岡村友哉の日経225ここだけの話

岡村友哉がお届けする一週間の予想レンジと市況情報。

2018/08/13 13:54トルコ発のリスクオフ相場到来か? 金融株への影響は?

日経225 現物指数 終値22298.08円(8月10日)
安値 22272.69円(8月10日)/高値 22800.61円(8月8日)

(日経225 日足チャート 25日線付)
期間:2017/1/1~2018/8/10

 

(先週の振り返り)

1週間通じて、夏枯れ相場モードでした。そして、日本人が気にするほど、マーケットは米中貿易摩擦懸念を気にしていない・・・そんな展開が続きました。前週末1日、トランプ米大統領による追加関税第3弾予告への報復として、中国政府が600億ドル分の米国からの輸入品に対して最大25%の追加関税を課すと発表しました。ここで“米中貿易摩擦懸念”の芽が生まれたものの、このネタに慣れていた米国株市場は無反応(NYダウは3日ぶり反発、136ドル高)。

週初6日(月)の日経225も、強い米国株に追随して何となくリスクオンで発進します。開始後は、中国株のオープンを心配して失速。ただ、上海総合指数がプラスに転じると連れ高し、一時22600円台に回復します。そして後場に入りまた失速・・・と、薄商いのなか先物の需給で上下する程度。そのなかで、ソフトバンクG株(以下:ソフトバンク)が、外資系証券の最上位レーティング付与を理由に決算発表直前で大きく上昇し、1銘柄で日経225を20円強押し上げました。

 翌7日(火)も、前日に続いてソフトバンクが主役に。全体は閑散ななか、前日に第1四半期決算を発表したソフトバンクに買いが殺到。大台の10000円を回復すると、順張り買いと踏みを巻き込み、出来高は前日の3.8倍に膨張します。ソフトバンクに短期資金が集中した一方、全体は薄く広く売られ、東証1部全体では値下がり銘柄数のほうが多い時間がほとんどでした。ただ、ソフトバンクの6.5%高により(この1銘柄による日経225押し上げ効果は約68円)、この日の日経225は155円高に。

 8日(水)も主役はソフトバンク(この日は4.8%高で、日経225を約53円押し上げ)。前日も米国株市場ではナスダック総合指数が強く(この時点で6連騰)、その流れを踏襲するのが日本ではソフトバンクなのか、ソフトバンク一強気味の上値追いが続きます。一方で、内需系の大型株の動きがあまりに弱く、全体としては引き気味な印象。そんななかで、日経225に動きが出たのが後場13時40分辺りでした。この時間帯に日経225先物の出来高が急増しながら、指数は下落。大口の先物売りが入ったことで崩れたわけですが、何か材料があったわけではありません。ただ、先物売りで崩れる直前、13時30分に資生堂が第1四半期の決算を発表。上方修正付きの好決算ながら、「決算プレー」の短期筋が売りで反応したことで資生堂が急落します。日本のクオリティ株の代表格である資生堂の下落を見て、先物も売りで仕掛けたという可能性はあるのかもしれません。

 前日の米国株がやや軟調、米ドル/円も円高気味で、9日(木)の日経225は小幅安でスタート。この日の日経225でいえば、上海総合指数と相関する動きが起きた程度。前場のTOPIXが0.31%安で、7月末の日銀会合後では初となるETF買い発動も意識されましたが・・・結局、この日も日銀ETF買いは見送られていました。「日銀担当者も夏休み?」「ステルス・テーパリング開始?」などの憶測を生む日銀・・・。

 大きく下落したのが週末10日(金)、終わってみると300円安でした。寄り付きこそ、日経225は小幅高。これは、8月限SQの需給要因で説明が付きます。日経225のSQ値は22655.70円(前日比+57.31円)でしたが、これはSQ関連の注文が今回も買い越しだったため(市場推計では約400億円買い越し)。この分のフォローもありながら、朝高後は下げ幅拡大・・・。朝の時間帯でいえば、ワシントンで開かれた貿易協議(FFR)の初会合が初回でまとまらず、予定を延長してもう1日協議を継続すると伝わっていました。FFRの結果持越しによるモヤモヤ感が嫌われたのでしょうか。この日の前場のTOPIXは0.56%安。「今日こそは日銀ETF買い確実」的なムードもあるなか、14時辺りから想像以上に下げ幅を拡大します。この時間帯にユーロ/円が下落。円買いと株売りがセットですので、典型的なリスクオフの形。理由として観測されたのは、「ECBがトルコリラ急落を踏まえ、最大の貸し手であるユーロ圏金融機関のトルコへのエクスポージャーを懸念している」と英FT紙が報じたことのようです。なお、この日は今月初の日銀ETF買い703億円が発動(前回会合で発表した修正通り、日経225型の買い入れは半分に)。日銀ETF買いに対し、売り手は先物経由でクレディスイス。日経225先物を2876枚売り越し(TOPIX先物も1123枚売り越し)でした。

