岡村友哉の日経225ここだけの話

岡村友哉がお届けする一週間の予想レンジと市況情報。

2016/12/05 13:56引き続き焦点はトランプ・ラリー!ただ「違和感」も

日経225 現物指数 終値18426.08円(12月2日)
安値18222.82円(11月28日)/高値18746.28円(12月1日)

(日経225 日足チャート 25日線付)
期間:2016/1/1~12/2
 
(出所:Bloomberg)

(先週の振り返り)

NYダウ、ドル円、米国の長期金利が米国大統領選挙後の高値を付けた先週。日経225も、12月1日(木)高値で18746.28円まで上昇。トランプ・ラリー以降の高値を付けたほか、終値ベースでの年初来高値も(大発会の1月4日以来)更新しました。終りそうで終わらないトランプ・ラリー。ただ、何か違和感も生まれつつ・・・そんな1週間でした。前の週の週末25日(金)の日経225の終値は18381.22円。12月相場入り直後の1日だけ見せ場を作ったものの、その動きを除けば「凪」だったいっても過言ではない1週間でもありました(前週末比でわずか45円高)。

 週初28日(月)は、祝日明けとなった前週末の米株市場が最高値を再び更新するも、ドル円相場の上昇が一服したこともあり朝から軟調なスタートに。結果、日銀のETF買い発動有無を決める基準であるTOPIXが前場0.37%安で終えました。これにより、米大統領選挙の開票があった11月9日以来となる日銀ETF買い(706億円)がこの日実施されました。トランプ・ラリーが小休止すると、〝日本時間だけで発生する買い需給by日銀“。この存在を改めて思い出させるのに十分なインパクトが現れたのがこの日。現状、日銀のETF買いに占めるTOPIX型ETFの購入比率が7割です。そのTOPIXから午後にプラスに転じたほか、TOPIX型(TOPIXウエイト上位)のメガバンクが上げ幅拡大。結果的に、日経225も下げ幅を急速に縮めました。日経225の連騰は7でストップしましたが、TOPIXはこれで歴代11位の12連騰を達成しました。

 29日(火)も日経225は朝安でスタートします。この辺りでトランプ・ラリーの一服を意識する声が結構強くなっていました。というのも、28日のNYダウが5営業日ぶりに下げたほか、トランプ・ラリーの米株高で際立っていたラッセル2000指数の連騰が15でストップしたことを気にしている参加者もいました。米長期金利の上昇も一服し、海外時間のドル高も一服。また、欧州の株式市場ではドイツDAXが1%安となったほか、国民投票を前にしたイタリアMID指数が1.8%安と大きめの下げ。とくに、資本増強策として債務の株式化を計画しているモンテパスキが13.8%安と急落しており、イタリアの国民投票を前にした欧州市場の軟調さも気にされていました。ただ、この日も東京時間は朝方こそ安かったものの、下げ幅は縮小。この日の底堅さの背景についても、やはりトランプ・ラリーを主導する外国人買いが背景にあったように思われます。こちらは後述します。日経225の上下値幅はわずか68円でした。

 激動の11月相場のラスト30日(水)は、前日のロンドン時間にドル円が113円台を一時超えたこともあり、前日比で円安に振れていたことから水準をやや切り上げてスタート。OPEC総会を前に、減産に消極的との報道もあって、原油が連日大きく下落。リスクオンムードにはブレーキがかかっていました。寄り付きこそギャップアップにより、日経225先物の買戻しや18000円より上のコールを売っている投資家のデルタヘッジを巻き込むものの、その後は上昇もストップ。ただ、この日はMSCI定期見直しに伴うリバランス需要があり、これが日本株全体では400億円強の資金流入要因と観測されていました。この辺りがプラスに働きましたが、この日も日経225の上下値幅はわずか89円でした。

 先週唯一の見せ場を作ったのは、12月相場入りした1日(木)。前日30日の海外時間に起きた強烈リスクオンにより、高値更新へ導かれた格好でした。直前にかけて減産で合意できるかどうかのコンセンサスが曖昧になっていたこともあり、減産合意でまとまったことに原油が強く反応(1バレル49ドル台)。さらに、トランプ政権の財務長官人事が元ゴールドマン・サックス(以下:GS)のムニューチン氏に正式決定。同氏が米CNBCに出演し、法人税引き下げなど税制改革の姿勢を示したこともリスクオンムードに拍車をかけました。夜間に日経225が18670円の高値を付け、直近高値のブレイクにより目線も上昇。これまでの弱気ポジションを一掃するような展開で、まさに踏み上げの様相になりました。東京時間には現物の日経225で18746円まで上昇。ただ、東京時間の午後に上げ幅を急速に縮小します。手前で先物買いに回っていた一部ヘッジファンドの利食い売りとの観測もありました。

週末2日(金)は反落。前の日の海外時間では、OPEC非加盟国のロシアも減産に賛同したと伝わり原油が続伸(51ドル台)。原油の上昇を受け、債券売りが優勢となり、トランプ・ラリーの象徴である米長期金利も一時2.49%に急伸。ただ、ドル円がこれに反応せず下落。日経225もイタリアの国民投票を前にしているという口実も付けながら、 軟調な展開になりました。そのなかで資金流入を伴って急伸したのがメガバンク(三菱UFJについては1銘柄で2130億円!5.67%の急騰でトランプ・ラリー後の高値更新!)でした。ただ、メガバンクなど金融株の奮起むなしく下落で終了。この日の午前中のTOPIXの下落率は0.17%でしたが、日銀ETF買いは発動されていました。買入れ額は11月実績分より36億円増額された742億円(これが12月の1回当たり買入れ額となります)。

