岡村友哉の日経225ここだけの話

岡村友哉がお届けする一週間の予想レンジと市況情報。

2016/11/21 14:35ショートは危険な市場?!

日経225 現物指数 終値17967.41円(11月18日)
安値17455.78円(11月14日)/高値18043.72円(11月18日)

(日経225 日足チャート 25日線付)
(期間:2016/1/1~11/18)
 
(出所:Bloomberg)

(先週の振り返り)

 米大統領選に勝利したトランプ氏が、世界のマーケットの前提条件を覆しました。低金利時代の終わりの始まりかもしれない・・・過去最高レベルに高まっていたグローバル投資家のキャッシュ比率は急低下(株などに流入)。新興国売り、米国買いの大きなうねりは続き、その動きに日本株も引っ張られた1週間でした。週末には、5カ月半ぶりにドル円が110円台に乗せ、同時に日経225も18000円台乗せ(こちらは10カ月半ぶり)。日経225でいえば、先週の安値から今週高値まで最大2000円弱も急騰したわけで・・・誰も想像つかなかった値段になったといえるのではないでしょうか。

トランプ・ラリーの勢いは週が明けた14日(月)も継続。上値追いの局面で、日経225やTOPIX先物の買いの主役は「外国人」である場合が大半です。先高感の強まる初期段階では先物を利用した買いヘッジ(先に先物を買っておいて、その後に現物株のバスケットと交換=EFPと呼ばれます)がかなり入ります。そんな動きが今週は手口からもかなり多かったことが推測されました。例えば、14日は日経225先物をゴールドマン・サックス(以下GS)が2538枚買い越し、モルガン・スタンレー(以下MS)は2263枚買い越しでした。また、MSはTOPIX先物も3554枚の大幅買い越し。リスク選好の流れに乗るヘッジファンドの動きと予想されます。

 15日(火)も同様。米10年債利回りが2.3%台に乗せるなど、米金利上昇でドル円も108円台へ浮上します。米長期金利の上昇に引っ張られる格好で、この日の国内債券市場で10年債利回りが上昇。一時0.005%と、2カ月ぶり(9月21日以来)となるプラス圏に浮上。日経225は売り買い交錯となるなかでも、先物手口ではクレディスイス(以下CS)が日経225を3143枚買い越し、TOPIX先物を2965枚買い越し。いずれも買い筆頭は、相場上昇局面で大きな手口を傾けることで知られる欧州系のCSでした。 

 前日の小休止を経て、16日(水)は朝からラリーが再加速。ドル円が109円台、夜間に日経225先物も17900円台を付けていたことからギャップアップでスタートします。前日に日本の長期金利も一時プラス圏に浮上しましたが、「ここからの金利上昇には、イールドカーブコントロールを掲げる日銀が対応してくれる」との安心感が市場には蔓延しています。強いドルに対し、安心して売れる通貨が円ということです。この日は、三菱UFJや三井住友、みずほといったメガバンクが現物市場で大躍動。3銘柄だけで売買代金は4000億円超にもなりました。

 先週は、大きく上げると翌日小休止。17日(木)は、その前の米国株市場でトランプ・ラリーに一服感があり、日本もそれに倣う格好に。ただ、朝安く始まると、今度は意識されるのが(上げ相場時には存在を忘れられますが)日銀ETF買いになります。これで後場は下支えられるだろう、となるわけです。この日は、日銀が10時10分に突然、初となる「指値オペ」を実施します。前日に長期金利がマイナス圏を脱却したとはいえ、日銀は「0%程度」で釘付けするとしていました。早いタイミングで動いたこと、しかもオペ増額ではなく、いきなり「指値オペ」を実施したことに意外感もありました。このタイミングで日経225も条件反射的なのか、下げ幅をかなり縮小しました。なお、この日の先物手口でも、これまでとは異なる外資系証券の買い手口が目立ちました。この日はメリルリンチ日本証券が、TOPIX先物を3900枚買い越しで買い筆頭。多様な外国人顧客が先物買いで動いていることが想像されます。

