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決算、政治、そして利益確定売り

2020/01/14 11:26

「最高値」

13日のアメリカの株式相場は小幅高で推移し、方向感に欠ける展開が続きました。しかし、米中貿易協議の第1段階の合意文書署名を15日に控え、アメリカ政府が中国の「為替操作国」指定を解除する方向だとCNBCやブルームバーグなどが報じたことを受け上昇に勢いがつきました。恐怖指数であるVIXは2%弱低下しました。

ダウ工業株30種平均は83.28ポイント(0.29%)高の2万8907ドル05セントで引けました。S&P500種株価平均は0.70%高、ナスダック総合株価指数が1.04%上昇し、それぞれ最高値を更新しました。アップル、シスコシステムズ、ゴールドマン・サックスなどが大幅に上昇しました。

「最高値圏」

ニューヨーク株式市場の先週の材料はイラン情勢でした。米軍がイランのソレイマニ司令官を殺害したことを受け、イランがイラクに駐留しているアメリカ軍の基地を報復攻撃しました。ミサイル弾を15発。小規模な攻撃とは言えませんが、アメリカ人の負傷者がおらず、基地の被害が最小限だったとトランプ大統領が記者会見で明らかにしました。経済制裁の追加にとどまり、両国の全面的な武力衝突への懸念が後退しました。

ダウ工業株30種平均は先週、前週比で188.89ポイントもしくは0.7%上昇しました。S&P500種株価平均は0.9%高。テクノロジー株の比重が高いナスダック総合株価指数は1.8%上昇し、先週の取引を終えました。

週後半に相場がやや軟化した背景としてさまざまな解釈があります。S&P500採用銘柄の株価収益率(PER)が18.5倍と歴史的な高水準になり、高値警戒感が広がったこと。10日発表された雇用統計が予想を下回ったことなどが理由にあげられていますが、いずれも説得力に欠けています。

主要企業の決算発表を控え、ひとまず利益を確定した投資家が多かったのかもしれません。

「金融機関の決算」

今週のニューヨーク株式市場の最大の材料は決算です。特に大手金融機関が相次いで第4四半期(10-12月)の決算を発表します。

14日はJPモルガンチェース、ウェルズファーゴ、シティグループが決算発表を予定しています。15日がゴールドマン・サックスとバンク・オブ・アメリカ、16日はモルガン・スタンレーが決算発表です。決算とガイダンス(業績見通し)が市場全体に影響する可能性があります。

ダウ構成銘柄のユナイテッド・ヘルス・グループが15日、景気に敏感な鉄道のCSXは16日、石油関連のシュルンベルジェが17日に四半期決算を発表。個別に動く可能性があります。

CNBCの人気コメンテーターのジム・クレイマー氏は、やや過熱感があり、下げる余地を残す意味でも、決算発表が利益確定売りの機会になる可能性があるとの見方を示しました。

今週はワシントン発のニュースも投資家心理に影響する可能性があります。15日に米中貿易協議の第1段階の合意署名式がホワイトハウスで予定されています。中国の劉鶴副首相が13日から訪米。第2段階の交渉がどうなるかを見極める展開になりそう。通商に関してはUSMCA(アメリカ・メキシコ・カナダ協定)の上院の採決が近くある見通しですが、可決はすでに織り込まれていて相場への影響は限定的になるとみられます。

一方、下院のペロシ議長は今週中にトランプ大統領に対する弾劾訴状案を上院に送付する見通しです。去年末に可決した後、公平な弾劾裁判になるよう、上院と水面下で交渉していました。国家安全保障担当のボルトン前大統領補佐官らトランプ大統領の側近や元側近が証言に応じるか注目されています。株式相場への影響は目先限定的とみられていますが、状況次第で相場を揺さぶる可能性があります。

「年内の景気後退の可能性低い」

バロンズがウォール街のストラテジストとエコノミストの10人を招いた会議では、アメリカ経済が年内にリセッション(景気後退)入りするリスクは極めて低いというのが一致した見方でした。

出席者は、今年11月3日の大統領選でトランプ大統領が再選を果たすことはほぼ確実だと考えていました。

民主党の大統領候補指名に至る長い予備選のはじまりとなるアイオワ州の党員集会が2月3日に実施されます。最新の世論調査ではサンダース上院議員が支持率トップ。消費者優先のウォーレン上院議員、若手のブティジェッジ市長、ベテラン政治家のバイデン前副大統領が僅差でつけています。圧倒的に強い候補者がいないことが、トランプ大統領が勝利するとの観測につながっています。

[January 13, 2020 NY185]

※本文中に記載する内容は主に現物株をベースとしています。

筆者プロフィール

松島 新(まつしま あらた)

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。 ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。 平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。 現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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