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最悪予想が寄与、株価上昇を示唆

2019/09/09 15:50

「2週連続の上昇」

荒れた8月が嘘のよう。ニューヨーク株式相場は9月に入り堅調に推移しています。歴史的には株安の月ですが、上昇基調が続いています。

ダウは先週394.18ポイント、率にして1.5%上昇しました。終値は2万6797.46でした。S&P500は週間ベースで1.8%高の2978.71。3000の大台目前。ナスダックは前週末比で1.8%上昇し8103.07で取引を終えました。いずれも7月以降ではじめて2週連続で上昇しました。

なにが株価を押し上げたのか。週はじめに発表された全米供給管理協会(ISM)の製造業景気指数は好不況の分岐点である50を割り、景況感の悪化を示しました。先週末に発表された8月の雇用統計は非農業部門の就業者数が13万人増と市場予想中央値(16万人増)を下振れました。国勢調査の準備のため政府による臨時の雇用が2万5000人増えたにもかかわらず。賃金の伸びは予想を小幅上回りましたが、全体的には弱めの統計でした。

10月はじめの再開が発表された米中貿易協議への期待が大きいのか。関税合戦、誹謗中傷、約束違反が繰り返され障害が多く、協議での大きな進展はないとの見方が優勢です。ただ、バロンズは、協議再開のニュースがS&P500の上値抵抗線となっていた2840を抜けるのに十分で、一段高になることを示唆したとしています。

バロンズはまた、投資家が最悪の状況を警戒していたことも株価上昇に寄与したと解説しました。全米個人投資家協会の調査やシティグループのパニック/ユーフォリア・モデルが投資心理の冷え込みを示していたとしています。好材料はないが、最悪シナリオはなさそうだと考えた投資家が株式を買った可能性があるということです。

「勢いを維持か」

CNBCは、今週の株式市場が上昇の勢いを維持する見通しだと伝えました。

経済指標に強弱感が入り混じるが、アメリカ経済がリセッション(景気後退)入りする可能性は低いと幅広く考えられていること、米中貿易戦争が激化する懸念がひとまず後退したことが背景だとしています。S&P500は、7月26日につけたザラ場(取引時間中)の最高値まで約1.6%の水準に迫っています。

今週は目立った決算の発表がありません。

アメリカの経済指標では、水曜日の生産者物価指数、木曜日の消費者物価指数、そして金曜日発表の小売売上高と消費者信頼感指数などが材料になる可能性があります。12日のECB理事会の決定も注目されそうです。

10日にはアップルがイベントを予定、新型iPhoneを発表する見通し。一方、ソフトバンクのファンドが投資するオフィス・シェアの「ウィーワーク」を運営する「ウィーカンパニー」がIPOを検討、今週方針が発表される可能性があります。評価額が約200億米ドルと1月の資金調達時の470億米ドルの半分以下になるとみられ、注目を集めています。

今週の市場心理に最も影響しそうなのは、引き続き米中の貿易をめぐる動きです。米中貿易協議が進展するとの期待感が一段強まれば、主要な株価指数が最高値を更新するとの指摘があります。

「貿易戦争の影響」

中国税関が8日に発表した8月の貿易統計は、輸出が予想外の減少となりました。対米輸出は前年同月比で16%減少。輸入は4カ月連続で減少しました。エコノミストは、輸出が2.2%増加、輸入が6.4%減少すると予想していました。米中貿易戦争の影響で、中国経済が低迷していることがあらためて浮き彫りになりました。

米中貿易協議の年内合意の可能性は低い、2020年11月のアメリカ大統領選前の合意も困難との見方がウォール街で優勢です。中国経済が一段と低迷し、景気刺激策を追加とするとの観測が強まっています。

中国の通貨・人民元の相場の動きとならび、中国政府の景気刺激の動きも今週の株式相場に影響する可能性があります。

[September 08, 2019 NY168]

※本文中に記載する内容は主に現物株をベースとしています。

筆者プロフィール

松島 新(まつしま あらた)

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。 ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。 平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。 現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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