 そして週末18日(金)。イエレンFRB議長の議会証言は「利上げの根拠が引き続き強まっていると判断できる」といったタカ派的な草稿だったことで、12月利上げ確率をほぼ100%と市場は判断。NY時間にドル高が加速し、ドル円も110円台に乗せます(そこから110円台後半まで東京時間に一段高)。現地のブローカーのレポートでも「トランプ氏の政策でインフレ率が上昇し、FRBの利上げも加速する」といった見方が相次ぎます。日経225先物も日中取引の開始直後(8:45)に18110円。ただ、午前9時の手前辺りで上げ幅を縮小。これは、安倍首相とトランプ氏の初会談が終わり、記者会見がテレビで生中継されていた時間帯です。「信頼できる指導者と確信」「内容は差し控える」といったヘッドラインが流れたタイミングで日経225は上げ幅を縮めており、「初会談をターゲットに買い向かっていた一部投機筋が利食いに回った」などの指摘も聞かれました。結局終値では節目の18000円を下回りました。

 (今週の見通し)

 短期間でドル円110円台、日経225は18000円台に到達。市場参加者の総意として、「反動が怖い」「一旦調整入りそう」が浮上してくるタイミングといえるでしょう。今週は勤労感謝の日で日本が23日に休場、感謝祭で米国が24日に休場です。それ以外で目立ったイベントもないなか、「トランプ氏やFRBメンバーの発言に振り回されそう」なるイメージも誰もが持っていることでしょう。だったら様子見するのがいいのか?という話になるわけですが、そうこう言っている間にドル円は21日(月)朝に111円台に乗せます・・・。ダンスを続けるマーケットですが、そのダンスの輪から抜ける人も増えてきそうな週になりますね(実際、先週後半から売買ボリュームは減少傾向になっています)。

 大事なことは、まだトランプ氏がとくに何もしていない段階で生まれたラリーであるということ。政策のいいとこ取りだとか、ドル高や金利上昇による米国の収益への悪影響とか、新興国からの資金流出の悪影響とか、考え始めるといくつも将来的な懸念材料は出てきます。とはいえ、それを議論するのは評論家であって、マーケットは別の動機で作られています(少しでも多くの利益をあげたいというプレーヤーの短期的な投資行動が支配する)。トランプ政権後の来年の米国経済に対するコンセンサスだって何も固まっていないわけです。確実に雰囲気で動いている市場です。一番大事なことは、雰囲気を感じ取ることだと思います。

 日経225でいえば、外国人買いの雰囲気を無視できません。先週木曜に公表された11月7日~11日の週(アメリカ大統領選挙前後を含む週)の投資部門別売買動向によれば、外国人は現物株を4000億円以上の大幅買い越し(今年2番目の高水準)、先物を2000億円強買い越しでした。初期反応で買いに回り、上げの起点を作ったのは外国人であったことが明確といえます。これは先週も同じでしょう。なぜ、そう言えるかといえば、日経225が「夜間」(海外時間)に上昇した分が大半であるためです。

 11月10日(木)にオープニングギャップ(始値-前日終値)1000円でスタートしました。これは除外(前日に日本時間に急落した反動)すると、10日に17250円でスタートし、そこから先週末18日(金)終値17970円までの日経225先物の上昇幅は「720円」になります。そのうち、東京時間(8:45~15:15)の上昇幅(「終値-始値」で計算できます)がいくらだったか累積すると「50円」です。逆に夜間(海外時間は「始値-前日終値」で計算できます)の上昇幅を累積すると「670円」。実に、大統領選挙後の上昇幅の93%は夜間の上昇だったわけです。朝起きると円安が進み、日経225先物も上昇、これの繰り返しでしたよね?日本人の参加者が限られる夜間(外国人主体)に、外国人が日経225を買い上がっていたことを示しているといえます。これはドル円でも同じなのではないでしょうか?

 こういった動きを繰り返したのが、年間で過去最大の買い越し額を記録した2013年「アベノミクス相場初期」のときです。この年、外国人は年間で日本株を15兆円以上買い越し、年間で日経225先物は「5890円」も上昇しました。これを同じように分解すると、東京時間の上昇幅は累計「690円」、夜間は「5200円」でした。この年のアベノミクスラリーも、その88%が夜間に上昇していた相場だったことがわかります。夜間に上昇し、東京時間は冷静な日本の投資家の利益確定売りに押される・・・そのサイクルでいえば当時に似ている状況ではあります。引き続きショートは危険な市場と見るべきで、今週の日経225の想定レンジは17800円~18300円とします。今後1カ月のレンジを17300円~18700円に300円ずつ引き上げます。

(おしまい)
 

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※当レポートに記載する売買戦略はテクニカル指標その他を基に客観的に判断しているものであり、相場の行方を決定付けるものではありません。最終的な投資判断はご自身の意思判断によりお取引いただきますようお願いいたします。

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