岡村友哉の日経225ここだけの話

岡村友哉がお届けする一週間の予想レンジと市況情報。

2017/02/06 16:55不透明感の強い外部要因に左右される展開!?

日経225 現物指数 終値18918.20円(2月3日)
安値18830.89円(2月3日)/高値19390.97円(1月30日)

(日経225 日足チャート 25日線付)
期間:2016/1/1~2017/2/3
 
(出所:Bloomberg)

(先週の振り返り)

 “アンチトランプ”派の増加が、不気味なリスクオンを保っていたマーケットにも影を落とし始めた週になったと思われます。それでも、(どういう意味のある水準かは不明ながら)米ドル/円で112円、日経225で19000円を下値支持にしており・・・相変らず頭で理解しようにも、腑に落ちない動きだった1週間ともいえました。

 週初30日(月)は反落でスタート。日銀会合やFOMC、米経済指標も多く控えるうえ、日本は決算発表シーズン突入・・・イベント前で、積極的にポジションを傾ける向きが少ないタイミングでもありました。週初ということもあり、東証1部の売買代金は2週間ぶりに2兆円割れ。ただ、前場のTOPIXが0.7%下げていたこともあり、午後は日銀のETF買い(703億円)が発動。薄商いのなかで需給効果は発揮され、後場に何とか下げ幅を縮めました。

 ただ、この日の夜、週明けの米国市場で“異変”が発生。前週末27日、トランプ大統領が署名した「イスラム圏7か国からの入国者拒否」の大統領令に対し、IT企業のCEOなど産業界からの批判が相次ぎました。この日の米株市場では、NYダウが一時200ドル超の下落に。入国規制に従業員が巻き込まれたアルファベットなどIT企業のほか、空港の混乱が想定され航空株も急落。さらに、トランプ大統領の政策恩恵が期待され買われてきたインフラ株や金融株も大幅に値下がりしました(←これが変化!)。この日の米株の下落について、NY発の場況解説記事では「保護主義の面が警戒され下落」と書かれていました。ここが変化です。トランプ氏が掲げる「アメリカファースト」から来た保護主義は、アメリカにはプラスと言われてきたわけですから。この点に着目するなら、保護主義を理由に株が売られた最初の日がこの日だったといえます。また、米ドル/円も113円台に下落しましたが、これも単純に「リスクオフで円買い」ではなく、「トランプの保護主義がもたらす経済的損失への懸念からの米ドル売り」とも解釈できるかもしれません。

 この下落を受けた31日(火)の日経225は、前日比で200円以上の下落でスタート。その後は日銀の金融政策決定会合の結果待ちに。現物市場が昼休憩に入ったあと、12時前に結果が判明します。政策は現状維持となり、一旦は買い戻しも入り、日経225先物は一旦19100円まで戻します。ただ、その後は再び売りに押され、日中安値は19000円ちょうどまで切り下げました。このタイミングで市場関係者間で言われていたのは、「日銀で売られたわけではない」との意見。トランプ大統領の司法長官代行サリー・イエーツ氏が更迭されたと手前で伝わっており、有名なトランプ氏の口癖(?)「お前はクビだ!」が実行されたことで、今晩の米株が下落するのでは?という不安感が先行したという見方でした。前場のTOPIXが1.17%下げたこともあり、後場は日銀ETF買いが発動。それでも、日中安値を午後に更新し、安値引けとなりました。この日の午後の海外勢の売りが、日銀ETF買い1回分を上回っていたということになります。この日は327円安で終え、トランプ・ラリー以降で最大の下落幅でした。

 最も悲観ムードが強まっていたのが、月が替わった2月1日(水)の朝でした。製薬大手のトップを集めた会談の場で、トランプ大統領が日本の為替政策を批判。日本が過去に円安米ドル高誘導を何年も行っていたと発言し、米ドル/円も112円07銭まで下落。いつか出るだろうと警戒されていた日本名指しの円安けん制発言がはっきりあったうえ、NYダウも連日で100ドルを超える下落(トランプ・ラリー以降で100ドル以上の下落が2日続いたのは初)。また、トランプ大統領の貿易顧問がドイツに対しても通貨安を利用していると非難。日経225も朝から19000円を割り込んで始まります。ただ、直後に思いもよらない形で一旦落ち着きます。

 この日の午前9時31分に、トランプ米大統領がツイッターで「米東部時間の午後8時(日本時間の午前10時)、とても重要な決断を下す準備ができている」「ホワイトハウスのライブ開示に参加されたし」とツイート。トランプ大統領に敏感になっていたこともあり、即座に反応。売りに傾いていた日経225、米ドル/円とも買い戻し優勢となりました。実際10時からホワイトハウスで行われたのは、連邦最高裁判事にニール・ゴーサッチ氏(保守派のためトランプ大統領寄りの人物)の指名でした。これが保護主義をリスクオフ要因としていたはずのマーケットにどうプラスなのか?は(未だ)不明ですが、米ドル/円はそのまま下げ幅を縮小。この日の先物手口からは外資系証券の買い越しが目立っていたこともあり、ヘッジファンドの先物買い(戻し?)が買い手だったことは推測されます。また、この日の前場のTOPIX下落率は0.26%で、午後に日銀ETF買いも入っていました。こちらも押し上げ効果につながったといえます。

