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強まる高値警戒感、トランプ発言に注目

2019/11/11 09:47

「最高値」

先週のアメリカも株式市場は、米中貿易協議をめぐる動きに一喜一憂する展開が続きました。

中国政府が7日に「関税の段階的な撤廃で米中が合意した」と発表。翌日にトランプ大統領が「合意していない」と否定。米中が貿易協定の部分合意の署名に向け協議を進めていることは確認されましたが、関税の撤廃をめぐる米中の思惑が交錯していることが表面化しました。

「年内に部分合意、12月15日発動の新たな追加関税が延期される。しかし、関税のほとんどは残る。不透明感は来年も続く」。こうした見方がウォール街のメインシナリオになりつつあります。

米中貿易協議をめぐる不透明感が晴れないにも関わらず、アメリカの株式相場は堅調です。

ダウ工業株30種平均(ダウ)は週間ベースで1.2%上昇し過去最高値となる2万7681ドル24セントで取引を終えました。テクノロジー株の比重が高いナスダック総合株価指数は前週比で1.1%上昇、過去最高値の8475.31で引けました。

S&P500種株価指数は前週末に比べ0.8%高。最高値を3093.08に伸ばしました。

バロンズによりますと、S&P500が最高値を更新したことで、株価収益率(PER)が17.2倍に上がりました。ドットコム・バブルを除くと、1986年以降の平均は次の12カ月の利益合計の14.4倍。年初のPER水準は14倍~15倍でした。つまり割高になったということです。

好材料の多くが相場に織り込まれ、PERが過去2年で最も高い。アメリカの株式相場をさらに押し上げる材料がない。一部のストラテジストは外国株に興味を示しているとバロンズが解説しました。ユーロ圏のPERは13.8倍で過去平均(13倍)付近。日本のPERは13.8倍で、過去平均の19.8倍を大幅に下回っているとしています。イギリスの株式相場は政治リスクと為替リスクが大きいため慎重な見方が多いと加えました。

「米大統領とFRB議長」

今週のアメリカの株式市場では米中貿易協議の動きが引き続き材料になりそうです。ニューヨーク・エコノミック・クラブの12日の昼食会でトランプ大統領が発言する機会があります。米中貿易協議の状況を話すのではないかと投資家は注目しています。

翌13日に開かれる上下両院合同の経済委員会、そして14日には下院の予算員委員会の公聴会に連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が出席します。経済全般がテーマ。金融政策の先行きに関する発言がでれば相場に影響すると予想されますが、10月30日の会合(FOMC)後の記者会見とほぼ同じ内容になるとみられています。

経済指標では、13日に消費者物価指数、15日の小売売上高、鉱工業生産、ニューヨーク州の製造業景気指数が発表されます。特に小売売上高と製造業のデータが相場に影響するかもしれません。

シスコ・システムズ、ウォルマート、エヌビディアなどが四半期決算の発表を予定しています。

先週は米10年国債の利回りが大幅に上昇し注目を集めました。長期金利の動きも注目されています。

「弾劾調査、公聴会開催へ」

トランプ大統領の弾劾を進める下院の委員会が、今週公聴会を実施します。ウィリアム・テイラー駐ウクライナ代理大使とジョージ・ケント国務次官補代理が13日に証言。15日にはマリー・ヨバノビッチ元駐ウクライナ大使が公聴会に出席します。

外交官3人はすでに非公開の証言を行っていますが、今回はテレビ中継されるため高い注目を集めそうです。特に13日に証言するテイラー氏はウクライナ疑惑をめぐり最も踏み込んだ発言をしたとされ、公聴会を受けてトランプ大統領が一段と不利な状況になる可能性があります。

週末の主要メディアは下院の弾劾手続きへの報道一色でした。トランプ大統領に批判的なニューヨーク・タイムズは、マルバニー大統領首席補佐官代行がトランプ大統領に反する行動に出る可能性があると伝え、ワシントン・ポストは「弾劾手続きが新たな段階に入る」と報じました。右寄りのウォール・ストリート・ジャーナルは、ウクライナ疑惑をめぐりトランプ大統領の擁護を続けるか共和党議員が揺れていると伝えました。

トランプ大統領に対する下院の弾劾手続きの株式相場への影響はこれまで限定的でした。ただ、弾劾続きが新たな段階に入り、状況次第で相場の打撃になる可能性があるとの指摘が一部であります。

[November 10, 2019 NY177]

※本文中に記載する内容は主に現物株をベースとしています。

筆者プロフィール

松島 新(まつしま あらた)

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。 ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。 平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。 現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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