岡村友哉の日経225ここだけの話

岡村友哉がお届けする一週間の予想レンジと市況情報。

2017/01/30 13:25中長期スパンでは、無理なトレードは控える時期?!

日経225 現物指数 終値19467.40円(1月27日)
安値18783.16円(1月24日)/高値19486.68円(1月27日)

(日経225 日足チャート 25日線付)
期間:2016/1/1~2017/1/27
 
(出所:Bloomberg)


(先週の振り返り)

 ついにトランプ米大統領が誕生、そして、NYダウはついに2万ドルの大台にも乗せました。トランプ大統領も「グレイト!」(大統領の公式ツイッターで・・・)と祝福した米株の上昇を受け、「トランプ・ラリー第2幕が始まった」と活気付く市場関係者の声も自然と増えてきたように思います。

 保護主義の部分が全面に出ていたトランプ米大統領の就任演説。財政出動や規制緩和といった部分に触れられていなかったこともあり、就任演説後に米ドル/円が下落。その流れは、週明け23日(月)の東京時間入りと同時に加速しました。米ドル/円は114円割れ、日経225も19000円を割れて始まります。この日は、前場にTOPIXが1.07%安で終えたこともあり、午後には日銀ETF買いが発動。その力も手伝い、午後に下げ幅を急速に縮めましたが、取引時間終了にかけて再度下げ幅を広げていきました。

 この日の終盤における日経225の弱い動きには、ひとつの理由が存在しました。それは、日経225採用銘柄の入れ替えに伴うもの。24日からミネベアとの経営統合により、ミツミ(上場廃止になるため)が日経225採用銘柄から除外されることが決まっていました。そして、その替わりとなる新規採用銘柄は大塚HDでした。ただ、平均株価を計算するうえで、値がさ株の大塚HDとミツミには株価に大きな差があります。そのため、日経225をベンチマークにするパッシブファンド(例えば、日経225連動型ETFや日経225インデックスファンド、裁定業者など)は、ミツミを売って、その分だけ大塚HDを買えば済むというわけではありません。ミツミを売却した分だけでは大塚HDを買わなければいけない資金に到底到達しないため、ミツミ以外にも保有しているその他224銘柄の売却も必要だからです。つまり、大塚HDが新規採用されることで、指数連動のための業務的な売りがこの日に発生したという要素もあったわけです。しかも、これが市場観測では約800億円に相当していたとされます。約700億円の日銀ETF買いよりも多かったわけで、この日に関しては日銀ETF買いを吸収したという特別な理由が存在していました。

 本格的にリスクオフ(というかトランプオフ)の雰囲気が強まったのは、翌24日(火)でした。トランプ大統領が米国の大物経営者をホワイトハウスに招いた朝食会で、「日本」を名指しし、自動車貿易が「不公平」と指摘。中国と並んで日本も批判の矛先になったことを受け、米ドル/円が下落。また、前の週にトランプ氏の米ドル高けん制の火消し役になった次期財務長官のムニューチン氏が「過度に強いドルは時折、短期的に米経済にマイナスの影響を与える」と上院議員への書簡で回答していたことが伝わります。リスクオフムードが東京時間に強く漂い、米ドル/円は前の週の安値112.54円を一時割れる場面も。この日は為替に比べると株が堅調で、午前中のTOPIXは0.28%の下落率で終了します。結果的に、この日日銀のETF買いが見送られていたこともあり、午後に下げ幅を拡大。ほぼ安値引けの形となりました。この時点では、相当トランプ政権に対する警戒感が心配されていたように思われます。

 ただ、あれだけ心配したのが何だったのか?というレベルで翌25日(水)からトランプオン、リスクオンに転じ、冒頭の「トランプ・ラリー第2幕が始まった」と宗旨替えする市場関係者が続出しました・・・。反転のきっかけになったのは、前日の米株の上昇(NYダウで112ドル高)。大統領就任後からアグレッシブな実行力を示すトランプ氏が、この日はオバマ政権下で開発頓挫していた原油パイプライン計画のキーストーンとダコタ・アクセスの建設推進を目指す大統領令に署名。規制緩和への前向きな姿勢をハヤし、日経225も朝から19000円台を回復。前日が悲観の極みのような空気だったこともあって、手前で入り過ぎたショートポジションの買い戻しを誘発した部分も相当にあったと思われます。また、個別ではグループ企業のアリババが好決算だったこともあり、指数ウエイトの高いソフトバンクグループの株価が大きく上昇したことも寄与しました。

 26日(木)は、祝NYダウ2万ドル(「グレート!」byトランプ)にあやかるような格好で、大幅続伸となりました。NYダウが、初めて2万ドルの節目を突破し、史上最高値を更新。20000ドルと19900ドルの100ドル差と、19900ドルと19800ドルの100ドル差は、同じ100ドル差でも意味が違う(センチメント的に)というほど、昨年跳ね返されてきた節目2万ドル突破は日本でも祝福ムードだったように思われます。米長期金利も2.5%台に上昇。リスクオンの大勢は整っていたものの、トランプ大統領がメキシコとの国境沿いに壁を建設するという大統領令に署名したからか、前日日銀が国債買入れオペを突然見送っていたからか、長期金利の上昇に米ドルが反応せず返ってきました。円高基調にあることがこの日の日経225の上値抑制要因に。ただ、東京時間の現物市場で、メガバンクを代表とする銀行株、その他保険株や証券株など金融株が急激な値上がりを見せ始めます。この現象は、トランプ・ラリー第1幕の初動時(大統領選挙直後)に起きた形そのもの。これが活力となり、「トランプ・ラリーは第2幕に入った」と感じ取る市場参加者が増えたようでした。

