岡村友哉の日経225ここだけの話

岡村友哉がお届けする一週間の予想レンジと市況情報。

2016/12/12 15:33「日経平均2万円」に備え

日経225 現物指数 終値18996.37円(12月9日)
安値18227.39円(12月5日)/高値19042.48円(12月9日)

(日経225 日足チャート 25日線付)
期間:2016/1/1~12/9
 
(出所:Bloomberg)

(先週の振り返り)

トランプ・ラリーがまた燃え上がりました。トランプ・ラリー後の高値を更新。年初来高値も更新し、ついには先週末19000円台に乗せる場面も。神ってる日経225を演出する主役は外国人買いにあり、日本の株が上がることに懐疑的な日本人の買い戻しにあり・・・。外国人の買い対象は、先物から現物へ。週間での上昇は5週連続となりました。

週の幕開けは、イタリアの憲法改正の是非を問う国民投票と重なりました。5日(月)の日本時間7時から開票が始まり、結果を最初に織り込むのがまた東京市場という形になります。Brexitや米大統領選のトラウマがあり、「また無駄な下落につながるのではないか?」と身構えるムードは当然ありました。事前の世論調査段階で否決のシナリオは織り込んでいたとはいえ、出口調査で反対が5割を超えていると伝わった直後にユーロが独歩安。参加者が非常に少ない時間だったこともあり、一時ユーロ円は118.70円台まで急落しました。ただ、株の東京時間が始まる9時の段階で、レンツィ首相の辞意表明も出ていました。そのおかげで、日経225は無駄な乱高下を避けられたともいえます。不安材料に神経質な東京時間は相変わらず上値が抑えられますが・・・不安は杞憂だったことが東京時間終了とともに明らかになります。

当のイタリアの株式市場ではMIB指数や銀行株が売られた一方、時間外で米株先物は上昇。また、欧州でもドイツやフランス株は大幅高となり、一時119円割れしたユーロ円も122円台半ばまで急伸。NY時間でもNYダウが史上最高値を更新するなか、また東京時間に「神経質になり過ぎて無駄に下げていた」日経225は6日(火)にギャップアップで始まります。とはいえ、この日も東京時間は上値が重く、113円台で上値の重くなったドル円を横目に見ながら、ジワジワ上げ幅を縮める展開でした。週末にメジャーSQを控えていたこともあり、日経225やTOPIX先物の大口プレーヤーはロールオーバー(12月限から17年3月限など期先に乗り換える動き)がメインに。東京時間の上値が重いなか、先物手口からはTOPIX先物でゴールドマン・サックスやJPモルガンなどの買いロールが目立っていました。

 ここまでは、「欧州時間→ドル円上昇&欧州株上昇」、「NY時間→ドル円上値重くなる&米株上昇」、の形で返ってくるパターンが多くなり、それを受けた東京時間は朝方こそ高いが「株上値重い」といったサイクルでしたが・・・7日(水)に意外な形で変化が起き始めます。NY時間の6日にソフトバンクの孫正義社長がトランプタワーを訪問し、トランプ次期米国大統領と会談。この場で「今後4年間で500億ドルの投資を行い5万人の雇用を作ると約束した」と伝わると、一躍ソフトバンク株がトランプ銘柄のど真ん中に浮上します。日経225、TOPIXともに寄与度が大きいソフトバンクに買いが殺到し、同日はソフトバンク株が6%強上昇して1年4カ月ぶり高値に。ソフトバンクがムード改善の主役になったことで、日経225のローソク足が6営業日ぶりに陽線(始値<終値)となりました。

ECB理事会を控えた8日(木)も日経225はギャップアップでスタート。前日の欧州市場で金融株中心に買われ、とりわけイタリアのモンテパスキ銀行が10%上昇。イタリア政府による公的資金の注入検討が報じられたことが手掛かりとされますが、これがNYダウの上昇にも連鎖します。ドル円の上値の重さだけ気にされつつも、この日の東京時間は一味違う展開となりました。一時18614円まで上げ幅を縮めたところから、銀行株中心に現物株にまとまった買いが入り、18765円で日経225は高値引け。東証1部の大型、中型、小型いずれの規模別株価指数も高値引けとなり、日経225先物の買い仕掛けなどでは実現しない珍しい現象が起きました。確実に外国人による大掛かりな現物買いが入っていた(TOPIXフルバスケット)ことを示しているといえます。実際、東証1部の売買代金も3兆3930億円と、前週末以来の3兆円台に。

