岡村友哉の日経225ここだけの話

岡村友哉がお届けする一週間の予想レンジと市況情報。

2016/12/19 14:50日経225は底堅く動く可能性高い

日経225 現物指数 終値19401.15円(12月16日)
安値19054.00円(12月12日)/高値19439.97円(12月16日)

(日経225 日足チャート 25日線付)
(期間2016/1/1~12/16)
 
(出所:Bloomberg)

(先週の振り返り)

 毎週繰り返しになりますが、トランプ・ラリーは先週も継続。「先に引いたら負け」のチキンレースの様相にもなってきました。週末16日(金)まで日経225は怒涛の9連騰・・・。大きな流れには逆らわないほうがいい、といった認識が日本の個人投資家にも徐々に浸透してきているようにも感じる1週間でした。

 週初12(月)は、前週末の海外時間のリスクオンに引っ張られ買い先行でスタート。米ドル/円が115円台に乗せていたことを受け、大きく上昇して始まりました。ただ、日本時間は上げ幅を縮小する動き。とりわけ、トランプ・ラリーの特徴でもあるバリュー株買いが止まり、バリュー株は逆行安。一方でグロース株売りが止まり、強めに買い戻される展開になりました。物色の変化が意識された1日になり、「トランプ・ラリーはそろそろ終わったかもしれない」と身構える参加者が生まれたようでもありました。

 翌13日(火)は、朝からリスクオフムード濃厚でスタートします。前日の欧州時間に米ドル/円が116円台を付けるも、その後達成感からか急速に失速。欧米株も軟調で、お決まり化していた海外時間のリスクオンが一旦途切れたのがこの日でした。前日に「バリュー株売り/グロース株買い(戻し)」とトランプ・ラリーのアンワインドが東京時間で加速した残像もあり、大きめの調整もイメージされた日でした。ただ、安く始まると意識されるのが日銀ETF買い。これを意識して前場も下げ渋ったのですが、この日のTOPIXの前場終値は前日比0.08%安。ほんのわずかな下落ですが、後場は露骨に指数主導で持ち直します。そして、実際この日も今月3度目の日銀ETF買いが入っていました(買い入れ額は724億円)。「午前中のTOPIXがほんのわずかでも下がれば入る日銀砲」であることが確認され、一層「下がりそうでも売りから入ってはいけない」という意識をプレーヤーに植え付けたように思われます。

 FOMCの結果発表を目前にした14日(水)は、不穏な空気を一掃するレベルでまたしても海外時間がリスクオン化。イタリアの銀行株が急騰(ウニクレディトが15%高など)し、欧州株も一斉高。夜間には日経225も19300円台を付けていました。リスクオンで戻ってきた日本市場ですが、FOMC前のポジション調整なのでしょうか・・・。相変らず上値の重たい展開で、日経225はかろうじてプラスを維持。そして、注目されたFOMCでは、市場が予想していた通り0.25%の利上げが決定しました。2017年の経済見通しについては、実質GDPが+2.1%と、前回9月の+2.0%からわずかに上方修正(ただ、ほとんど経済見通しは変化なかったといえるレベル)。驚きをもたらしたのは、2017年の政策金利見通しが2回から3回に引き上げられていたこと。米長期金利は2.57%へ再上昇し、米ドルは急いで買われます。一時115円を割れていた米ドル/円も、117円台に上昇。

 利上げペース加速観測を受けて米株は調整するも、円安の部分を素直に喜ぶ日経225は15日(木)に大幅高で始まります。とはいえ、日経225先物の始値は前日比130円高の19310円。FOMCを受けて米ドル/円が2円以上も急伸した割に、日経225の上げ方は弱かったように思われます。トランプ・ラリー下では、米ドル/円が1円上昇すると、日経225は200円強のペースで上がってきました。単純過ぎるかもしれませんが、米ドル/円が2円上げるなら、日経225は寄り付き400円高でもおかしくない話。想定外の早さで想定外の水準に到達したこともあり、「とりあえず目をつぶって買っていこう!」といったムードは落ちてきたようでもあります。週末16日(金)も、前日の海外時間がいつも通りリスクオン。米ドル/円が118円台に乗せ、米株もあっさり反発。金利高を好感し、欧州金融株の強烈買い戻しも目立ち、夜間の日経225先物は19500円にタッチします。それでも、やはり東京時間のスタートは何だか重たい・・・。日経225先物はギャップアップで19420円から始まるも、「寄り付き天井」で伸び悩む展開になりました。東京時間が利益確定売りタイム化しているものの、週間ベースではこれで6週連続上昇です(今年初)。

(今週の見通し)
 「今週こそ調整するだろう」といった見方はより多くなりそうです。先週末16日まで、無傷の9連勝となった日経225。連騰はさすがに途切れそうだとなりますし、そういう目線で見れば、(急速に上がったので当然なのですが・・・)テクニカルのオシレーター系指標を引っ張り出し、「過熱感が相当ある」と指摘する人も増えてきます。

