岡村友哉の日経225ここだけの話

岡村友哉がお届けする一週間の予想レンジと市況情報。

2017/03/06 16:17引き続き米ドル/円次第? 15日FOMCなどに注目

日経225 現物指数 終値19469.17円(3月3日)
安値18995.55円(2月27日)/高値19668.01円(3月2日)

(日経225 日足チャート 25日線付)
期間:2016/1/1~2017/3/3

(出所:Bloomberg)

(先週の振り返り)

トランプ大統領の演説への警戒から始まり、急浮上した3月利上げ観測、トランプ大統領の演説、そしてイエレンFRB議長の講演への思惑まで織り込みにいった先週の日経225。週間の上下値幅は672円と大きめに振れたものの、その動き方は先週コラムでの筆者想像とはかなり乖離していました。なんといっても、トランプ演説中に相場が動きませんでした。なぜ動かなかったかの考察を含め、先週の動きを振り返ります。

基本的な投資家のスタンスは、日本時間3月1日に控えるトランプ大統領の演説まで様子見といったものでした。そのなかで、週初27(月)は、警戒優勢で先に一度沈む動きに。前の週末に米長期金利が2.317%に低下していたことも受け、朝から軟調なスタートを切ります。一時19000円を割り込む場面もありましたが、結局は午後に下げ幅を縮めて終える1日でした。

ただ、19000円を割り込んだところも、急速に下げ渋ったところも、理由付けできる手掛かりは何もなかったのが特徴。この日の先物手口では、ALL投機筋の注文分とされるABNアムロとソシエテ証券の売買高が全体の約5割を占めていたことから、19000円割れも先物主導、急速な切り返しも売り仕掛けたHFの踏み主導(=自作自演的な動き)だったと解釈できます。需給的には、下げが大きかったことで日銀ETF買いが入るだろうとの思惑や、実際の日銀ETFによる需給効果も後場の薄商いのなかで発揮されたのは間違いありません。

翌28日(火)は、前日のNYダウが12日連続の最高値更新となったほか、米長期金利が2.370%に上昇して返ってきました。トランプ大統領がホワイトハウスで州知事と会談し、2018年度の予算案の概要を説明。軍事費について「歴史的な拡大となる」と発言したほか、「巨額のインフラ投資をする」とも発言したことを好感したとされていますが、この時点のNY市場で気になった点はありました。CMEのFedウォッチツールで3月利上げ確率が、前日の26%台から33%台へと大きめに上昇。米10年債利回りだけでなく、2年債や3年債の金利上昇がかなり目立っていたことです(2年債でいえば最近1カ月で最大の金利上昇)。妙に、3月利上げの可能性が上がることを、この時点で債券市場のプレーヤー(全員がプロ)はいち早く嗅ぎ取っていたような動きでもありました。

リスクオンムードを受けた日経225は、単純にそれに乗って一時前日比160円高の19267円まで上昇。ただ、この日はMSCIの指数イベントに伴うリバランスで大引けではトヨタやソフトバンクなどに売りインパクト(ウエイト低下のため)発生が予定されていました。さほど大きな売りインパクトではないはずでしたが、大引け手前30分間で急激に上げ幅を縮小。結局終わってみると前日比11円高にとどまったわけですが、MSCIに関係ない東証マザーズ指数なども同じような崩れ方をしていたことを考えると、トランプ大統領の演説を翌日に控え、手持ちのロングをいったん外して当日に備えようとする短期筋が多かったように思われます。

月が替わった3月1日(水)。前日のNYダウは、13日連続の最高値更新という新記録は逃したものの小幅に下げた程度。ただ、VIXが連日上昇し、12.96とほぼ高値引け。トランプ大統領の演説直前で、ボラティリティ低下の流れも一旦止まっていました。ただ、日経225にとって支援になったのが米ドル/円の上昇(米10年債利回りは2.403%まで上昇)。サンフランシスコ連銀のウイリアムズ総裁、ニューヨーク連銀のダドリー総裁が相次いでタカ派的な発言をし、米ドル/円は113円台目前まで上昇。演説警戒のドル売りを交えてここまで米ドル高が進んだわけで、3月利上げが相当に現実味を帯び始めました。

最大の注目イベントとなっていた午前11時からのトランプ演説。直前の多くのプレーヤーは、「必ず動く」「ある程度、サプライズが出ない限りは上にいかない」「誤った動き方をした場合は逆張りで午後参加しよう」といった感じでした。みんな待ち構えていた状態のなか、アルゴが大ロットでファーストアクションをとりにいく…これの後ろに付いていけばいいという雰囲気もありました。そのなかで、1時間に及ぶ演説がなされたわけですが、この時間の日経225先物の上下値幅はわずか90円(19190円~19280円)どまり。まさかの“凪”で通過してしまったのです。通過後は、演説で雇用を生み出す企業として名前が挙がったソフトバンクG株が上昇、国境税に一切触れられなかった(というか日本について一切触れられなかった)こともありマツダなど自動車株の買い戻しが加速。結果的に日経225にとって、上昇につながるイベントとなりました。

