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最高値更新で蘇った苦い記憶

2019/06/24 09:31

ウォール街の一部で株が上がりすぎたとの懸念が広がっています。

先週のニューヨーク株式相場には勢いがありました。FRBが政策金利を早期に引き下げることを示唆。利下げ期待が高まりました。一般的に、金利が低下すると株価のバリュエーション(価値)が上がるとされています。企業の資金調達の負担が減り、投資家は低利で調達した資金を株式市場に投資できる。影響力が大きい中央銀行であるECBのドラギ総裁も年次総会の講演で利下げを示唆しました。

ファンド・マネージャーが指標にしている株価指数S&P500は先週2.2%上昇しました。木曜日にはザラ場(取引時間中)と終値の最高値を更新しました。

ダウ平均(株価)の先週の終値は2万6719.13。週間ベースで629.52ポイント高、上昇率は2.4%でした。景気に敏感なキャタピター、ダウ、3Mの上昇が目立ちました。アメリカ・イランの緊張が高まったことは懸念材料ですが、結果として原油価格が急上昇し、石油大手エクソン・モービルなどの株価を押し上げました。

テクノロジー株の比率が大きいナスダックの週間上昇率は3%。仮想通貨を使った金融サービスを大手30社と組んで2020年から開始すると発表したフェイスブックをはじめFANG株が高く取引されました。

ダウは最高値まであと0.4%。ナスダックは1.6%上昇すれば過去最高値に並びます。S&P500と合わせ、ニューヨーク株式相場が最高値水準にあるということです。

バロンズは、今年4月にS&P500が高値更新後にわずか0.3%しか上がらなかったと指摘しました。S&P500は先週最高値を更新した翌日の21日の取引で0.1%下げました。4月に高値を更新する前の記録は去年9月。このときも高値更新後にわずか0.5%しか上昇せず、レンジ相場が続きました。

去年9月、S&P500採用銘柄の今後12カ月の税引き前利益で計算した株価収益率(PER)が17.34倍に達しました。現在は17.3倍。5月に相場が崩れPERが15倍台に下がり割安感が出ましたが、状況が変わりました。

ニューヨーク株式相場が過去のパターンを繰り返すか。それとも勢いを維持して、上昇基調が続くのか。ウォール街が注目しています。

「米中首脳会談」

今週の株式相場の方向を決めるのは米中首脳会談になりそうです。28日から大阪で始まるG20首脳会議にあわせて予定されるトランプ大統領と習近平国家主席の会談。25日にも米中閣僚級協議がある見通し。米中の貿易協議をめぐる動きに相場が敏感に反応しそうです。合意すれば投資家の心理が一段と改善。決裂し貿易戦争が長期化すれば心理が大きく悪化する可能性があります。

今週は火曜日にFRBのパウエル議長が発言する機会があります。同じ日、ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁、アトランタ連銀のボスティック総裁、そして、リッチモンド連銀のバーキン総裁の講演などが予定されています。

経済指標では、金曜日発表の個人消費支出物価指数、消費者信頼感指数、シカゴの購買担当者景気指数が株価に影響する可能性があります。

「株価と国債、どちらが正しい?」

株価が大幅に上昇し、主要指数は最高値圏に達しました。

債券市場では、長期金利の指標である米10年国債の利回りが一時2%割れ。2.058%で先週の取引を終えました。先週末の超短期の3カ月物の利回りは2.125%でした。短期国債の利回りが長期利回りを上回る「逆イールド」現象が続きました。

景気に数カ月先行するとされる株価の上昇はアメリカ経済が堅調に推移する、好景気が続くことを示唆しています。一方で、債券市場は景気が悪化することを示唆しています。逆イールドが継続した場合、約1年後にリセッション(景気後退)するケースが過去に何度もありました。

見方は分かれています。債券は買われすぎだ(金利が低すぎる)、株価は割高、株価の動きは極端すぎる。様々な見方がありますが、今後発表される経済指標、政治の動きを受けた投資家心理、世界経済の状況次第で、どちらが正しいかはっきりすることになります。特に、2020年のアメリカ大統領選を控えたトランプ大統領の政策が重要なカギを握っているとみられます。

[June 23, 2019 NY157]

※本文中に記載する内容は主に現物株をベースとしています。

筆者プロフィール

松島 新(まつしま あらた)

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。 ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。 平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。 現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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