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ウォール街の秋相場見通し

2019/09/02 10:24

「勢い戻った8月最終週」

米2年債の利回りが米10年債の利回りを上回る「逆イールド」現象が継続し、アメリカ経済がリセッション(景気後退)入りすることを示唆しています。トランプ政権は9月1日付けで中国製品に対して15%の追加関税を発動する方針を示し、中国政府は報復としてアメリカからの輸入品に5~10%の追加関税を発動するとしていました。

いずれも株式市場にとって悪材料ですが、先週のニューヨーク株式市場には上昇の勢いがありました。中国政府が、貿易戦争の激化は双方に有害であり、話し合いで解決すべきだと主張したことが注目されました。「中国はアメリカとの協議再開を望んでいる」との期待が広がりました。

主要な株式指数であるダウは週間ベースで774.38ポイント(3%)上昇。S&P500は2.8%高と、週間ベースでは6月以来の上昇率を記録しました。ナスダックは先週1週間で2.7%上昇しました。

「8月は大荒れだった」との多くの人が考えていると想像します。しかし、最後の週の戻しが寄与し、ダウの月間下落率は1.7%にとどまりました。S&P500は1.8%安、ナスダックは2.6%下落でした。

一方、米10年国債の利回りは8月に0.531%低下しました。2011年以降で最大の月間ベースの低下率。利回りは1.503%と、米2年債利回りの1.508%を下回ったまま8月の取引を終えました。「逆イールド」が継続しています。

歴史に従いアメリカ経済がリセッション(景気後退)入りするのか。バロンズは、大統領の1期目の後半に景気後退することは稀だと解説しました。1968年に勝利したニクソン大統領以降に9人の大統領がいるが、再選をかけた大統領選前に景気後退を経験したのは2人だけ。「オイル・ショック」の影響を受けたカーター大統領と、湾岸戦争後に景気悪化を経験したブッシュ大統領(父の方)の2人だけ。

大統領は景気後退を回避するための「ツール」を多く持っているため、トランプ大統領はそれを最大限活用する可能性があります。中国との貿易戦争を終わらせることもできる。

リセッション入りは回避されるかもしれない、米中の貿易戦争への懸念が後退する可能性がある。ただ、バロンズは、株式への積極投資については慎重な見方もあると伝えました。

「材料豊富」

9月2日は日本の勤労感謝の日に相当する「レーバーデー」で米国の株式市場は休場。今週は4日間のみの取引ですが、重要な経済指標の発表が相次ぎます。特に3日のISM製造業指数、6日発表の8月雇用統計が材料になりそうです。

4日にはベージュブックと呼ばれるFRBの地区連銀経済報告、6日にはパウエルFRB議長が発言する機会があります。FOMCを18日に控え、注目を集めそうです。

米中が複数のレベルで連絡を取り合っているとされています。米中の貿易をめぐる動きが今週も株式相場を動かす可能性があります。

「9月と秋相場」

9月の株式相場は歴史的に下げる傾向があります。CNBCによりますと、第2次世界大戦後のS&P500は平均で年間0.69%上昇しています。9月単月でみると0.54%の下落。1年で最も株安になりやすいと言われています。
ニューヨーク株式市場の株価指数の中でファンド・マネージャーが重視するS&P500。先週末の終値は2926.46。年初と比べると16.7%高い水準にあります。過去最高値は3027です。

バロンズがウォール街を代表するストラテジスト5人を招いて会議を開いたところ、年末の水準は現在とほぼ同水準になっているとの見方でした。予想中央値は2933で、先週末よりわずか7ポイント(0.2%)高い水準でした。最も強気だったのはヤルデニ・リサーチのエドワード・ヤルデニ氏で、年末のS&P500を現在より5.9%高い3100と予想しました。最も弱気はヌヴィーンのサリア・マリク氏で現在より7.7%低い2700と予想しました。

米10年国債の利回りについては年末水準予想が1.25%から2.15%まで開きがありました。見方が大きく分かれています。

マーケットが政治に左右される、過去の経験則があまり参考にならない。今年の9月相場や秋相場の見通しは定まっていないようです。

[September 01, 2019 NY167]

※本文中に記載する内容は主に現物株をベースとしています。

筆者プロフィール

松島 新(まつしま あらた)

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。 ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。 平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。 現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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