 またしても怒涛の強さを見せ始めた日本株、そのラストを締めくくったのが週末9日(金)でした。8日のECB理事会で、QEの規模を初めて縮小(毎月の購入額800億ユーロを600億ユーロに縮小)すると決めた一方、市場の予想通りQEの終了時期は9カ月延長(17年12月末まで)。QE縮小=テーパリングなわけですが、ドラギ総裁が「テーパリングは議論していない」と何度も説明したことでユーロが大幅安に。緩和姿勢を好意的に受け止めた欧米の株式市場が連日の上値追いとなるなか、日経225先物も夜間に18800円台に乗せます。この日はメジャーSQ(SQ値は18867.45円、日経225型は1銘柄当たり18万株程度買い越と観測)ということもあり、通過後に需給が変わる(下落に転じるのでは?)と懸念する声もありましたが、またしても心配無用の展開となります。指数上昇により、20000円コール買い(ヘッジ買い)や売り方の買い戻しも巻き込みながら、モメンタムは完全に上。高値19042円は、昨年の大納会終値(19033円)を上回りました。

 (今週の見通し)

 先週末、日経225のオプションサイドで一番売買が活発だったのは、権利行使価格20000円コールでした。疑心暗鬼ながらも、市場参加者は「日経平均2万円」に備えて動き始めています。そして、週末の米投資情報誌バロンズの特集記事は「ダウ2万ドルに準備せよ」。NYダウの週末終値は19756ドルで、こちらの2万ドルはあと一噴きといった位置にあります。先週末、欧州株式市場では、イタリア株だけが下落しました。そのなかで、イタリアの第3位銀行モンテパスキ株が10%超の急落。モンテパスキの増資延期をECBが認めなかったとの報道が理由とされますが、場合によっては、これが欧州株売りのきっかけになり、NYダウが下げてもおかしくはなかった・・・それでも、そうならなかったトランプ・ラリー。ひとまず、NYダウで2万ドルの大台替わりを一度でも見ないと高揚感は冷めない、そんな勢いがあります。

 「まだ上があるのか・・・」そんな日経225です。海外時間に上昇する勢いがまた強くなってきたうえ、先週後半は東京時間の午後に上げ幅を広げるケースも多くなってきました。海外時間の上げは、強気に転じた海外投資家の買い継続を意味すると理解できますが、午後の上げは「海外時間の上昇に対する恐怖感」といえるでしょう。日経平均のマイナス2倍動くよう設計された日経ダブルインバースETFという商品がありますが、この発行済み口数が過去最高を更新しています。これは、下がれば儲かる仕組みですので、完全に弱気のポジション。こういったポジションを持った状態の個人投資家が急増したのが今回のトランプ・ラリーの特徴です。そういった投資家にとって、最も苦しいのが今の展開。海外時間の上げで生じるギャップアップ分が損失になります。この被害を被らないためにも、東京時間のうちに反対売買(日経225買い戻し要因)する投資家が増えてきているように思われます。もちろん、海外時間の上昇を警戒し、東京時間の午後に日経225売りのポジションを新規に作る投資家も減少していきます。結果的に流動性は落ちるため、1日当たりの上方向への値幅も大きくなってきていることが想像されます。

 「そろそろ調整するかもしれない」という意見で先週出ていた話でいえば、「昨年と同じ12月1日が戻り高値になった」というのがありましたが、その不安を先週一蹴。「メジャーSQ通過で需給が変わる」という不安も先週あっさり一蹴。「ドル円が115円手前で異様に重たい」という懸念も一蹴。と来ていて・・・さあ今週は?となるわけですが、今週挙がっている意見としては「FOMC(14日)で一旦調整」や「週末16日の米国市場のメジャーSQまで」といった声があります。トランプ・ラリーということで、「14日にNYで開かれるトランプ氏の会見に注意」という声もあります。いずれも、突然トランプ・ラリーが反転するきっかけになってもおかしくないように思える話です。とくに、この時期(毎年ですが、12月第3週辺りから年末にかけて)、クリスマス休暇をとる海外投資家は少なくありません。休暇前にポジションをクローズするという投資家がいれば、手前で作ったポジション(今であれば日本株はほぼ確実にロング)を手仕舞うタイミングでもあります。そういうタイミングと上述の理由が重なり、調整開始に見える動きになるかもしれません。ただ、“するかもしれない”だけであって、今の段階での決め打ちは禁物。これまで同様、ショートで入るのは危険だし、トランプ・ラリー終了と結びつけてしまうのも危険です。トランプ・ラリーが始まって1カ月経過しましたが、1日当たりで日経225が一番大きく下げた日ですら「151円安」です。少なくとも、たった1日150円くらいの下げがあったからといって、決定付ける要素にはなりません。トランプ・ラリー一巡を判断するには、せめて、11月10日以降の上昇幅(12月9日終値まで)1662円の半分「831円」分の上げを溶かすとか、それくらいの動きを確認できなければ決められないと思います。今週の日経225の想定レンジは、18800円~19600円に大幅に引き上げ、今後1カ月のレンジも下限・上限とも大幅に引き上げ、18000円~20000円とします。

(おしまい)

※当レポートは、投資や運用等の助言を行うものではありません。また、お客様に特定の商品をお勧めするものでもありません。

※当レポートに記載する売買戦略はテクニカル指標その他を基に客観的に判断しているものであり、相場の行方を決定付けるものではありません。最終的な投資判断はご自身の意思判断によりお取引いただきますようお願いいたします。

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