先週末に話題になっていたのは、騰落レシオ(25日間の値上がり銘柄数の合計を25日間の値下がり銘柄数の合計で割って計算)でした。先週15日(木)時点の騰落レシオが165%になっていたのですが、これは1994年の算出以来の最高値。明らかな異常値を付けている騰落レシオから、「相場が過熱し過ぎているので注意」との声も多くなっています。こういった意識で投資行動をとる参加者が増えるとすれば、マーケットは投資家心理で作られていることもあって影響は受けるかもしれません。とはいえ、騰落レシオが1994年以来の最高値といっても、額面通り受け取る必要はありません。細かい話になりますが、日銀ETF買いの年間枠6兆円という規模は、1994年以来でも今年が初めてのこと。また、その日銀ETF買いの配分がTOPIX型が7割を占めるのも今年からです。日銀ETF買いを通じ、値上がり銘柄数が過去より幅広く発生してしまう側面があります。しっかり理屈を考えれば、騰落レシオだけでショートから入ることは無理です。

 「そろそろ調整入るかも?」なタイミングではありますが、騰落レシオのような指標で判断することなく、ブレずにトランプ・ラリーとは何か?を考えながら見ていきたいところ。現状、市場参加者は、日経225と米ドル/円しか見ていません。この2点に視聴率が集中しています。やや前週末に比べれば一服していますが、米ドル/円の水準を何より重視したいところです。例えば、週末16日にWSJが「中国人民銀行が金融機関に緊急融資を実施した」と報じました。中国人民元は、対米ドルで8年7カ月ぶりの元安水準にあります。このニュースと照らし合わせれば、「中国から海外への資金流出が深刻なのではないか?」と想像できます。ただ、中国国内の資金が流れている先は米国です。米ドルが買われる地合い自体が、日経225にとって円安を経路としてプラスと判断されます。この手の中国リスク浮上が単純に日経225のリスクオフ要因といえなくなったのが、トランプ・ラリーです。

 こんな意見もあります。「クリスマス休暇入りで、外国人参加者が減る」と。そういった意味でも、トランプ・ラリー下で買い手だった外国人が減ることは気にする必要があります。そして、相対的に(外国人の減少により)個人投資家の存在感が増すことになります。ここで考えられることは、トランプ・ラリーの特徴だった「夜間に日経225が上がる」現象が弱まることです。夜間のリスクオンが緩み、結果的に東京時間が甘くスタートすることが多くなるかもしれない・・・そのときに、これまで逆張りで売ってきた個人投資家が乗り遅れまいと買いに回る可能性があります(実際、11月最終週辺りから個人投資家の売りが細ってきていたほか、日経レバETFなどは買い越しに転じている形跡も出ています)。また、東京時間の午前中が弱くなれば、クリスマス休暇など関係なく日銀ETF買いの発動を誘発します。参加者が少ない時期のほうが需給面のプラス効果が出やすいわけで、19000円台にありながらも底堅く動く可能性は高いわけです。

 先週13日に、一部外資系証券が毎月出す「機関投資家調査」のレポートにこう記載されていました。12月分の調査期間は12月2日~8日なのですが、グローバルな機関投資家は「日本株に対して強気な見方が目立った」としています。そして、「足元で上昇してきた日本株に対して引き続き割安」と回答したようです。驚くべきは、グローバル投資家の日本株への配分。11月調査では-5%のアンダーウエイトだったのが、12月調査で+21%のオーバーウエイトに転じていたようです。さらに、このウエイト増加幅は、同証券会社が調査して以来“過去最大”だったと・・・・。トランプ・ラリー以降に日本株ウエイトを引き上げたグローバル投資家が過去最大というのは、その手前が異常なアンダーウエイトだったことの裏返しです。その分の大きな揺り戻しが今の相場といえます。クリスマス休暇で外国人買いが止まったとしても、「クリスマス休暇で止まっただけ」と割り切って考える必要もありそうです。

先週、年内最大のイベントと見られたFOMCを通過しました。それでも、その後に日経225は年初来高値を切り上げたわけで、FOMCめがけた短期筋の買いだったわけでもなさそうです。トランプ・ラリーの終わりは、上昇が派手だった分、誰もが見て分かるような派手な下げで現れると思います(もちろん、日経225と米ドル/円の同時安の形です)。先週分でも指摘しましたが、トランプ・ラリー終了を判断するには、せめて11月10日以降の上昇幅(12月16日終値まで)2027円の半分(1000円くらい)を溶かすような動きが確認できてから。今週の日経225の想定レンジは、先週同様の18800円~19600円とします。今後1カ月でいえば、レンジは18000円~20000円とワイドに置いておきます。トランプ新大統領の誕生まで、ほぼあと1カ月・・・。

(おしまい)

※当レポートは、投資や運用等の助言を行うものではありません。また、お客様に特定の商品をお勧めするものでもありません。

※当レポートに記載する売買戦略はテクニカル指標その他を基に客観的に判断しているものであり、相場の行方を決定付けるものではありません。最終的な投資判断はご自身の意思判断によりお取引いただきますようお願いいたします。

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