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米株の地合い悪い

2019/08/05 09:26

「トランプ関税で崩れる」

8月最初の取引となった1日木曜日。好決算の発表が相次ぎ、ダウが300ポイント超高く推移していました。

トランプ大統領のツイートで相場展開が激変しました。ツイッターへの投稿で、3000億米ドル相当の中国製品に対し9月1日から10%の関税を発動するとトランプ大統領が表明しました。突然でした。前日まで上海で閣僚級の貿易協議が開かれていたため、協議が不調だったことを示した形になりました。

新たに10%の関税が課せられる中国製品は、スニーカーからスマートフォンまで幅広い消費者向け製品が含まれていてアメリカ経済への打撃は必至とみられています。貿易交渉がさらに難航すれば、関税率を25%に引き上げることをトランプ大統領が示唆しています。

ツイートを受け恐怖指数であるVIXが急上昇しました。投資家は積極的に売りに転じ、ダウは300ポイント近く下げてこの日の取引を終えました。ダウの振れの大きさがウォール街で話題になりました。

ダウは先週1週間で707.44ポイント、率にして2.6%下落。2万6485.01で取引を終えました。節目の2万7000を割りました。

S&P500の週間下落率は3.1%。2932.05と節目の3000を割って引けました。米中貿易戦争の影響を大きく受ける半導体などが大きく売られ、テクノロジー株の比率が高いナスダックは3.9%安の8004.07で先週の取引を終えました。S&P500とナスダックの週間下落率は、それぞれ今年最大でした。

ドイツ銀行のストラテジストが、アメリカの株式相場と対中関税の影響を分析しています。バロンズによりますと、ストラテジストは、2018年1月以降、関税のニュースと株式相場の相関関係が強いと指摘しています。

米中貿易戦争への懸念で売りこまれたS&P500が回復したものの、2018年9月にトランプ大統領が2000億米ドル相当の中国製品に10%の関税を発動したことを受け下げに転じ、20%近く下げました。

S&P500はその後再び回復しましたが、今年5月にトランプ大統領が関税率を25%に引き上げると表明したことを受け再びピークを打ち下落基調に転じました。S&P500は5月に6.6%下落しました。

「トランプ関税」が発表されるごとに株式相場がピークを打ち、数週間以上に渡り下落基調が続く。繰り返されるパターンから、先週始まった株安基調がしばらく続く可能性があるとバロンズは解説しました。トランプ大統領は記者会見で「マーケットの動きを気にしていない」と述べました。

1990年代に株価が軟調に推移しましたが、FRBによる金融緩和のミニ・サイクルを経て落ち着きました。一方、1970年代はFRBの政策に左右され株価が大きく変動しました。

バロンズによりますと、マクロ・リスク・アドバイザーズのテクニカル・アナリストは、1990年代のパターンになるとS&P500は6.4%下げて2745へ、1970年のパターンだと高値から22%安の2351.10まで売られると分析しています。

「夏相場」

8月は株安の月。歴史的に8月は株式相場が下落する傾向が強い。投資家の多くが夏休みで薄商いになることで振れが大きくなる、積極的な買い手がいないと指摘されています。

今週は経済指標の発表が少なめです。注目指標は5日のISMサービス業景気指数と9日の生産者物価指数。

主要企業の四半期決算発表のピークも過ぎました。今週注目を集めそうな決算は、映像配信サービスのロク、ウォルト・ディズニー、配車サービスのリフト、データ保存のドロップボックスなど。相場全体に影響しそうな決算はありません。

米中貿易協議をめぐる動き、追加関税に対する中国の動き、FRB幹部の発言などが今週の相場全体に影響するとみられます。地合いは悪く、薄商いが予想されるため、軟調な展開が続くとの見方が少なくありません。

週末にテキサス州の国境の街エルパソのウォルマートと中西部オハイオ州デイトンの繁華街で銃乱射事件が発生し、週末のアメリカのメディアは乱射事件の報道一色。銃規制が再び政治テーマに浮上しました。ただ、株式市場への影響はないとみられます。

[August 04, 2019 NY163]

※本文中に記載する内容は主に現物株をベースとしています。

筆者プロフィール

松島 新(まつしま あらた)

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。 ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。 平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。 現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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