そもそも、なぜ動かなかったか?ですが、市場関係者と話した結果として、こんな理由が考えられます。まず、かなり事前に色んな可能性を示す報道があったこと。そして、市場が本当に聞きたかった財源をどうするかをスルーしたこと。この2点から、「動く理由が生まれなかった」といえます。ただ、それ以上にトレーダー的解釈として聞かれたのは、「コンセンサスが数字として作られていなかったため、アルゴが反応しようがなかった」という声もありました。雇用統計など経済指標、選挙などと違い、単純な数値比較で動くことができないイベントだったわけです。結果的に、イベント通過後にリスクオンを取り戻したことで、「落ち着いてまじめな話し方だった」とか「攻撃的なトーンでなかった」とか紳士的に振る舞ったから評価されたとも言われていますが・・・本当にそうなのでしょうか?何とも言えません。

演説を受けた1日のNYダウは303ドル高。昨年11月の大統領選挙の翌日、勝利演説での紳士的な態度を受けて371ドル高した日以来の大幅高となりました。NYダウも21000ドル台乗せに成功。ただ、驚くような減税策の発表が無かった演説ではなく、このタイミングで3月利上げの確率が急上昇したことへの対応を中心軸に切り替えた部分が大きかったといえます。長期金利上昇で米金融株が上がることが株高につながり、リスクオンに見えるという構図。この動きを受けた日経225は、2日(木)の朝イチで買い戻しを誘発(トランプ大統領の演説後に下げる方向にベットしていた売り方が日本は相当多かったことの表れ)。そして、この買い戻しが一巡してから上値を買うムードは全く広がりませんでした(国境税についての不安が晴れる演説では全く無かったわけで)。

イエレンFRB議長の講演を控えた週末3日(金)も、3月利上げ確率の上昇(ドル高基調)はプラスとはいえ、日本時間に自発的に動く理由は見当たらず・・・。前場のTOPIXは0.18%の下落率でしたが、日銀がETF買入れを見送ったこともあり、一時19392円まで下落。最大の注目イベントとみなされてきたトランプ大統領の演説通過後、待ち受けていたのはいつも通りの閑散市場だったというオチでした。

(今週の見通し)

日経225が国内要因で上がる芽は皆無で、全ては海外要因次第。といいますか、為替(米ドル/円)次第になっていることに、疑いの余地は無さそうです。そのなかで、今週は?となるわけですが、だからこそ米ドル/円次第であるわけで、その米ドル/円の上値が相当に重いことをどう見るか?次第となります。

注目されたイエレンFRB議長の講演ですが、FRB高官発言で醸成された3月利上げについて、大ドンデン返しになるような発言ではありませんでした。足並み揃え、3月の利上げを検討していることを明言し、年3回の利上げまでほぼ明言。それでも、米ドル/円は114.74円をピークに、その後113.81円まで下落したわけです。ADP雇用リポートや雇用統計発表が今週控えているとはいえ、発言のトークからすれば、よほど悪い数字でなければ3月FOMCで利上げするのでしょう。3月利上げ確率も8割近くに上昇しました。

それでも、理屈通りに米ドルが上がるという反応をしなかった・・・。一番の理由は、タカ派的発言をするであろう、そして米ドルは上がるだろうを前提にしたプレポジションが先週相当積み上がり、想定通りのイベントになったことで手仕舞い売りに回る向きが優勢だったためと思われます。ただ、従来多くの投資家が描いていなかった3月利上げ、そして現実味を帯びてきた年3回利上げをFRBが決めようとしている割に、米ドル/円は115円すら付けられないのか?と考えるのが普通でしょう。トランプ大統領は演説で大事なことを喋らなかったため、売り方が材料出尽くしで売るという行動をとれませんでした(そういう意味では、ある意味マーケット的に成功)。一方で、利上げを思ったより早く進めるという材料を提供し、これを材料出尽くしと市場がみなしていくのであれば、(株強気派にとって)結構きつい話です。まだファーストアクションを見た段階なので何ともいえませんが、今週中に米ドル/円が115円を突破できるかが非常に重要だといえそうです。

前述の通り、10日の2月雇用統計の注目度は低下。そうなると、今週の注目となるのは、日経225でいえば10日(金)のメジャーSQが挙げられます。ただ、SQというのはSQ値がいくらか?が注目ではありません。その手前で積み上がったキープレーヤーの建玉がどうなっていくかが重要。今回は、トランプラリー下で積み上がったゴールドマン・サックス(以下GS)のTOPIX先物建玉がどうなるかに一番関心が集まりそうです。手持ちの8万枚近い3月限のTOPIX先物を、期先である6月限などにロールオーバー(3月限を売って6月限を買う)するかどうか・・・。ただ、先週末、GSは3月限のTOPIX先物を3808枚売り越し、6月限のTOPIX先物を3814枚買い越していました。完全にロングロールの手口といえますので、残りもロールオーバーを進める建玉であると推測できます。そういう意味では、GSの顧客に限りますが、海外投資家が日本株のウエイトを落とそうとしているとか、そういった懸念は必要ないといえそうです。

来週15日までに、重要イベントが詰まっています。13日前後が提出期限と見られる予算教書、14日~15日がFOMC、15日は米債務上限の引き上げ期限ですし、オランダの総選挙もあります。トランプ大統領の演説を通過しても、動きづらそうな要素だけは満載の日経225。米ドル/円が短期的な材料出尽くし感から上値が重くなったことが最大のネガティブ要素、一方で下げたら随時日銀ETF買いが入る仕組みであることが下支え要素。今週の想定レンジは19000円~19600円、今後1カ月のレンジは18600円~19700円とします。

(おしまい)

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