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今週の米国株式市場、乱気流が発生?

2020/02/10 09:38

「新型コロナウイルス」

先週のニューヨーク株式相場では、主要な株式指数が連日、最高値を更新しました。ただ、金曜日に大幅反落しました。

主な材料は新型コロナウイルスと四半期決算。前者に関しては、ワクチンの開発期待やアメリカ経済への影響が限定的になるとの見方から過度の懸念が後退しました。しかし、週終盤になり、日本の横浜港沖に停泊中のクルーズ船でアメリカ人を含む感染者が大幅に増えたこと、S&Pグローバル・レーティングが中国の第1四半期(1-3月)の経済成長見通しを5.7%から3.0%に引き下げたことなどを受け心理が悪化しました。

ダウ工業株30種平均は先週846ポイント、率にして3%安の2万9102ドル51セントで1週間の取引を終えました。S&P500種株式指数は3.2%高の3327.71ポイント。ナスダック総合株価指数は前週比で4%高い9520.51で引けました。2018年11月以来の週間ベースの上昇率でした。

7日金曜日に発表されたアメリカの1月の雇用統計が全体的に堅調な内容でした。しかし、株式相場の反応は限定的でした。金融危機を境に、市場の雇用統計に対する注目度が下がったとの指摘が複数ありました。連邦制度理事会(FRB)が政策金利を変更しない方針を示唆していることも市場が雇用統計にほとんど反応しない背景の1つとされています。

先週は、電気自動車(EV)メーカーのテスラの大きな振れが話題を集めました。2四半期連続の黒字決算を発表したことを受け、投資判断や目標株価を引き上げるアナリストが相次ぎました。2日連続で20%前後上昇したあと、一部アナリストの慎重な見方や上海工場の出荷の遅れが伝えられたことを受け急落しました。テスラの株価はS&P500指数や多くのETF相場を動かしました。

「ウイルス、小売売上高、パウエル証言」

今週のニューヨーク株式市場は材料が豊富です。

ウォール街が最も注目するのは引き続き新型コロナウイルスをめぐる問題。中国商務省は9日、新型肺炎の影響が深刻でない地域で経営の再開を適切に広げるべきだと説明しました。ただ、週末に死者数と患者数が大幅に増えたことで、再開の延長を決めた企業が少なくありません。市場関係者は特に、サプライチェーンに影響するテクノロジー企業や自動車関連工場で稼働再開が進むかを注視しています。

アメリカのアナリストの多くは、新型コロナウイルスの影響は航空会社や旅行関連企業に限定されるとみています。アメリカ経済への影響が限定的であり、成長率を一時的に押し下げることがあっても、直ぐに回復すると考えています。しかし、中国の工場の再開が大幅に遅れ、アメリカの主要企業の業績への影響が大きくなると見方が大きく変わる可能性があります。中国の企業活動の再開状況が相場に影響するとみられます。

今週に四半期決算の発表を予定している企業は、CVSヘルス、ペプシ、エヌヴィディア、クラフト・ハインツなどです。中国での生産規模が大きいノースフェイスやティンバーランドなどを傘下に持つVFコープも決算を発表します。業績見通しが注目を集めそうです。

今週発表される経済指標では14日金曜日の小売売上高と消費者信頼感指数が注目。連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が8日と9日に議会で証言を予定しています。

新型コロナウイルスの感染拡大、重要な経済指標の発表、FRBパウエルの議長が証言する今週の株式市場。「乱気流」が発生するかもしれないとCNBCが伝えました。

「ニューハンプシャーとトランプ減税2.0」

11日火曜日、ニューハンプシャー州で民主党の党員集会が開かれます。大統領候補者を選ぶ投票がメインイベント。先週3日のアイオア州の予備選は、トラブルがありましたが、インディアナ州サウスベント市のブティジェッジ前市長が大躍進、社会主義寄りのサンダース上院議員に僅差で勝利しました。

ニューハンプシャー州の予備選をめぐる各社の世論調査では、サンダース氏がトップ、ブティジェッジ氏が支持を大幅に伸ばし2位につけています。消費者重視のウォーレン上院議員とバイデン前副大統領が伸び悩んでいて、挽回するかが注目です。

バイデン氏が民主党候補に選ばれた場合は株価への影響は限定的。ウォーレン氏が選出されると株式相場が急落するとされていました。いまは、どちらでもないサンダース氏とブティジェッジ氏が優勢。サンダース氏はウォーレン氏の主張に近いので株式相場にネガティブに影響すると指摘されていますが、ブティジェッジ氏は未知数です。38歳で同性愛者の新星。ニューハンプシャー州でブティジェッジ氏が勝利した場合は、ウォール街が政策を真剣に分析することになりそうです。

一方、トランプ大統領は、2021会計年度の予算案を10日に発表する予定です。アメリカのメディアの複数の報道によりますと、財政赤字が1兆ドルに増加する見通しですが、10年後に2000億ドルまで赤字が下がると想定しているようです。予算案には個人所得税の減税「トランプ減税2.0」が盛り込まれます。ホワイトハウスは、低金利が長期間継続し、10年後の米10年物国債の利回りは3.0%を想定しています。

[February 09, 2020 NY189]

※本文中に記載する内容は主に現物株をベースとしています。

筆者プロフィール

松島 新(まつしま あらた)

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。 ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。 平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。 現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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