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売り材料を待っていた米株式市場

2020/01/06 13:13

「ソレイマニ司令官殺害」

ダウが下がる材料を待っていた。そこにアメリカ軍が空爆した。バロンズが先週3日のアメリカ株式市場をこう表現しました。

2020年最初の取引となった2日の米株式市場では、ダウ工業株30種平均、S&P500種株価指数、ナスダック総合指数がいずれも最高値を更新しました。その後、トランプ大統領の指示を受けたアメリカ軍がイラク・バグダッドの国際空港近くを走っていた車列をロケット弾で攻撃、イランの国民的英雄だったソレイマニ司令官を殺害しました。

原油先物相場が3%上昇。米10年物国債の利回りは1.78%台に低下。外国為替市場では安全資産としての円が買われました。

年をまたいだ先週、ダウは10.38ポイント、率にして0.04%下落しました。テクノロジー株の比重が高いナスダックは週間ベースで0.2%安。S&P500は0.2%安い3234.85で先週の取引を終えました。

バロンズによりますと、S&P500は昨年11月と12月の2カ月間で8.5%上昇しました。株価収益率(PER)が18.2倍に上がり、歴史的に割高になっていました。別の言い方では、ネガティブな材料が出た際のクッションがなくなっていました。そこに、アメリカ軍による空爆のニュースが流れました。

「中東情勢と雇用統計」

市場関係者のほとんどが休暇から戻り、売買高が回復するとみられる今週のニューヨーク株式市場。アナリストの多くは、地政学リスクが引き続き影響し不安定な展開が続くと予想しています。アメリカとイランの関係と中東地域の情勢がどう動くか。それらが、株式相場が大幅に調整するかを決めることになると指摘されました。

CNBCの人気コメンテーターのジム・クレイマー氏は、週明け6日のイランの動きが非常に重要だとコメントしました。イラン情勢は新たな懸念材料だとしています。

中東情勢を除く最大の材料は10日発表のアメリカの12月の雇用統計。リフィニティブのまとめでは、非農業部門の就業者数が16万人増加、時間当たり賃金は前年同月比で3.1%増加すると予想されています。3日に発表されたアメリカのサプライマネジメント協会(ISM)の製造業指数が弱かったことで、雇用統計の注目度が一段と上がりました。このほか、6日発表のサービス業の購買担当者景気指数(PMI)も材料になる可能性があります。

決算は、ダウ銘柄のウォールグリーンズ・ブーツ・アライアンスが8日、住宅建設のKBホームなどが9日に発表を予定しています。

「中東危機時の金融市場」

アメリカ軍がイランの軍司令官であるソレイマニ司令官を殺害。イランは重大な報復をすると警告しています。トランプ大統領が就任して以降で最大の中東危機だとアメリカの主要メディアが位置付けました。

CNBCが過去30年間の20の中東危機の際の金融市場を分析したところ、原油相場、金相場が高いパフォーマンスを示し、株式相場は1カ月後、3カ月後に回復したことがわかりました。

危機発生の前日に購入、1カ月後に売却した場合、ニューヨーク原油先物(WTI)は5.9%上昇、金は1.5%、S&P500は0.9%上がりました。米ドルは0.1%高とほぼ横ばいでした。

前日に購入、3カ月後に売却した場合は、WTIが9.1%高、S&P500は2.8%上昇。一方で金相場は横ばい、米ドルは0.3%安でした。

「有事のドル買い」という言葉がありますが、CNBCの分析では中東の有事では米ドルがほとんど動かなかったことがわかります。80%の確率で原油高になり、次いで株式と金も有事発生後しばらくして回復することを歴史が物語っています。

[January 05, 2020 NY184]

※本文中に記載する内容は主に現物株をベースとしています。

筆者プロフィール

松島 新(まつしま あらた)

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。 ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。 平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。 現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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