(今週の見通し)

日本はお盆休みの週、海外勢も夏休みシーズンということで、流動性が落ちやすい週です。しかも、先週末時点で日経225の5MAが22542円、25日MAが22484円。22500円水準で値段が固まった感のあった日経225に、トレード妙味が薄れていました。多くの日経225プレーヤーが「何か動くネタないのか?」と嘆いていた最中にあって、格好の“売りネタ”が到来。それトルコリラの急落です。

 先週末10日の英FT報道でトルコリラ安が強まっていたところに、トルコが米国人牧師を拘束している問題で関係がこじれていた米国からトランプ大統領が「鉄鋼とアルミニウムの関税を2倍に引き上げる」とツイッターに投稿。さらに12日の演説でトルコのエルドアン大統領が「自分が生きている限り、金利の罠には落ちない」と中央銀行による利上げに否定的な考えを示したことが火に油を注ぎ・・・トルコリラ売りは週明けも加速しています。株式市場ではトルコ向けの債券を持つ欧州の金融機関に影響が及ぶことを連想させますので、欧州の銀行株が大幅安に。これは米国や日本の金融株にも波及しています。

 ただ、トルコリラ安は昨日今日始まった話ではありませんよね。このトルコリラ発のリスクオフ相場が、グローバルの金融システム不安につながるなんてあり得るでしょうか?これまで、トルコリラが下落している局面、トルコ国債のCDSが上昇を続けてきた過程において、VIXはまるで相関していませんし、日経225のVIも同様です。とはいえ、「今回は深刻」と警戒を露わにする市場関係者もいます。どっちが正しいのでしょうか?

ただ、トルコの対外債務の6割はスペイン、フランス、イタリアで、最大はスペイン。そのスペインにしても、スペイン全体の国際与信残高に占めるトルコの比率なんて4%台だそうです。前日はスペインのCDSが59.50bpと1.50bpほど上がっていますが、6月下旬の68.00bpに比べればまだ高い水準ともいえません。本当に事が深刻であれば、スペインのCDSも跳ね上がっているはずですが・・・。

 そう考えると、やはり今回も、トルコリラ安を売りネタにした投機筋のショート戦略が日経225の下げ加速につながっている側面は大きそう。先週末の300円安も、クレディスイスの先物売り(金額にして約800億円の売り越し要因)や空売り比率急上昇(46%台)など仮需の売りでしか説明できません。この手の売りは、今後の買い戻し要因になるわけですが、そのタイミングが読めないのが厄介なところ。前月のコラムで書いたように、8月は海外投資家が日本株の売り越しになりやすい月(昨年まで8年連続で現物は売り越し、現物+先物では3年連続で大幅売り越し)であることは広く知られています。それだけに、下落局面でも買い手控えムードが広がりやすく、さらには参加者も少ない・・・オーバーシュート気味に一時的な安値を見に行く週になると想定しています。いずれ訪れるリターンリバーサルを狙いたいところですが、エントリーの目安は、引きつけて引きつけて・・・7月安値の21500円割れ辺りまでは我慢でしょうか。今週の想定レンジは21500円~22300円、今後1カ月のレンジは21000円~23000円にします。

(おしまい)
 

※当レポートは、投資や運用等の助言を行うものではありません。また、お客様に特定の商品をお勧めするものでもありません。

※当レポートに記載する売買戦略はテクニカル指標その他を基に客観的に判断しているものであり、相場の行方を決定付けるものではありません。最終的な投資判断はご自身の意思判断によりお取引いただきますようお願いいたします。

※当レポートのデータ情報等は信頼できると思われる各種情報源から入手したものですが、当社はその正確性・安全性等を保証するものではありません。

※相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。

バックナンバー

「岡村友哉の日経225ここだけの話」過去記事のタイトル一覧(月別)はこちら。

株価指数CFDをご検討の方へ マネースクエアはあなたの資産運用のパートナーとして、革新的なアイデアを提供し続けます。
各種取引ツール M2J株価指数CFDでご利用いただく取引ツールについてご案内します。 各種トレードツール
ページトップへ