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ウォール街が予想しなかった株高

2019/11/05 11:29

「最高値」

アメリカの株式市場の主要な株価指数が最高値を更新しました。4日の取引でダウ工業株30種平均(ダウ)が114.75ドル(0.42%)上昇し、過去最高値の2万7462ドル11セントで取引を終えました。

S&P500種株価指数は先週末比で0.37%上昇。最高値を3078.27に伸ばしました。テクノロジー株の比重が高いナスダック総合株価指数は0.56%上昇、過去最高値の8433.20で取引を終えました。

アメリカのロス商務長官がバンコクで中国の首相と会談。中国の通信機器大手のファーウェイに対する禁輸措置を近く解除することを示唆しました。中国政府は先週末、アメリカとの貿易部分協定で原則合意したと発表しています。米中貿易協定の「フェーズ1(第1段階)」の署名式が今月中にあるとの期待が広がり、中国関連銘柄や景気に敏感な銘柄が積極的に買われました。

ロス長官はヨーロッパとの貿易交渉についても前向きな発言をしました。ヨーロッパから輸入する自動車に対する関税導入を先送りする可能性を示唆しました。

CNBCは、ウォール街の多くが今年の株式相場がここまで上昇するとは予想していなかったと伝えました。ウォール街の17人のストラテジストのS&P500の予想では、現在の水準までの上昇を予想したのはわずか3人でした。

ダウは年初から18%上昇。市場全体を反映したS&P500は23%高。小型株の指数であるラッセル2000は年初から18%超上昇した計算です。

「決算とサービス業指数」

S&P500に採用されている約350社が四半期決算の発表を終えました。リフィニティブのまとめでは、76%がアナリストの予想中央値を上回りました。平均で約0.8%の減益ですが、決算が予想を上回ったのは31四半期連続だそうです。

今週も四半期決算の発表が続きます。4日には、配車サービスのウーバー、マリオット、石油のオクシデンタル・ペトロリアムなどが決算を発表しました。取引時間終了後に発表されたウーバーの決算は予想を上回りましたが、累積赤字が10億ドルを超えたことが影響し時間外取引で下落しました。

5日はコーチなどのブランドを傘下に持つタペストリーなど、6日は半導体のクアルコム、ヘルスケアのヒューマナ、中国のバイドゥなどが決算を発表します。7日はウォルト・ディズニー、8日は電力のデューク・エナジーなどが決算発表を予定しています。

経済指標では、全米供給管理協会(ISM)が5日に発表するサービス業の購買担当者景気指数(PMI)が相場に影響する可能性があります。先週発表された製造業のPMIは予想を下振れました。

ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁をはじめ多数の地区連銀総裁が5日以降、連日講演を予定しています。ただ、連邦準備制度理事会(FRB)の会合(FOMC)が終わったばかりなので、相場への影響は限定的になるとみられます。

原則合意したとされる米中貿易協議をめぐるニュースが引き続き材料になる可能性があります。

「歴史的に株高」

CNBCによりますと、第2次世界大戦以降、第4四半期(10-12月)のS&P500は3分の2の確率で上昇しています。11月は1年で3番目に株高になる月。12月は最も株式相場が高くなる月で、上昇した割合は76%です。

もちろん例外もあります。去年の11月と12月の株式相場は、FRBの金融政策や景気後退(リセッション)入りするとの懸念、米中貿易協議の不透明感が影響し、大荒れの展開になりました。

去年と比較すると、FRBは3会合連続で利下げし、リセッション入りするとの懸念が後退しています。米中の貿易協議がやや進展しました。

最も違うのは、大統領選まで1年を切ったこと。トランプ大統領の支持率は約40%と去年とほぼ同じ。下院のトランプ大統領に対する弾劾が進み、年内にも採決する方向です。可決されれば上院で弾劾裁判が開かれることになります。

トランプ大統領に対抗する民主党の大統領候補選びが一段と注目されることが予想されます。年明けから予備選がはじまります。支持率が上昇傾向にあるエリザベス・ウォーレン上院議員の人気が高まると、株式相場にネガティブに影響する可能性があります。ウォーレン氏が主張している「富裕税」「企業優遇税制の是正」などをウォール街が強く警戒しているからです。選挙の主役になるとみられるベビーブーマーに代わるミレニアル世代の多くが、ウォーレン氏が訴える格差是正政策に共感しています。

[November 04, 2019 NY176]

※本文中に記載する内容は主に現物株をベースとしています。

筆者プロフィール

松島 新(まつしま あらた)

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。 ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。 平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。 現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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