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2020年の株式市場

2019/12/16 13:15

「シナリオ通りも反応鈍い」

ウォール街が描いていたメインシナリオ通りの展開になりました。先週、多くのリスク材料が動きました。

アメリカの中央銀行にあたる連邦準備制度理事会(FRB)が11日の会合(FOMC)で政策金利を据え置きました。パウエル議長の記者会見、そしてFOMCメンバーの金利予想の分布をチャート化したドット・プロットで、2020年を通じて現行の政策金利を維持することが示唆されました。政策金利が引き上げられることは当面ないとの強い印象を与えました。

翌12日。ラガルド総裁が初めて議長をつとめた欧州中央銀行(ECB)の理事会が政策金利を据え置くことを決めました。同じ日に実施されたイギリス総選挙では、ジョンソン首相が率いる与党・保守党が大勝、下院の過半数の議席を獲得しました。イギリス議会をめぐる不透明感が解消され、2020年1月末の期限までに秩序あるブレグジット(イギリスのEU離脱)が進むとの期待感が高まりました。

アメリカでは12日から13日にかけて、中国との貿易交渉の第1段階で合意したと幅広く伝えられました。「合意が非常に近い」とのツイートでトランプ大統領が高めた期待が裏切られることはありませんでした。沈黙を破って中国政府も部分合意したことを公の場で確認。15日に予定されていたトランプ政権による追加的な対中関税は見送られました。

いずれもウォール街が期待した通り。13日に好材料が相次ぎましたが、株式相場の反応は限定的でした。ダウ工業株30種平均は13日の取引で3.33ポイントしか上昇しませんでした。週間ベースでは0.4%高。S&P500種株価平均は前週比で0.7%上昇。テクノロジー株の寄与度が高いナスダック総合株価指数は週間で0.9%上げました。

いずれの指数も13日までに大幅に上昇したことで高値警戒感が強まっていました。チャートの一部は「買われすぎ」を示唆。13日にダウとS&P500がほぼ横ばいだった背景はこう説明されました。

「米中と議会」

重要イベントが集中した先週と比べ今週は材料が薄めです。クリスマスを控え、週後半から休暇入りする市場関係者が多いとみられ、薄商いになる可能性があります。

週の初めは、合意した米中貿易協議に関する続報が材料になる可能性があります。情報が錯綜していて、合意内容について不透明な部分があります。文書化する段階で対立したことが過去にあり、投資家は慎重に見極めようとしています。

クリスマスを翌週に控え、今週は連邦議会が重要な法案を相次いで採決します。司法委員会から送られたトランプ大統領に対する権力乱用と議会妨害を罪状にした弾劾案を下院本会議が審議後に採決する見通しです。可決される公算が大きく、弾劾案は上院に送られることになります。

下院はさらに、北米自由貿易協定(NAFTA)に代わるUSMCA(アメリカ・メキシコ・カナダ協定)を採決する予定です。民主党が支持を表明していて、可決される見通し。議会はまた、政府機関の閉鎖を回避するため金曜日までに政府支出に関する法案を承認する必要があります。

企業決算では、運輸のフェデックス、半導体のマイクロン、ダウ銘柄であるナイキなどが発表を予定しています。

19日には、2020年の選挙における民主党の大統領候補による5回目の討論会がロサンゼルスで予定されています。

「ストラテジストの2020年見通し」

バロンズがアメリカの有力なストラテジスト10人を対象に実施した最新の調査では、2020年の株式相場の上昇が小幅にとどまると予想していることがわかりました。

ニューヨーク株式市場の幅広いセクターと銘柄の動きを示すS&P500は、2018年は前年比で6.20%下落、今年は年初から26.4%上昇しています。2020年の予想中央値は4.1%の上昇でした。

株価収益率(PER)は、2018年が15.4倍、今年は19.3倍で割高になっています。ストラテジストは2020年には19倍に小幅下がると予想しています。セクターでは、消費材や公益株が強いとの予想が優勢でした。景気に左右されないセクター、いわゆるディフェンシブ銘柄です。

ストラテジストは来年のアメリカの国内総生産(GDP)を1.9%増とみています。伸びが鈍化するとの予想。米10年国債利回りは現在1.9%近辺ですが、2020年は1.89%とほぼ同じ水準になるとの見通しでした。

[December 15, 2019 NY182]

※本文中に記載する内容は主に現物株をベースとしています。

筆者プロフィール

松島 新(まつしま あらた)

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。 ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。 平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。 現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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