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ダウの方向を決めるFRB

2019/06/17 09:40

先週のニューヨーク株式マーケットには悪材料が多かった。

中東原油輸送の要所であるホルムズ海峡に近いオマーン湾で、日本の海運会社が運航するタンカーを含む2隻が攻撃を受け炎上しました。アメリカ政府は諜報筋の情報をもとにイランに責任があると断定。イランは否定しましたが、中東情勢の緊張が高まりました。

米中貿易協議をめぐっては、トランプ大統領が中国に厳しい言葉を連発しました。中国は譲歩する姿勢を示しておらず、貿易戦争が深刻化、長期化するのとの懸念が強まりました。

半導体をめぐる弱気な見方も悪材料でした。半導体需要が来年後半まで回復しないとするアナリストの見通しが話題になった翌日、ブロードコムの決算が予想を下振れしました。業績見通しはアナリストの予想を大幅に下回るものでした。AMDやアプライド・マテリアルズなど半導体関連銘柄が幅広く売られました。

悪材料が相次いだにもかかわらず、主要な株価指数は崩れませんでした。前週の強い勢いは見られませんが、軟化する局面でも下げ幅は限定的。週間ベースではプラスでした。

ダウは先週1週間で105ポイント、率にして0.4%上昇しました。ナスダックは0.7%高でした。

S&P500は0.5%上昇しました。ただ、テクニカル・アナリストが上昇基調に転じる節目として注目する2900ポイントを超えることはありませんでした。指数を押し上げる材料に欠けました。

「FOMCと米中」

今週のニューヨーク株式マーケットで最も注目される材料の1つはFRBが18日と19日に開く金融政策を決める会合(FOMC)です。

会合後に発表される声明で、「忍耐強く」との文言が削除されるとウォール街のエコノミストの多くが予想しています。今回のFOMCでは政策金利を据え置くものの、次回7月の会合での利下げに道を開くとの見方です。

政策金利動向を探るうえで、声明と同時に公表されるFOMCメンバーの経済と政策金利の予想分布を示すドット・プロットが注目を集めそうです。2日間の会合後にはパウエル議長が記者会見を予定しています。

声明、ドット・プロット、パウエル議長の記者会見を受けて長期金利が一段と低下すれば、米ドル安・株高になる可能性があります。FRBが利下げに慎重な姿勢を示した場合は長期金利上昇・米ドル高・株安になるとみられています。

米中貿易戦争をめぐる動きも引き続き材料になりそうです。G20首脳会議が迫り、トランプ大統領の中国に関する発言が増える可能性があります。中国側の動きも材料になりそうです。

「香港抗議デモ」

刑事事件の容疑者を中国本土に引き渡すことを可能にする条例改正に反対する香港の抗議デモが拡大しました。アメリカのメディアもトップ級で報じました。

条例改正の審議は無期限に延期されましたが、市民の反発がおさまる兆しはありません。16日のデモに参加した市民の数は1週間前の週末から倍増。抗議デモの主催者は200万人が参加したとしています。条例改正の完全撤回と香港政府トップの行政長官の辞任を要求しました。香港行政府、中国政府の誤算といえます。

アメリカのポンペオ国務長官は16日、今月末の大阪G20首脳会議に計画されている習近平国家主席との首脳会談で、トランプ大統領が香港問題を取り上げると述べました。米中貿易協議が、さらに複雑になる可能性があります。香港には、金融機関をはじめとするアメリカの企業の多くがアジア太平洋地域の拠点をおいています。香港の不安定化が、アメリカ経済に影響するとの懸念が強まるとの警戒感もあります。

[June 16, 2019 NY156]

※本文中に記載する内容は主に現物株をベースとしています。

筆者プロフィール

松島 新(まつしま あらた)

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。 ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。 平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。 現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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