岡村友哉の日経225ここだけの話

岡村友哉がお届けする一週間の予想レンジと市況情報。

2017/02/13 15:01今後は「驚異的な」減税政策が何か?に要注目

日経225 現物指数 終値19378.93円(2月10日)
安値18805.32円(2月7日)/高値19395.99円(2月10日)

(日経225 日足チャート 25日線付)
期間:2016/1/1~2017/2/10
 
(出所:Bloomberg)

(先週の振り返り)

 「トランプ砲」はお金がかかっていません。トランプ米大統領が発する言葉、ツイートした言葉が「トランプ砲」。一方で、1回当たり700億円強という巨額のお金を投じているのが「日銀砲」ですが・・・。ノーコストでマーケットに“驚異的な”影響を及ぼす「トランプ砲」の威力を改めて思い知らされた1週間でした。週間では3週ぶりに上昇、週末10日の上昇幅は(大発会の479円高に次ぐ今年2番目の)471円高に!

 週末10日に日米首脳会談を控えることもあり、6日(月)~9日(木)まで様子見ムードが強かったといえます。前週末の1月の米雇用統計で賃金の伸び率が+0.1%と鈍かったことを受け、市場は3月利上げの確率低下を織り込む展開。米長期金利が上がりにくくなり、9日時点では2.3%台に低下していました。米ドル/円も下押し圧力がかかる格好で、米国時間の6日(月)には昨年11月29日以来、2カ月半ぶりの111円台を付けました。このタイミングでは、金先物が同じく2カ月半ぶりの高値に。入国拒否や貿易交渉など保護主義の政策を優先するトランプ大統領の姿勢を受け、トランプ・ラリーのアンワインドが中心軸だった印象です。

 下値支持となってきた米ドル/円の112円割れを受け、7日(火)の日経225は朝方18805円まで下落。ただ、この日前場のTOPIXが0.43%下げていたこともあり、午後は日銀のETF買いが発動しました(704億円)。様子見ムードが強く、この日の東証1部の売買代金は2.06兆円。月曜日を除けば今年最低で、トヨタが決算を発表した翌日であることも踏まえれば非常に寂しい数字でした。だからこそ、下支えに効力を発揮した「日銀砲」。ここから連日上下を繰り返します。米ドル/円でいえば、フィラデルフィア連銀のハーカー総裁の3月利上げ示唆発言を受け上昇したり、また112円を割れたり・・・。最高値を更新するNYダウも、1月31日~2月9日まで下落→上昇→下落→上昇・・・を8営業日続ける鯨幕相場(※)に(※投資家の気迷いムードを表しているといわれる商状)。

 日経225も同様で、先週に入り上昇→下落→上昇→下落と交互に繰り返していました(9日まで)。また、大きく崩れるわけではないものの、毎日必ず1度は19000円を割り込んでいたため、様子見ムードながら冴えない動きといった印象も市場参加者に植え付けました。あえて気になる動きがあったとすれば、9日(木)に「日銀砲」が入らなかったこと。この日の前場TOPIXの下落率は0.3%でしたが、買い入れは見送られていました。前月の月間買い入ペースが目安となる5000億円(6兆円÷12カ月)を上回る5624億円だったこともあり、ペースを戻すために買い入れ条件を少し厳しくしているようです。

 そして、順番的にNYダウは「上昇」になる9日には、前述の通り上昇。ただ、この日は株高に「ドル高」もセットでついてきました。そのきっかけになったのが「トランプ砲」。この日ホワイトハウスで航空会社のCEOと会談をしていたトランプ大統領が、「今後2、3週間のうちに税制で驚異的な(phenomenal)発表がある」と述べたことが全てです。保護主義的な政策が続いていたこともあって、「驚異的な」という最上級の強調表現と一緒にリスクオンムードが再燃。米ドルは全面高し、米債は売られ、株は上がるというまさにトランプ・ラリーの形に。これを受けた日経225も、順番的に「上昇」で迎えるタイミングの10日(金)、誰も予想していなかったであろう水準へ「急上昇」。なお、この日は2月のミニ先物・オプションSQで、SQ値は19276.09円と高い値段で決まりました。もみ合いを上に放れる動きに追随するモメンタムを狙った短期筋の買い、直近ショートで向かった短期筋の買い戻しを巻き込み、終盤にかけて上げ幅を広げました。

(今週の見通し)

