岡村友哉の日経225ここだけの話

岡村友哉がお届けする一週間の予想レンジと市況情報。

2017/02/20 13:55「トランプ砲」に要注意!

日経225 現物指数 終値19234.62円(2月17日)
安値19173.53円(2月17日)/高値19519.44円(2月13日)

(日経225 日足チャート 25日線付)
期間:2016/1/1~2017/2/17
 
(出所:Bloomberg)

(先週の振り返り)

 前の週は460円高、先週は144円安。この2週間のパフォーマンスの違いは何だったのでしょうか?正直、日本に何かあったようにも思えません(敢えていえば決算発表シーズンを通過した程度)。これを言ったら元も子もないですが、「トランプ砲」があった週か、なかった週か、多分これだけでしょう・・・。
 
週明け13日(月)は、「トランプ砲」で急上昇した余韻から始まります。日経225は前場に2度ほど19500円台に乗せました。とはいえ、「トランプ砲」は米国第一の政策ですので、マーケットに吹く米国発のリスクオンの風を受けただけ。そういう意味でも、日本発の材料が乏しいなか、東京時間については上値が重くなります。そもそも、前週末の急騰で突然19000円から19500円に目線を変えられたわけで、19000円でも買わなかった投資家が19500円から上値を買うわけがありません。個人、機関双方とも国内勢は戻り売りに回っていた構図が想像されます。

 ただ、そのなかで、先週後半に続き、ゴールドマン・サックス(以下GS)がTOPIX先物を大きく買っていたようです。この先物の手口については前回コラムの最後に触れましたが、GSは2月6日の537枚買い越しを皮切りに、7日63枚買い越し、8日3596枚買い越し、9日2860枚買い越し、10日3524枚買い越しとなっていました。そして、週明け13日も2967枚買い越し。8日以降の4日間は、金額に直すと1日につき400億円~500億円の買い越し要因に相当します。海外の年金からの買いではないか?との見方が市場の中でも広く話題になりました(とはいえ、話題になった途端、その翌日から買いは止まりましたが・・・)。

 翌14日(火)も、前の日の米株主要指数が過去最高値を(値幅も伴って)連日更新したことを受け、日経225もしっかりのスタート。とりわけ、米アップル株が約2年ぶりに最高値を更新したことがリスクオンの象徴だと捉えられていました。ただ、様子が変わったのがこの日の午後から。タイミング的にも、調整に転じた理由になったのは以下の2つ。

1つが、この日「正午ごろ」での第3四半期決算の発表を予告していた東芝が、何の前触れもなく「決算発表の開示が出来なくなった」と発表したこと。失望から東芝株は急落したのですが、このタイミングでセイコーエプソン株が上がり始めます。この動きは3営業日ほど続いたのですが、「東芝が東証1部から2部へ降格する」という可能性を想定した場合のイベントドリブンです。東証1部から除外されるなら、日経225の採用銘柄から除外されます。その場合の採用候補としてセイコーエプソンが挙がっていたためです。その動きの先回りなのですが、もしその通りの入れ替えになった場合、日経225型のETFなどを運用するパッシブファンドは手持ちの東芝株を売り、セイコーエプソン株を買うリバランスを行うことになります。ただ、東芝とセイコーエプソンには株価に大きな差があるので、東芝を売った代金だけでセイコーエプソンを買うことができない・・・そのときは東芝だけでなく、その他の採用224銘柄を売る必要が出てきます。これが先週の東芝決算による日経225へのマイナス影響といえる理由です。

 もうひとつが、CNNが「マイケル・フリン大統領補佐官が辞任した」と報じたこと。トランプ政権が始まる前、対ロ制裁を巡り駐米ロシア大使と協議したという疑惑が問題になっていたのですが、辞任したと報じられたことを瞬間的に売り材料と判断したプレーヤーが多かったようです(どっちとも捉えられるニュースだったように思いますが・・・)。結果、この日の日中高値19501円から安値19232円まで急速に下落。需給面では、前日までTOPIX先物の大量買いを続けていたGSの買いが止まっていたことも力なく下げた理由でした。この日の前場のTOPIXの下落率は0.12%で、日銀ETF買いも入っていませんでした。

 ただ、前日の日本時間の下げも、明朝にはオーバーアクションだった格好に・・・。FRBのイエレン議長が議会証言で、追加利上げに対して「今後数回の会合で判断する」と発言。3月利上げの可能性に含みを持たせたとの見方から、3月の利上げ確率が上昇。アメリカの長期金利は上昇し、米ドルが上昇しました。また、引き続き「驚異的な(phenomenal)」期待のトランプ・ラリーを演じる米国株は連日で最高値を更新。この日は、金融のGS株が終値ベースで2007年10月以来の最高値を更新します。「米株が強いうちは乗るしかない!」といったところなのでしょうか(単に買い戻し中心と見られますが)、日経平均も寄り付きギャップで大幅反発します。ただ、理由は全て米国発になりますので、見せ場は寄り付きで終了。東京時間の上下値幅はわずか75円、後場にいたってはわずか32円値幅と酸欠状態でした。