 (今週の見通し)
 
 毎週繰り返していますが、日経225にとって、トランプ・ラリー継続の有無が最大の焦点です。イタリアの国民投票が否決になり、レンツィ首相が辞意を表明し、今後の政権運営や他国への飛び火を不安視したユーロ売りが進んだとしても、それが日経225の売買判断を軌道修正させる理由になる根拠を、筆者は今のところ示すことができません。引き続き、米国長期金利の動き、ドル円の動き、そして日本株に対する海外投資家の動きを点検しながら考えていきたいと思います。

 その意味では、少し“違和感”が出ているのが現状といえます。トランプ・ラリーは続いているように見えますが、「非トランプ・ラリー」と呼べる動きも融合し始めたといった感じです。気になるのが米国の月初12月1日の動き。この日は原油の上昇を受け、インフレ期待から債券売りが優勢となってトランプ・ラリーの象徴である米長期金利も一時2.49%に急伸しました。このラリーが始まってから最も高い金利水準になります(トランプ・ラリー継続)。そして、金利上昇により、米金融株も軒並み上昇(トランプ・ラリー継続)。とくに、GS出身者であるムニューチン氏の財務長官就任を受け、GSの株価は2007年以来の高値を付けます。この日はNYダウも過去最高値を更新したのですが、一方でハイテク株が売られナスダックは大き目の下落でした。ただ、これもトランプ・ラリーの初動に見られた現象ですので、トランプ・ラリー継続を想像させます。

気になるのが、このときのドル円の異様な弱さ。このパターンであれば、これまでドル円が確実に上昇してきたのですが、この日は逆進性を見せ、114円割れの場面もありました。市場では、“新債券王”で、トランプ勝利から金利上昇まで当てて注目されているダブルラインのガンドラックが米CNBCに出演し、「これ以上ドルは上がらない」という見方を示したことが理由ともされていますが・・・。急ピッチで水準訂正したドル円の上値が重くなっている点は気になるところです。先週末に出た11月の雇用統計が12月利上げを妨げるデータではなかったため、来週14日のFOMCで利上げが決まりそうです。焦点は「FOMCメンバーの経済見通し」になります。手前のドル買いが、節目といえるFOMCまでをターゲットとして目掛けた動きなのかどうか、転機を迎えるかどうか、これは来週の値動きで判明しそうです。

さて、日経225。基本的には円安(ドル高)に振れたこと以外に上昇を正当化する理由はありません。そのため、ドル高(=トランプ・ラリー)次第であり、ドル円に振り回される動きが中心軸にはなると思われます。ただ、これまでの上昇を実現した背景である外国人の買いが未だ続いているといえる以上、安易に「そろそろ天井だろう」とか考えるべきではないように思われます。米大統領選挙以降、外資系ブローカーでは、シティやクレディ・スイス、モルガン・スタンレーなどが相次いで「日本株をオーバーウエイト」に引き上げるレポートをリリースしています。これを受け、海外の運用会社が日本株のウエイトを高めようとすると考えられます。事実、投機筋と断定できない先物買い手口も見られています。

例えば、市場で注目されるGSのTOPIX先物の手口(投機筋はABNアムロなど手数料の安い業者を使い、流動性の高い日経225を売買する)。先週でいえば、11月28日の3334枚買い越しを皮切りに、29日2261枚買い越し、12月1日3764枚買い越しと買いに傾いています。結果、GSの建玉も7月最終週以来となる4万枚台に到達。この形は、日経225がアベノミクス相場後高値を付けた2015年半ばにかけて起きた現象です。トレーダ―の間で「GSには逆らうな」、これが共通認識です。

また、現状の日経225を下がりにくくしている要素が、いつも通りですが日銀のETF買いの存在と、トランプ・ラリー後に急速に積み上がった国内勢の弱気のポジションの存在があります。個人投資家中心に、日経225ショートのポジション(先物売りやベアETF買い)や個別株の空売りが溜まった結果、これまで以上に踏み上げになりやすい需給環境といえます。今のところですが、昨年と同じ12月1日のタイミングに戻り高値を付ける状態ではありますが、ただそれだけの理由で売りに転じるのは禁物です。現状の水準から12月1日高値を上方ブレイクするまでの距離も、18000円を割り込むまでの距離もあまり差はありません。ただ、仮にブレイクした場合、18000円割れで下げが加速しやすくなると思うか、18746円超えで上げに拍車がかかるかを想像してみることが重要だと思われます。今週の日経225の想定レンジは18000円~18600円に、今後1カ月のレンジは下限・上限とも引き上げ、17700円~18900円とします。

(おしまい)

※当レポートは、投資や運用等の助言を行うものではありません。また、お客様に特定の商品をお勧めするものでもありません。

※当レポートに記載する売買戦略はテクニカル指標その他を基に客観的に判断しているものであり、相場の行方を決定付けるものではありません。最終的な投資判断はご自身の意思判断によりお取引いただきますようお願いいたします。

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