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株価変動が意味するもの

2019/08/19 09:32

「景気後退リスク」

大幅安、大幅高、急落、小幅高、そして大幅続伸。先週のニューヨーク株式相場はジェットコースターのような展開でした。

ダウは先週1週間で401.43ポイント、率にして1.5%下げました。終値は2万5886.01。S&P500は前週比で1%安の2888.68。ナスダックは0.8%安の7895.99で1週間の取引を終えました。

バロンズによりますと、S&P500の一日の振れ幅が1%を超えた日が先週木曜日まで12日間続きました。過去最長は去年12月5日から今年10日までの25日間。その前の記録は去年10月16日に始まった14日連続でした。

変動率が高くなるのは投資家が動揺しているから。先週は、中国とドイツの弱い経済指標をきっかけに米2年債利回りが米10年債利回りを上回る「逆イールド」現象が発生しました。米30年債利回りが2%を割り、全ての米国債利回りが政策金利を下回るという異常な事態になりました。イギリス国債とカナダ国債でも長短金利が逆転しました。

歴史的にみると、米2年債と米10年債の逆イールド発生から6カ月から18カ月後にアメリカ経済がリセッション(景気後退)入りしています。景気後退とは、少なくとも2四半期連続でマイナス成長になること。つまり不況です。

ただ、今回は違う、景気後退のサインではないとの見方も少なくありません。日本やユーロ圏のマイナス金利をはじめ世界的に金利水準が低く、米国債利回りは下がったと言っても相対的にまだ高い。世界の投資家が高利回りを求めて米国債を買っている兆候があります。イエレン前FRB議長も、今回の逆イールドは景気後退のサインではないと指摘しました。

状況を完全に把握するのは難しいが、パニックになる必要はないとの見方が少なくないとバロンズが伝えました。少なくとも現段階ではという条件付きですが。

「FRB議長の講演」

今週のニューヨーク株式市場の最大の材料とされるのはFRBのパウエル議長の講演。ワイオミング州の山のリゾート地として知られるジャクソンホールで23日から開催される年次経済シンポジウムの冒頭、パウエル議長が講演する予定です。

講演に先立ち、21日にはFRBが前回会合(FOMC)の議事録を公表します。前回会合後の記者会見でパウエル議長は、0.25%の利下げは政策サイクル途中の調整であり、緩和サイクルの始まりではないと明言しました。

パウエル議長が23日の講演で、FRBが緩和サイクルに入ることを示唆するのか、それとも数回の利下げで終わる可能性を示すかに注目です。「学術的な講演」になる可能性もありますが、バーナンキ元議長が過去にジャクソンホールで政策方針を示したことがあり注目度が高いです。

今週はまた、米中貿易戦争の動きが引き続き材料になりそうです。中国の通信機器大手のファーウェイに対し、アメリカ企業が電子部品やソフトウェアを条件付きで取引できる許可を与える期限が19日。期限が延長されれば、米中の対話が進む可能性があり、逆の場合は米中貿易戦争の激化が予想されます。

経済指標では、22日発表の米国の製造業とサービス業の購買担当者景気指数の結果が材料になる可能性があります。

「支持率低下」

週末のアメリカのネットワークTVの政治ニュース番組で、金融市場の混乱が大きく取り上げられました。トランプ大統領が引き起こした中国との貿易戦争で市場が混乱、トランプ大統領の支持率が低下していると伝えられました。一部の調査では、民主党の大統領候補者のトップ5のいずれが選ばれても、2020年の大統領選でトランプ大統領に勝利することを示唆する結果が出て注目を集めました。

メディアに登場することがめったにない製造業と貿易を担当するホワイトハウスのナバロ大統領補佐官がネットワークTVに出演、アメリカ経済は堅調だと火消しに回りました。国家経済会議のクドロー委員長は自宅から出演し、トランプ大統領の政策の正当性を力説しました。

支持率の低下がトランプ大統領の政策にどう影響するかは不明。中国の習近平国家主席と近く電話会談するとしていますが、具体的なことはまだ決まっていないようです。

[August 18, 2019 NY165]

※本文中に記載する内容は主に現物株をベースとしています。

筆者プロフィール

松島 新(まつしま あらた)

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。 ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。 平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。 現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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