 週末27日(金)も、NYダウの連日の最高値更新のほか、この日は米ドル/円も114円台半ばで返ってきたことが日経225の押し上げ理由に。寄り前の外資系証券の注文動向が差引1500万株買い越しと、9カ月ぶりの高水準だったことなども外国人買いカムバックを意識させる手掛かりとなりました。取引時間中には、5年超~10年以下の国債買い入れオペ増額を受けて、一時米ドル/円が115円台を回復。違和感があったのは、そのタイミングでも自動車株(トヨタなど)が一向に円安に反応しないどころか、日中安値を付けにいく逆行現象が発生していたこと。日経225など指数についてはトランプオンの楽観ムードを謳歌しているようでもありますが、通商リスクを抱えた自動車などの個別株単位では、トランプリスクに相当神経質なままであることも明らかになった後味の悪い週末だったように思われます。先週は週間では329円の上昇となり、3週ぶりに日経225は週間で上昇となりました。

(今週の見通し)

 頭で理解しようとしても、腑に落ちない(実感なき)日経225上昇という印象が強くあります。就任後、大統領令を連発するトランプ米大統領。彼が精力的に活動(暴走?)すればするほど、その思いはより強まる・・・その一方で、リスクオンを維持するマーケット。現実とマーケットを切り離し、割り切った考え(ドル建て日経225がITバブル崩壊後の高値を更新したことで、海外勢に日本株を持たざるリスクがある、等)を持たない限り、ロングで市場にエントリーするのは難しいのではないでしょうか。

 とはいえ、市場がリスクオン地合いを不自然なまま保つことで、日経225にショートで向かっていた投資家が委縮したのも事実。VIX指数も、先週末27日時点では10.58と14年7月以来の低水準を更新しています。株のボラティリティは極めて低い状態にあるなか、今週は日米ともイベントが多く、日本については決算発表(31日が最初のピーク)が多く控えます。積極的にデルタリスクをとりたくないプレーヤーが多くなってしまうと見られ、結果的にボラティリティの低位安定が維持される可能性もあるように思われます。

 個別企業の決算発表自体は、日経225に大きな影響を及ぼすことはないでしょう。イベントでいえば、まずは31日に結果が公表される日銀会合。今回は、3カ月に1回の展望リポートも公表されます。とはいえ、市場は日銀に対して政策維持、方針維持をコンセンサスにしています。今年に入り、日銀ETF買いのテーパリング観測が浮上しましたが、こちらは4月以降の会合との予想。先週、唐突に1年~5年国債の買い入れが見送られ、「テーパリングを進めたいことを市場に伝えているのでは?」との声も浮上しましたが、週末27日にオペ増額をしたことで懸念を先に一蹴しています。一方で、2月1日に結果が公表される見通しのFOMC。コンセンサスである年3回利上げを支持する内容になった場合(まだコンセンサスは30%程度)、米ドル高材料と一般的には解釈できます。これが、円高懸念派の「トランプ氏のドル高けん制発言がリスク」という根拠に短期的に勝り、週後半に円安/株高の形になる可能性もあります。

 正直、日経225が年初来高値である19594円を上回っても、再度19000円を下回っても、それはそれで短期のマーケットで起きた話で片付けられてしまうような状況にあるといえます。繰り返しになりますが、事前に説明もなく、理解を得るなんて段階は当然すっ飛ばし、一方的に権利を振りかざすトランプ大統領にマーケットは期待しているのであるとすれば、現実とはかけ離れています。短期間でパフォーマンスをあげたい(あげないといけない)ヘッジファンドは、トレンドフォロー(トランプ期待で上がる株などを買う、逆の株を売る)で動いていますが、あくまで短期の話。これにほとんどの長期投資家が追随していないのが現状です。1月第3週の投資主体別売買動向では、その前の週に売り越しに転じた海外投資家が、2週続けて売り越しでした。一方、その前の週に10週ぶりに買い越しに転じた個人投資家は一転、売り越しでした。つまり、相反する動きを常に示す外国人と個人が両方売っていたわけですね。そのなかで、唯一買っていたのは証券自己。証券自己というのは、日銀ETF買い分になります(細かいことは省略しますが、この週3回のETF買いを発動)。トランプ大統領の就任直前週ですが、相場感ゼロで政策的に買っていた日銀だけでした。

こういった環境で、中長期スパンを前提にする投資家は、無理にトレードしてリスクをとる必要はないように思われます(実際、そうしている長期投資家が多いからボラティリティが低いままなのでしょう)。今週の想定レンジは19000円~19600円、今後1カ月のレンジは18400円~20000円とします。想定より上がったからといって、逆張りで安易にショートポジションを持つことは避けたいところ。ただし・・・、トランプ・ラリー初期によくこうしたコメントをしていましたが、それとは意味合いが違います。もはやトランプ・ラリーが維持されるかどうか以前の問題になっているように思います。

(おしまい)

※当レポートは、投資や運用等の助言を行うものではありません。また、お客様に特定の商品をお勧めするものでもありません。

※当レポートに記載する売買戦略はテクニカル指標その他を基に客観的に判断しているものであり、相場の行方を決定付けるものではありません。最終的な投資判断はご自身の意思判断によりお取引いただきますようお願いいたします。

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