 週末に向けた16日(木)、17日(金)は元気なく続落で週末安値に向かいました。米労働省が15日に発表した1月の消費者物価指数(CPI)が前月比+0.6%(市場予想0.3%)と、2013年2月以来の高水準。1月の小売売上高も前月比+0.4%(市場予想+0.1%)と強い数字が相次ぐなか、米ドル/円も115円目前まで上昇。ただ、このわかりやすい利食いポイントであまりに強く利食い売りが出てきたようになり、強烈に弾き返されます。一時114円割れまで。また、米株は上昇していましたが、極めて稀な「株価指数上昇→恐怖指数と呼ばれるVIX指数も上昇」という現象も起きていました(この日のVIXは前日比で11%上昇)。米ドル/円の上値の重さから弱めに始まった16日の日経225は、19400円付近で凪の状態。10:22~10:34まで「19400円」の一本値状態を続けるという、まさに思考停止状態でした。ただ、板も薄くなっていたこの直後、突然先物の出来高が急増。どういう目的の売りかは不明ですが、わずか5分で4400枚の出来高が出来るほど瞬間的に売買が膨らみ、一時19260円まで下落します。先物主導で下げたわけですが、この日は午後に日銀ETF買いも入り何とか90円安で終了。16日も米国ではフィラデルフィア連銀景況指数が43.3(市場予想17.8)という33年ぶりという強烈な強い数字が出ましたが、それでも米ドル/円は下落・・・。最高値ダンスを踊っていた主要株価指数も、NYダウを除いて小幅ながらマイナスとなり、受けた日経225は朝からギャップダウン。19200円を割り込む場面もありながら、後場は日銀ETF買いで支えられるという、いつものサイクルで週を終えました。

(今週の見通し)

 米ドル/円の上昇にブレーキがかかっており、「これが今週の日経225が上がりにくい理由」という共通認識が市場で広がっています。さすがに、先週FRBイエレン議長が3月利上げの可能性を排除しなかったうえに、強い経済指標オンパレードだったにも関わらず、米ドル/円が115円を抜けられなかったわけで・・・。先週、麻生財務相が「まだ120円にいっていない。円安といわれる覚えはない」と発言したことで、円安の目安が120円と意識されていることが嫌気されているという解釈もあるようです(関係ないように思いますが)。

日経225についても、今週は19500円の壁を週末まで意識するので精いっぱいと見られます。今週は先週に比べて材料が少ないなか、19500円を試すとすれば、先週無かった「トランプ砲」があった場合でしょう。2月9日に「2~3週間のうちに」「驚異的な」減税の内容を出すと発言してから23日(木)で2週間。あの発言を額面通り受け止めるなら、今週末辺りにも突然発言(またはツイート)があってもおかしくはないですね。このとき、短期的に市場がリスクオン材料に見立てる可能性もあるわけで、引き続き「トランプ砲」がショートを作る形のリスクテイクを控えさせる理由となりそうです。

 日経225が2月に入り、まともに上昇したのは2回だけです。1回目が2月10日の471円高で、理由はトランプ大統領の「驚異的な」発言。2回目が先週15日の199円高で、理由はイエレン議長の議会証言翌日。いずれも米国発で米金利上昇(ドル高)の手掛かりが生じた翌日だけで、日本発の材料は正直皆無です。米国次第のなか、その米国では金利と株の動きのミスマッチが生じ始めています。長期金利が低下しながらも、株が最高値圏で高止まりする動きが続いている点です。

ただ、その強い米株について、気になる話も聞かれます。最高値圏でVIXも低く、楽観ムードに見える米株ですが、BofAメリルリンチの2月の機関投資家調査では、足元の株式相場が「割高」との回答から「割安」との回答を差し引いた値が26%と、過去15年で3番目に高水準だったようです。楽観に見える米株ですが、“過去15年で3番目に割高”と思われている??心配しなくていいの?と思えるデータですが、無視でいいのでしょうか・・・。また、イエール大学の調査で、6カ月以内に相場が「急落することはない」との自信度合いを示す数値も、機関投資家の間で右肩下がりにあるとも伝わっています。これも、2012年以来の低水準。低水準ということは“2012年以降で1番急落すると思われている“ということです。これも心配。

「割高」「急落しそう」と現地の機関投資家がここ数年でトップ級に思っていながら最高値圏で止まっている米国株。と聞かされると、米株が高いから日本株にGO!というのは無理な発想になりますよね。一番怖いのは、米株が崩れるきっかけが、「驚異的な」減税内容の発表になること。これを期待したラリーが、「現実で売り」という反応を示したとき、これが当面考えられる一番シンプルで一番大きなリスクだといえます。

 「驚異的な」税制改革は、国家経済会議議長ゲーリー・コーン氏から発表されるとも見られ、その場合はタイミングとして今週中かもしれません。トランプ大統領の口から語られるタイミングとしては、2月28日(火)の米議会合同本会議における演説(一般教書演説のようなものという位置づけ)の場が有力視されます。この2月28日については、米国時間の夜とみられ、日本時間では3月1日(水)の午前11時~12時辺りとも聞いています。もしその場合、イギリスの国民投票や米大統領選挙と同じ「日本時間で消化する」という時間帯であることに注意が必要です。市場の期待を超える「驚異的な」内容なのか、下回る「驚異的な」内容なのか?を正しく日本の市場で解釈できるのか?また瞬間的にミスプライスを付けることにならないか?という不安しかありません。上下とも大きく動意する明確な理由が少ない週ですし、今週末にかけてポジションはゼロにしておくのがいいかもしれません。今週の想定レンジは18800円~19500円に引き下げます。今後1カ月のレンジは18300円~20000円とします。

(おしまい)

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