日米首脳会談の様子といえば、安倍総理とトランプ大統領のハグ、19秒に及んだ握手、そしてフロリダでのゴルフと、両氏の気の合う姿が報道されていました。為替に対する圧力を表立ってかけられることもなく、日米間の同盟強化が確認されました。あまりに友好的過ぎて、「トランプ氏の腹の内は違うのではないか?」などと(疑り深い自分としては)勘繰りたくなるところではありますが、それは現時点では野暮な妄想なのでしょう。海外メディアでは、「こんなにトランプ大統領におべっかを使う人はいない」とか「トランプ大統領と仲良くなり過ぎて今後トランプを批判できなくなるのではないか?」といった報道もあるようですが、それだけ会談が成功裡に終わったということでしょう。一国民としては、せっかく仲良くなったのだから、日本にどうしても不利な話が来たときには「NO!」といえる関係であって欲しいと願うばかりですね・・・。

 日米間の政治的関係の不透明感というのは、やはり警戒されていたようです。それが一時的にも晴れたことで、週明け米ドル/円は114円台を回復し、日経225も19500円台を一時回復。トランプ・ラリー以降の高値が19615円ですので、高値ブレイクもあと少しという水準に近づいています。ただ、先週末10日の急騰を見る限り、その背景にはトランプ・ラリー復活を信じた新規買い、というよりは「まさかの会談前の大幅高を受けた、売り方の買い戻し」の側面が強いように思われます。個別株でみても、これまでトランプ警戒時に買われてきたソフトバンクが勢いを弱め、これまでトランプ警戒で売られてきた自動車株が大幅高。また、日経平均先物売りに伴って下げていたウエイト上位のファーストリテイリングも大幅高でした。完全にリターン・リバーサルですね。日米首脳会談という重要イベントを通過したことで、リバーサル余地分の決済が終われば、また様子見ムードになるのではないかと思われます。

 ここからの様子見材料として、まずは米時間14日(火)から2日間行われるFRBイエレン議長の議会証言と言われそうです。ただ、先週の「トランプ砲」一撃でセオリーがひっくり返るマーケットの動きを見ていると、このイベントの重要性は低いようにも思われます。内容としても、カナダのTDセキュリティーズによれば、議会からの質問は金融政策よりも規制緩和に集中するだろうと指摘されていました。3月利上げへの言及は見送られる公算が大きそうです。

 よって、ここからの最大の焦点は、「驚異的な」減税策が何か?になりそうです。減税策の話は順番的に後になっていただけで、いつか出るだろうということはわかっていたことです。ただ、その減税策を、トランプ大統領が「驚異的」(最上級の強調)と表現し、具体的な時期まで明らかにしたことがサプライズになりました。「2~3週間のうちに」ということは、今月28日に予定されている議会向けの演説(一般教書の代替とされる)辺りで発表されると想定されます。米国株のPER平均は20倍を超えた状態で、今なお上値追いを続けています。これは、法人減税によるEPS拡大分を織り込んでいるからです。「驚異的な」減税策までに、市場がどのくらいの減税規模をコンセンサスにしていくかが焦点になりそう。「驚異的な」でハードルを上げたのは間違いなく(それに株価が反応もしているわけで)、「驚異的な」何かが出たときの米株の反応で株高継続かどうか判別できるはず。それまでは、買い方にとって失望につながるリスクが“脅威”であるかもしれませんが、売り方にとって本当に「驚異的な」内容でラリーが加速するリスクのほうが甚大。水準は随分切り上げましたが、それまで日経225についても売りで攻めるムードは広がりにくいでしょう。

今週の想定レンジは19200円~19700円に引き上げます。今後1カ月のレンジは18600円~20300円とします。上限下限とも300円引き上げ。先物サイドではこんな動きが先週ありました。市場が一際注目するゴールドマン・サックス(以下GS)のTOPIX先物の手口で、2月6日537枚買い越し、7日63枚買い越し、8日3596枚買い越し、9日2860枚買い越し、10日3524枚買い越し。先週毎日買い越しで、都合1万580枚の買い越しでした。GS以外のブローカーでは、JPモルガン、モルガンスタンレー、ドイツ、メリルリンチ、クレディスイスの5社がいずれも週間2000枚以上売り越し。GS以外がオール売りで、その売りをGSの一手買いで受けていた構図が想像できます。先週の買いで、GSの累計建玉は8.5万枚に上っており、全ブローカーでTOPIXの最大買い建玉がGSということになります。この建玉規模は、アベノミクス後高値(2015年6月24日の20952円)を付けた6月最終週以来です。これが相場のピークを意味するのか、まだ積み上がっていく過程なのかはしばらく見ていく必要があります。GSの顧客が海外年金で、日本株へのエキスポージャーを上げている最中であるとすれば、あまり逆らわないほうがいいという経験則もあります。今後1カ月の展開を見るうえでは、来月のメジャーSQに向け、この建玉の増加基調が続くのか、ロールオーバー(3月限→6月限への乗り換え)が進むのかも重要といえます。

(おしまい)

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