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米中合意に懐疑的、決算に警戒感

2019/10/15 10:23

「楽観ムードに冷や水」

週明け14日はアメリカの連邦祝日「コロンブスデー」。コロンブスはアメリカ大陸を発見した歴史的な英雄との解釈がある一方で、原住民のインディアンを虐待したとのネガティブな評価もあります。このため、州、企業、学校によって対応がバラバラ。連銀が休みなので14日の債券市場はお休みでした。ただ、商品市場や株式市場は通常通りの取引でした。

中国政府がアメリカ産農産物の購入を拡大する。引き換えにアメリカ政府は2500億ドル相当の中国製品に対する関税率を25%から30%に引き上げる計画を10月15日から先送りする。通貨協定で合意。ただ、12月15日の消費者向け製品などに対する追加関税の計画は据え置きました。

トランプ大統領は米中貿易協定の第1段階を示す「フェーズ1」が完了、文書を詰める作業に入ると述べました。同時に「フェーズ2」の交渉を直ちに開始する方針を示しました。

しかし、中国は冷たい反応でした。「フェーズ1」とか「部分合意」に言及した公式声明と報道がありません。トランプ大統領が歓迎すると述べたアメリカ産農産品の購入の拡大への言及もなし。一方、ブルームバーグは中国が追加の協議を希望していると伝えました。ムニューシン財務長官は、米中が合意しないかぎり、12月15日の追加関税を予定通り発動すると述べました。

ダウは先週、242ポイント、率にして0.9%上昇しました。S&P500は週間ベースで0.6%高。ダウとともに3週間ぶりに高く先週の取引を終え増した。ナスダックは先週1週間で0.9%上昇しました。米中の部分合意を歓迎する展開でした。しかし、週明け14日は、米中の部分合意に懐疑的な見方が強まり、1日を通して方向感に欠ける展開が続きました。ダウは29ポイント(0.11%)下落。S&P500は0.14%安。ナスダックは0.10%下げてコロンブスデーの取引を終えました。

ひとまず、状況を見守りたいと考えた投資家が多かったようです。

「米中と企業業績」

今週のニューヨーク株式市場では、米中の貿易めぐる動きが引き続き材料になるとみられます。

そのほか、投資家が注目しているのは主要企業の第3四半期(7-9月)の決算。S&P500指数採用銘柄の52社が15日以降に決算発表を予定しています。

15日火曜日は、JPモルガン・チェース、シティグループ、ゴールドマン・サックス、ウェルズファーゴの金融大手、そしてダウ構成銘柄のジョンソン&ジョンソンとユナイテッド・ヘルス・グループが決算発表を予定しています。

16日水曜日はバンク・オブ・アメリカ、IBM、そしてFANGの一角のネットフリックス。17日木曜日は金融のモルガン・スタンレー、景気に敏感なハネウェルとユニオン・パシフィック。そして18日金曜日は、ダウ銘柄のコカ・コーラとアメリカン・エキスプレスなどが四半期決算の発表を予定しています。

アメリカの経済指標では、15日発表のニューヨーク連銀の製造業景気指数、16日の小売売上高、17日のフィラデルフィア連銀指数と鉱工業生産指数などが材料になる可能性があります。特に、製造業の景気指数が相場に影響する可能性があります。

「厳しい決算?」

今週から本格化する第3四半期(7-9月)の決算は非常に厳しい内容になるとの警戒感がウォール街で広がっています。

ファクトセットのまとめでは、S&P500社の平均利益は前年同期比で4.6%の減益になると予想されています。前の2つの四半期も前年同期比では減益でした。見通し通りであれば、過去3年ではじめて3四半期連続の前年割れになります。

第4四半期(10-12月)以降の業績見通しについても企業が慎重になる可能性が高そうです。米中貿易協議、下院でのトランプ大統領に対する弾劾調査、世界経済の減速など、不確実性が高い要素が多いからです。アップルをはじめとする主力のテクノロジー企業、中国に敏感な半導体関連会社、大手銀行、景気に敏感な重工などの景況感、見通しが相場全体に影響するとみられます。

[October 14, 2019 NY173]

※本文中に記載する内容は主に現物株をベースとしています。

筆者プロフィール

松島 新(まつしま あらた)

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。 ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。 平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。 現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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