 1日のNY市場では、ADP雇用統計が市場予想を大幅上振れし、ISM製造業景況感指数も56.0と凄まじく強い数字。原油も上昇し、VIXも一時10を割り込むなど株式市場には強烈なリスクオンの要素が含まれていました。そんな中、NYダウも4営業日ぶりに反発。ただ、この日の上げ幅は26ドルと、あまり上がらなかったといえる反応でした。この日は、決算発表を受けてアップルが6%強も急騰、1銘柄でNYダウを50ドル押し上げています。つまり、アップル抜きでは実質マイナスだったとも見えるわけです。昨年12月に利上げしたばかりで関心が低かったFOMCについては、政策は据え置き。FOMC声明文でも文言が少し変わった程度でしたが、年3回の利上げ示唆を想定していた向きもいたためか、米ドル/円については声明文を受けて下落していました。リスクオンなのかそうでもないのか、見方も分かれる雰囲気で始まった2日(木)の日経225でしたが、午前中はまさに疑心暗鬼のなか売買手控えムードといった展開。そのなかで、この日は10年債利回りが1年ぶりとなる0.115%まで上昇。YCC(イールドカーブ・コントロール)の目安とされる0.1%を超えたなか、国債の買い入れオペに動かない日銀に対し「金利上昇を許容しているのでは?」といった空気も広がったようです。また、この日の前場のTOPIX下落率は0.20%でしたが、日銀はETF買いも見送り。頼みの綱状態にあった日銀ETF買いも入らなかったなか、クレディスイスの先物売り(日経225先物を2446枚売り越し、TOPIX先物を1564枚売り越し)などで19000円を割り込んで取引を終えました。

 週末3日(金)の日経225は、一時19000円台を回復するも失速。午前中には週間安値となる18830円まで下落します。この日も、債券先物が朝方急落、10年債利回りは0.15%へ上昇します。ただ、YCCに対するマーケットの信認低下を払しょくするように、昨年11月以来の指値オペ実施を通知。前日下落していた債券先物は即座に急伸し、米ドル/円も113円台を回復しました。14時の指値オペ通知を待っていたところに、意表を突いて12時半に公表。これにサプライズが走り、条件反射的に日経225も再度19000円を上回りました。ただ、日銀効果は1時間程度しか持たず・・・。国債市場における最大の投資家である日銀が、市場を混乱させる姿には辟易したという市場関係者が増えたように思われます。この日の先物手口では、米系のモルガンスタンレーが売り(日経225先物を2081枚売り越し、TOPIX先物を1216枚売り越し)でした。

(今週の見通し)

 細かい数字は省略しますが、先週末の米雇用統計は「NFP(非農業部門雇用者数)市場予想上振れ」に反応し、直後に米ドル/円は113円44銭まで上昇。この高値は瞬間的に付けて終わったことから、NFPとの数字比較だけで売買ルールを決めていたアルゴリズムが反応しただけとしか言い様がありません。その後の112円台半ばに向けた下落を見ても、少しでも高いところがあれば、米ドルを売りたい雰囲気が市場で強くなっている印象でした(市場では、平均時給の伸び率が予想に届かなかったことで利上げ観測後退と解釈されていますが)。

 米国の強い経済指標が単純に米ドル買い要因にはならず、トランプ政権の米ドル安志向という上値ブレーキが存在している以上、日経225に関しては上値を追うセンチメントが作られないといえます。先週末のNYダウは2万ドルを回復、これはドッド・フランク法を含む現行の金融規制撤廃の大統領令が署名されたことがきっかけでした。金融株高でNYダウが上がりましたが・・・日本の日経225に関しては、メガバンク株が占めるウエイトは非常に低水準です。日経225に占めるウエイトでいえば、メガバンク3つ合わせて僅か0.278%。日経225に採用されている銀行、証券、保険株は19銘柄ありますが、そのウエイトを全部合わせても2.522%。これは、値がさ株である京セラ(2.418%)1銘柄と同じ程度です。政策恩恵による金融株主導での日米株高を想定するなら、「NYダウ買い/日経225売り」が有効ではないかと思います。

 米ドル/円に関しては先週、日銀に対する不信感(想定外の時間での指値オペ通知など)も芽生えています。日本の金利上昇を通じた短期的な為替変動リスクが新たなに浮上し、ますます手掛けづらい状況。今週でいえば、週明け6日にトヨタ自動車が決算発表するほか、決算発表のピーク週。そして、週末10日に日米首脳会談を控えています。だからこそ、ますます手掛けづらい・・・日経225で19000円辺り、米ドル/円で112円台での下値抵抗力を示す不気味な底堅さに加えて、動きづらい要素も満載といえます。もちろん、トランプ政権からどんな話が出てくるかもわかりません。わからないことだらけ・・・。  

そんななか、先週末のロイターの記事では、日米首脳会談に向け、「日米成長雇用イニシアチブ」という案を作成していると伝わっています。日本の資金力(どこにあるのか不明ですが)を最大限に活用し、米国内におけるインフラ投資で約51兆円の市場創出効果があり、70万人の雇用を生み出す」と明記されるのだそうです。この手の具体的な話が伝わると、円安要因と認識される可能性は十分あり、円高になりそうという感覚だけで動くのも得策ではないでしょう。

日本の政府はかつてアベノミクスを提唱していましたが、日米首脳会談に向け、今は日本も「アメリカファースト」で対応に動くようです。もはや国内要因(日本の実体経済に対する期待など)で日経225を買う理由は見当たらない(いつものことですが)以上、不透明感の強い外部要因だけに左右される展開となりそうです。今週の想定レンジは18500円~19300円、今後1カ月のレンジは18300円~20000円とします。

(おしまい)

※当レポートは、投資や運用等の助言を行うものではありません。また、お客様に特定の商品をお勧めするものでもありません。

※当レポートに記載する売買戦略はテクニカル指標その他を基に客観的に判断しているものであり、相場の行方を決定付けるものではありません。最終的な投資判断はご自身の意思判断によりお取引いただきますようお願いいたします。

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