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「世界株安の最悪期はまだ」

2020/03/23 10:06

「経済活動停止」

ニューヨーク州、隣接するコネチカット州およびニュージャージー州が外出禁止令。それに先立ちシリコンバレーがあるカリフォルニア州でも自宅待機令が発動されました。ミシガン州の自動車工場をはじめ全米の工場の多くが操業停止。全米の小売店、レストラン、カフェが閉店しました。

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で経済活動が停止したとして、ゴールドマン・サックスのエコノミストは、アメリカの第2四半期の国内総生産(GDP)は過去最悪のマイナス24%になると予想しました。JPモルガンチェースは14%減と予想。アメリカがリセッション(景気後退)入りしたことを疑うエコノミストはほとんどいません。事実上の国家閉鎖がいつまでつづくか誰もわからない。ウォール街の予想は大きく下方修正される可能性があります。

アメリカの株式市場の代表的な株価指数であるダウ工業株30種平均は、前週比で4011.64ドル(17.3%)急落。節目の2万ドルを割り1万9173ドル98セントで1週間の取引を終えました。S&P500種株価指数は15%安の2304.92。テクノロジー株の比重が大きいナスダック総合株価指数は12.6%安い6879.52で引けました。3つの主要株価指数はいずれも2008年10月10日以降で最大の下落率を記録しました。

ダウは過去1カ月で1万ドル超、率にして35%下落しました。特に先週月曜日に約3000ドル下落。1987年のブラックマンデー以降で最大の下落率を記録しました。S&P500とナスダックも急落。小型株の指数であるラッセル2000の下落率はさらに大きかった。

リスクが高いとされる株式を含め幅広い金融資産をコストを気にせず売却。現金の米ドルを確保する動きが加速しています。主要通貨に対する米ドルでの強さを示すドル指数は2週間で8%上昇。極端な動きです。連邦準備理事会(FRB)は巨額資金を投入、各国の中央銀行とスワップ協定を結びましたが、ドル需要は落ち着く兆しがありません。ホワイトハウスが検討する経済刺激策は2兆ドル(約220兆円)を超える可能性がありますが、金融市場の安定につながるかは不明です。

「新規失業保険申請件数」

「経済指標はもういらない」と言うエコノミストがいます。新型コロナウイルスの影響で景気後退したのは確実だから。1カ月以上遅れる統計は実体を反映していないとの見方です。ただ、ウォール街のエコノミストが注視するデータがあります。毎週木曜日に公表される新規失業保険申請件数です。航空業界をはじめ幅広い業種でレイオフ(一時解雇)が発表されていて、申請者数がどれほど増加したか注目されています。

23日月曜日は、新型コロナウイルスの感染拡大の状況、議会の経済対策の進展状況、原油価格戦争の状況に敏感に反応することが予想されます。

24日にナイキ、25日に半導体のマイクロン、26日にヨガウェアのルルレモンなどが四半期決算の発表を予定しています。実績より見通しが注目されそうです。

CNBCの人気コメンテーターのジム・クレイマー氏は、1929年に始まった世界大恐慌より深刻な状況をウォール街が体験することになると予想しました。株式相場の極端に不安定な状況は何週間にも渡り続くとの見方です。

「感染者が集中するNY」

アメリカのジョンズ・ホプキンス大学のまとめでは、新型コロナウイルスの世界の感染者数は22日時点で32万9858人。8万1000人を超えた中国に続き、イタリアの感染者は6万人に近づきました。アメリカの感染者数は3万2640人に急増。スペイン、ドイツ、イランを上回り、世界で3番目に感染者が多い国になりました。

アメリカの感染者の約半分はニューヨーク州。ニューヨークの死者は114人と突出しています。新型コロナウイルスの検査が大幅に増えた影響が大きいとみられますが、ニューヨーク市は人口密度が高いため感染が急拡大するリスクが高いと依然から指摘されていました。ニューヨーク州の感染者は過去24時間で4812人増加。州の感染者数はフランスと韓国を上回りました。

世界の金融の都のニューヨーク。ブラシオ市長は、NBCのインタビューで「4月は3月より悪くなる」との見通しを示しました。

ウォール・ストリート・ジャーナルは、金融機関のアナリストや投資家が、世界の株安の最悪期はまだ訪れていないと警告したと報じました。S&P500は2月の高値から32%下落しました。2008年の金融危機は57%下落、2000年にドットコムバブル崩壊で49%下がりました。

バンク・オブ・アメリカは、S&P500は2月の高値から47%安い1800まで下落するまで安定しないと予想。先週末の水準から28%低い水準です。クレディ・スイスは、SARSが流行した2003年は感染拡大がピークを迎えるまで相場は不安定だったと指摘したとしています。

[March 22, 2020 NY195]

※本文中に記載する内容は主に現物株をベースとしています。

筆者プロフィール

松島 新(まつしま あらた)

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。 ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。 平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。 現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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