岡村友哉の日経225ここだけの話

岡村友哉がお届けする一週間の予想レンジと市況情報。

2017/01/16 14:08米大統領就任式を控え調整色強い地合いも、方向感は出にくい!?

日経225 現物指数 終値19287.28円(1月13日)
安値19069.02円(1月12日)/高値19484.90円(1月10日)

(日経225 日足チャート 25日線付)
期間:2016/1/1~2017/1/13
 
(出所:Bloomberg)

(先週の振り返り)

「トランプ大統領誕生はやはりリスクじゃないのか?」、これを多くの投資家が感じ始めたのは間違いありませんが、まだその程度の段階といえそうです。大きく下落する場面もありながら、週間高値と週間安値のほぼ真ん中で1週間を終えています。日経225は下げたとはいえ、前週比で0.85%下げただけともいえます。見方によれば、上昇相場でも随時入る健全な調整に過ぎないともいえるわけです。記者会見をしたとはいえ、まだトランプ大統領は誕生していないわけで・・・まだ少し先の展開も読めない、エントリータイミングが決められない、そんなジレンマを多くの投資家が抱えたままだと思われます。

3連休明けの10日(火)は、連休中に浮上した“ハードブレクジット”懸念や、米ドル/円の下落を受けて売り先行で始まりました。午前中は、TOPIX主導(先物に買い観測)で持ち直し、一時日経225もプラス圏に。ただ、現物市場の昼休憩中に先物が崩れ(下がるときは日経225先物主導)、一時200円を超える下げ幅となる場面もありました。基本的にはトランプ次期大統領の記者会見を11日(日本時間では12日未明)に控えるなか、多くの参加者が様子見ムード。いわゆる“板薄”の状態のなか、前場のTOPIXがわずかながら上昇で終えたことで、「日銀ETF買いが後場入らない」ことが確定的になります。これで短期筋も安心してショートから入れる環境になったことが午後に崩れた理由と見られます。ただ、この日の先物手口でも、昨年12月から話題になっているゴールドマン・サックス(以下GS)によるTOPIX先物大幅買い越しが確認されました。この日、TOPIX先物を6669枚の大幅買い越しだったことが判明(一方で、日経225先物は2619枚売り越しのため、一部NTショートの形)。GS経由で買いを入れる最終投資家は年金のような長い資金なのか?短期のヘッジファンドなのか?と相変らず市場参加者の関心を集めています。

 トランプ氏の記者会見を目前に控えた翌11日(水)は終日こう着。1日の上下値幅もわずか76円と今年最低にとどまりました。前の日のNY市場が様子見ムードだったこともあって、日本でも積極的に動くムードはありません。ただ、この段階での市場参加者のコンセンサスは、「記者会見前は警戒、会見後にリスクオンを取り戻す」にあったように思われます。この日もGSはTOPIX先物を1018枚買い越し。前日に比べ買い越し規模は縮小するも、依然としてGSの顧客は買い姿勢にあることが確認されました。

 そして、世界中が注目した、大統領選挙後で初のトランプ氏の記者会見。細かい内容は省略しますが、トランプ・ラリー継続を願っていた市場参加者からすれば失望的内容でした(ポジションを持っていない、中立の立場で見ていた筆者のような人間には酷い記者会見にしか見えなかったように思えますが・・・)。記者会見まで十分な時間があった割に、とくに練られた感じの内容でもなく、CNNを批判し、ロシアのハッキング問題などに時間を割き、メキシコとの国境に壁を建設する、薬価が高額だといった内容に終始。トランプ・ラリーの前提として期待されていた財政政策や規制緩和など景気刺激策には一切触れませんでした。日本に対しては貿易不均衡を指摘するも、敢えて良かった点を探すなら「ドル高」に対してのけん制発言は無かったこと程度でしょうか・・・(そもそも質疑応答でも質問に挙がらなかっただけですが)。

 注目を一身に浴びた記者会見だったこともあり、最中に米ドル/円は乱高下。開始後に期待感から116.87円まで上昇するも、質疑応答後に114.24円まで急落。これを受けた12日(木)の日経225は、ギャップダウンでスタート。115円台に持ち直していた米ドル/円も、東京時間に入ると再度崩れ、日経225も一時19069円まで下落しました。午後は日銀ETF買いが入りましたが、この日の安値は後場に付けています。トランプ会見への失望や、事前に円ショート/日経225ロングで入っていたイベントドリブン型のヘッジファンドのアンワインドに伴う下落圧力が勝った格好。東京時間終了後、ロンドン時間に入るとさらにドル売りは活発化し、米ドル/円の安値は113.76円となりました。

