性が示された場合、これは米ドル/円にとって下落圧力でしかないようにも思われます。

 米ドル/円、日経225とも上昇気運はありますが、一筋縄ではいかないことも前提にトレードすべきと考えます。たしかに、先週9日に米10年債利回りは2.608%という水準まで上がりました。2.6%台は、昨年12月15日以来。ここで、先週9日と昨年12月15日の価格を並べてみましょう。まず米ドル/円終値は114.95円と118.22円。明らかに今は当時より米ドル安です。NYダウ終値は、20858ドルと19852ドル。株は明らかに当時より高く取引されています。日経225の終値については、19604円と19401円。さほど変わりません。原油は売られていますが、WTI原油終値を比較すると、49.28ドルと50.90ドル。さほど水準は違いません。

現状は、米ドル/円が安く、米株が高いわけです。仮に、安い米ドル/円がキャッチアップして上昇したとします。そのときは、米ドル高を嫌って米株が調整の形でキャッチアップする可能性もあるということ。米金利がさらに上昇するとして、米国経済がそれに耐えられるのか?そういった議論が出ないとも限りません。また、原油が下落基調になっています。こちらについて、米国在住のヘッジファンド運用者がこんな指摘もしていました。「これは結構厄介。関連企業の株が売られるだけではなく、中東のウェルスファンドが株を売るのでは?という観測につながるため」と。今週のイベントを通過した先、多くの市場参加者が思い描くようなバラ色の2万円奪回、さらなる上値追いシナリオが描けるのかどうか?は考えながら臨むべきと思います。想定レンジは切り上げますが、今週の想定レンジは19400円~19900円、今後1カ月のレンジは19000円~20300円とします。現在水準からのアップサイド余地は広がったと見ますが、ダウンサイドリスクも同等程度あると考えます。

(おしまい)

※当レポートは、投資や運用等の助言を行うものではありません。また、お客様に特定の商品をお勧めするものでもありません。

※当レポートに記載する売買戦略はテクニカル指標その他を基に客観的に判断しているものであり、相場の行方を決定付けるものではありません。最終的な投資判断はご自身の意思判断によりお取引いただきますようお願いいたします。

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