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記録的上昇後の7月相場、IPOブーム続くか

2019/07/01 12:20

「記録的な1カ月」

不安定な展開が続いた5月とは対照的に、先週末に終わった6月相場は記録づくしでした。

ダウの月間上昇率が7%を超えました。6月の上昇率としては1938年以来の大きさ。6月最後と取引となった28日には、JPモルガン・チェースとゴールドマン・サックスの銀行2銘柄が大幅高、ダウ指数を押し上げました。ダウの年初からの上昇率は14%。年前半の上昇率は1999年以降で最大でした。

ファンド・マネージャーが指標としているS&P500も歴史的でした。6月の上昇率は6.9%。1955年以降の6月で最大の上昇率を記録しました。半年間の上昇率は17%で、年前半としては1997年以降で最大の上昇でした。S&P500指数は、時価総額が大きい銀行株の寄与度が高く、ダウを押し上げたJPモルガン・チェースとゴールドマン・サックスのほか、シティグループ、バンク・オブ・アメリカ、ウェルズファーゴ、モルガン・スタンレーなど大手銀行株が軒並み上昇し記録に寄与しました。

ナスダックの6月の上昇率は7.4%。テクノロジー株の比率が高いナスダックの上昇率が相場の勢いを示したと言えます。

FRBが早期に利下げするとの期待感、トランプ大統領と中国の習近平国家主席との会談で貿易協議が進むとの観測が6月相場を押し上げました。

「材料豊富」

7月相場入りする今週のニューヨーク株式マーケットは材料が豊富です。

週前半は、米中首脳会談を消化する展開になりそう。トランプ大統領と習近平国家主席は6月29日の大阪での会談で、通商協議を再開することで合意しました。トランプ政権が中国の通信大手ファーウェイに対する制裁の一部を緩和、スマートフォンやパソコンなどを含む3250億米ドル相当の中国製品に対する追加関税の発動がひとまず延期されました。

欧米の主要メディアがトップ級で詳しく報じました。

ウォール・ストリート・ジャーナルは「米中貿易協議が再開することになったが、障害は残ったまま。ファーウェイの問題が交渉の鍵に浮上した」と報じました。フィナンシャル・タイムズは、トランプ・習会談は世界の経済成長の救世主にならず、最悪でもなかったとのコラムを掲載。別の記事で、トランプ大統領がファーウェイ問題で態度を軟化させたことがアメリカのタカ派の怒りを招いたと伝えました。米中は協議再開で合意したが、問題は未解決というトーンの報道が目立ちました。

トランプ大統領が北朝鮮の金正恩委員長との会談で、非核化協議を再開することで合意したことも寄与し、今週初めの取引ではそれを好感した買いが入るとの見方があります。ただ、買いは長続きしないとの見方も少なくありません。

今週のニューヨーク株式マーケットは、4日木曜日がアメリカ独立記念日のため週後半は薄商いになることが予想されます。ただ、独立記念日の翌日5日金曜日にはアメリカの6月の雇用統計が発表されるため、大きく反応する可能性があります。

今週はこのほか、製造業とサービス業の購買担当者景気指数、ISMの製造業と非製造業の景気指数、ADPの全米雇用報告など重要な経済指標が相次いで発表されます。製造業の低迷を示す指標がこのところ増えていて、ウォール街が警戒しています。

「活発なIPOとドットコム・バブルの悪夢」

ナスダック市場で6月28日、オンラインでブランド品の売買を提供するリアルリアルがIPOしました。初日の取引の終値は28米ドル90セント。公開価格を44.50%上回る水準でした。

リアルリアルのCEOはジュリー・メインライト氏。ソフトウェアと電子商取引のプロですが、ペット・ドットコムのCEOだったことで知られています。

ペット・ドットコムは2000年にIPOし、3億米ドル以上を調達しました。ただ1年後に経営破たん、株主が投資額すべてを失いました。創業から破たんまでの売上合計は600万米ドル未満。ドットコム・バブルの象徴とされています。

CNBCによりますと、年初から先週末までに62の企業がアメリカでIPOを果たしました。調達した資金の合計は250億米ドル。IPOによる半年の調達額としては過去5年で最大でした。今年後半には、オフィスシェアのウイワーク、ルームシェアのエアビーアンドビー、出前サービスのポストメイツなど多くの注目企業がIPOを計画しています。

今年IPOを果たした企業と年内に計画している企業は一定の売上高があり、ペット・ドットコムとは違うとの指摘があります。ただ、記録的な株価上昇、過去最高値水準に達した主要株価指数と合わせ、活発なIPOが「行き過ぎだ」と警戒するマーケット関係者も少なくありません。

[June 30, 2019 NY158]

※本文中に記載する内容は主に現物株をベースとしています。

筆者プロフィール

松島 新(まつしま あらた)

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。 ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。 平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。 現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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