 週末13日(金)は反発。ドル売り一服(東京時間には115円台を回復)を伴う形で、トランプ氏の記者会見を目掛けた一連のポジションも整理が一巡したような展開に。ただ、この日の日経225上昇分のうち30円強は、前日に決算発表したファーストリテイリングとセブン&アイの大幅反発が寄与した分でもありました。なお、この日は1月限のオプション、ミニ先物のSQでした。SQに関連する日経平均型の注文は小幅売り越し(1銘柄当たり2.8万株程度)だった様子。1月SQ値は「19182.28円」でした。

(今週の見通し)

 カウントダウンを続けてきましたが、トランプ米大統領の誕生まで、あと5営業日です。今週の最大のイベントは、一にも二にも20日(日本時間では21日1時30分)の米大統領就任式。今週は米企業決算も本格化するし、18~19日にFRBのイエレン議長が講演するし、19日にはECB理事会が予定されています。17日には、英メイ首相が講演を予定。この場で、“ハードBrexit”を表明する方針と英サンデー・タイムズ紙が報じています。これを受け、16日に英ポンド/米ドルが1.19ドル台へ急落する場面もありました。ただ、いずれも20日のトランプ大統領誕生を前には霞んでしまうところ。何といっても、トランプ氏で始まった相場は、トランプ氏しか再燃させることもできないし、トランプ氏しか消滅させることもできないだろうから。

 新大統領誕生の先は現時点で読めないものの、日本時間でいえば就任式は21日の深夜未明になるため、東京時間は今週いっぱいポジションを落としておこうとする参加者が多そうです。ただ、ポジションを落とすというのは、単純に利食い売りで上値を押さえられるという意味ではありません。「根本的な彼の考え方は同じだろうから、就任式で失望感をさらに強めるだけだろう」と警戒するのは当然で、ロング過多の投資家はポジション整理でロングを落とします。一方、「大統領になる前だから好きなことを発言しているだけで、就任後は減税や財政政策の話で市場を喜ばせるのでは?」とも考えられるわけで、それを警戒してショート過多の投資家はポジション整理でショートカバーに回ります。結局、大きく方向は付かないまま20日を迎える公算は大きいわけです。もちろん、先週確実に弱気ムードが生まれましたので、トランプ・ラリー終了に賭けた米ドル売り/日経225売りの動きも単発的には見られるでしょう。ただ、こういったショートセルが強まるほど、ヘッジファンドにとっては就任後に短期的な踏み上げを誘う動機にもなります。だから、今の時点では決め打ちできないわけです。

 まだ、トランプ・ラリーは消滅していません。あれだけ何もいい面が無かった記者会見だったにも関わらず、先週の日経225は週間で167円しか下げていないわけです。しかも、その中にはウエイトトップのファーストリテイリング株の大幅安による影響(週間では日経225を約50円押し下げ)も含まれています。米大統領選挙の開票日、日経225の終値は16251円でした。そして、現在でも、当時より約3000円も高い値段で取引されている日経225・・・。 トランプ・ラリーが終了となる場合、もっと派手にその影響は出るのでしょう。目に見えて終わったね、と分かるアンワインド(米長期金利下落/ドル下落/株下落)はまだ起きていないわけです。これが日経225ロングのリスク。現状は、トランプ・ラリー以降に順張りで乗った人(主に外国人投資家と見られる)だけ生き残っているわけですが、潮目が変化したと明らかになれば、迷いなくドテン売りにひっくり返るプレーヤーが多いでしょう。

 大発会こそ急騰した日経225ですが、トランプ氏の記者会見(11日)に向けた4営業日では230円ほど調整して迎えました。強気派、弱気派それぞれのポジション整理が交錯するとしても、19000円前後まで調整した形で週末を終える展開がイメージされます。今週の日経225の想定レンジは、18800円~19400円を想定。足元の水準低下を受け、今後1カ月の想定レンジは上限だけ切り下げ18500円~20000円とします。来週以降、下限に向けて動き始めるか、上限に向けて動き始めるかは、誰にも予見できるものではありません。

(おしまい)

※当レポートは、投資や運用等の助言を行うものではありません。また、お客様に特定の商品をお勧めするものでもありません。

※当レポートに記載する売買戦略はテクニカル指標その他を基に客観的に判断しているものであり、相場の行方を決定付けるものではありません。最終的な投資判断はご自身の意思判断によりお取引いただきますようお願いいたします。

※当レポートのデータ情報等は信頼できると思われる各種情報源から入手したものですが、当社はその正確性・安全性等を保証するものではありません。

※相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。

バックナンバー

「岡村友哉の日経225ここだけの話」過去記事のタイトル一覧(月別)はこちら。

株価指数CFDをご検討の方へ マネースクエアはあなたの資産運用のパートナーとして、革新的なアイデアを提供し続けます。
各種取引ツール M2J株価指数CFDでご利用いただく取引ツールについてご案内します。 各種トレードツール
ページトップへ