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新型肺炎リスクにようやく反応

2020/02/03 11:05

「中国関連株」

新型コロナウイルス感染の経済打撃がいかに深刻か。先週のアメリカの株式市場は、新型ウイルスをようやく材料として受け止めたことを示す展開でした。

先週は主要企業の決算が集中しました。アップルやフェイスブックなどのFANGの一角、マイクロソフトをはじめとするダウ指数を構成する有力企業などが相次いで四半期決算を発表しました。個別には反応しましたが、市場全体の心理に影響することはほとんどありませんでした。市場の関心が新型ウイルスに向いていたからです。

中国国内の死者数と感染者数が急ピッチで増加。感染者を確認した国がアジアから米欧に拡大。スターバックスやマクドナルドからアップルストアまで、幅広いグローバル企業が中国国内の店舗を休業。アメリカン、ユナイテッド、デルタ航空が中国便を長期に渡り停止すると発表。トランプ政権が過去2週間以内に中国を訪問した外国人の入国を拒否する非常事態を宣言しました。

ダウ工業株30種平均は31日の取引で603ポイント下落。週間ベースでは733ドル70セント、率にして2.53%下げました。S&P500種株価指数は2.1%安の3225.52。去年8月2日以来で最大の週間下落率でした。

市場関係者が驚いたのは31日金曜日に突然心理が悪化したことです。それまではアジアでの出来事にすぎないとの見方が優勢でしたが、アメリカ企業やアメリカ経済への打撃が大きくなるリスクを強く意識するようになりました。

ユナイテッド航空をはじめとするアメリカの航空会社、カーニバルなどクルーズ会社、ウィンリゾートやラスベガスサンズなどマカオでカジノを運営する会社、中国市場での売り上げが大きい会社の株式が軒並み大きく下落しました。中国の大型株で構成されるETFは1月に8.9%も価値を落としました。

市場関係者は、春節(旧正月)が明けた中国で主要工場がいつ再開するか注視しています。2月9日以降も工場が稼働しない場合、部品などの調達、つまりサプライチェーンに深刻な問題が出るリスクがあります。中国の工場の動きがアメリカの株式市場全体に影響するとみられます。

「アルファベットとディズニー」

今週のニューヨーク株式市場では決算発表が引き続き材料になる見通し。グーグルの親会社アルファベット、ウォルト・ディズニー、メルクなどが四半期決算を発表します。

アメリカ大統領選を11月3日に控え、民主党の予備選が2月3日にアイオワ州で開かれます。5日には、連邦議会上院でトランプ大統領を弾劾するかどうかの採決が予定されています。

また、7日発表のアメリカの雇用統計など重要な経済指標が相次いで発表されます。

主要企業の決算、政治イベント、重要な経済データ。通常であれば、いずれも株式市場を動かす材料になりますが、今週はそれよりも新型コロナウイルスをめぐるニュースの影響の方が大きいと指摘されています。

「SARSと比較にならない」

金融市場を揺らす新型コロナウイルスと700人以上が死亡した2003年のSARSが比較されることが多くあります。新型コロナウイルスの感染者数はすでにSARSを超えました。死者数もSARBを超える可能性があります。

中国経済の影響力は比較にならないくらい大きくなりました。バロンズによりますと、2003年の中国が世界経済に占めるシェアはわずか4%でした。いまは世界経済の約18%を占める世界第2位の経済大国。

2003年には中国の人口の40%が都市圏に住んでいましたが、現在は60%に増えました。中国の国内総生産(GDP)の個人消費が占めるシェアは40%から70%に上昇しました。

今回も中国のGDPを押し下げるとみられますが、世界経済を大きく圧迫することが避けられない状況。問題はいつまで続くか。長期化すればするほど、ニューヨークを含めた世界の株式市場への影響が大きくなるとみられます。

[February 02, 2020 NY188]

※本文中に記載する内容は主に現物株をベースとしています。

筆者プロフィール

松島 新(まつしま あらた)

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。 ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。 平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。 現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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