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ダウ6週続落、中国だけじゃない

2019/06/03 09:17

「2011年以来」

メモリアルデーが絡んだ連休のため4日間だけの取引となった先週のニューヨーク株式マーケット。相場が崩れました。

通信機器大手ファーウェイの禁輸措置を受け、中国政府が報復措置に動く可能性がある。家電や兵器の製造に欠かせないレアアースの輸出制限を検討。米中貿易戦争が激化する兆候に投資家心理が悪化し、株式相場が軟化しました。

中国だけじゃなかった。

トランプ大統領は、メキシコ政府の不法移民対策が不十分だとして、メキシコからの全輸入品に5%の追加関税を6月10日から導入すると発表。関税率を徐々に引き上げ10月1日には25%にする方針を示しました。メキシコはアメリカの第2の貿易相手国ですが、貿易赤字問題ではなく、移民問題でトランプ大統領が新たな関税導入に動くことはウォール街の誰も予想していませんでした。ネガティブ・サプライズでした。

米中貿易戦争が深刻化、長期化するとの懸念、対メキシコ関税がアメリカ経済に悪影響を与えるとの見方を背景に、ダウは先週770ポイント、率にして3.01%下げました。2万5000を割りました。6週連続で下落したのは2011年以来のことです。

S&P500は週間ベースで2.6%安。2800を下回った水準で取引されました。ナスダックは先週1週間で2.4%下げました。

個別には、メキシコの工場で組み立てた自動車をアメリカに輸入・販売しているGMが4.3%安と大きく売られました。アメリカとメキシコ間で自動車や部品を輸送している鉄道大手カンザスシティ・サザンも4.5%下落。メキシコと関連がある企業の株式が大きく売られました。

「トランプと雇用統計」

今週から6月相場。第2四半期の終盤であり、年前半の最後の月です。「Sell In May(5月に売れ)」の格言通り、5月には投資家が売りに転じ、株価が大きく崩れた去年12月以来の月間下落率を記録しました。6月はどうか。

今週のニューヨーク株式マーケットでは、引き続き米中貿易戦争をめぐる動き、対メキシコ関税をめぐるニュースが投資家心理に影響するとみられています。投資家心理が好転する兆しはありません。

CNBCの人気コメンテーターであるジム・クレイマー氏は、トランプ大統領がNAFTA交渉で譲歩したメキシコ政府に制裁を加える方針を示したことが投資家の心理を冷やした。何でもあり、次に狙われるのはどこかとの警戒感が強いと指摘しました。

中国、メキシコに次いで貿易赤字が大きいのはドイツ、そして日本です。トランプ大統領は、インドを一般特恵関税制度(GSP)の対象から除外すると週末にツイート。トルコもGSPから除外しました。

トランプ大統領の関税への懸念を和らげられるのは強い経済指標しかないとクレイマー氏はみています。

今週は経済指標の発表が多い。特に、7日に発表される5月の雇用統計に注目。強い雇用の伸びが継続しているか。内容次第で、株価に大きく影響する可能性があります。

今週は、火曜日に高級宝飾品のティファニーとクラウドのセールスフォース・ドットコム、水曜日にキャンベルスープが四半期決算を発表します。木曜日には、投資家が注目するビヨンド・ミートがIPO後初めてとなる決算を発表する予定です。

「米中貿易戦争」

ウォールストリートジャーナルは週末、中国がアメリカとの貿易協議の再開に意欲がある兆しがあると報じました。中国商務省が公表した報告書と王商務次官の記者会見などを分析したもの。ただ、フィナンシャルタイムズはこれらについて、協議決裂はアメリカに責任があるとして、中国政府が強気な姿勢を示したと少し違ったニュアンスで伝えました。

大阪G20首脳会議の際に習近平国家主席と会談するとされるトランプ大統領。ツイッターへの投稿、発言に株式マーケットが敏感に反応する可能性があります。トランプ大統領は3日からイギリスを公式訪問する予定です。

[June 02, 2019 NY 154]

※本文中に記載する内容は主に現物株をベースとしています。

筆者プロフィール

松島 新(まつしま あらた)

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。 ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。 平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。 現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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