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ダウ5週続落、さらなる変動の兆候も

2019/05/27 09:49

「ツイート後に3.5%下落」

ニューヨーク株式相場が冴えません。

アメリカと中国の貿易戦争が深刻化、長期化するとの懸念を背景に、ダウは先週178ポイント、率にして0.7%下げました。週間ベースで2011年以来となる5週連続の下落。S&P500の週間下落率は1.2%、ナスダックは2.3%下げました。

先週初めは中国通信機器大手ファーウェイの禁輸措置をめぐる懸念で、グーグルの親会社のアルファベットや半導体大手インテルなどが大きく売られました。翌日に戻したのですが、木曜日には「アメリカが誤った行動を正さなければ、貿易交渉を継続しない」とする中国商務省のコメントをCNBCが報じたことが影響し、相場が再び崩れました。

トランプ大統領が対中関税を引き上げる意向をツイッターに投稿したのが5月5日。1カ月前はウォール街の誰もが「米中貿易協議は合意する」と予想していましたが、ツイートをきっかけに期待が懸念にかわりました。トランプ大統領のツイート後の3週間で、ダウは3.5%、S&P500は4.1%、ナスダックは6.5%下げました。

バロンズは株式相場の下げは十分だろうかと伝えました。株式以外のマーケットで、大きな問題が待ち受けている兆候があるとしています。製造業の景気を判断する指標とされる銅の価格が過去4週間で8.9%下落。供給過剰と需要減を背景にニューヨーク原油(WTI)は先週7.7%下げました。

まだあります。中国政府が米国債を売却する可能性が議論されているにもかかわらず、米10年国債の利回りが2017年以来の低水準となる2.327%まで低下しました。短期の米3カ月物財務省証券の利回りが長期の米10年国債利回りを上回る「逆イールド」現象も発生しました。「逆イールド」は景気後退のサイン、銅や原油の下げは世界的な景気減速を先取りしたものとされています。

株式マーケットでは景気に左右されない公共株が買われ、不動産株も堅調。一方で、IT関連株は大幅に下落しました。バロンズは、現時点で投資家の選択肢は少なく、待つしかないと伝えました。

「投資家心理はネガティブ」

5月27日月曜日はアメリカの祝日「メモリアルデー」。ニューヨーク株式マーケットは休場で、今週は4日間のみの取引となります。

経済指標では、28日発表のアメリカの消費者信頼感指数(コンファレンスボード)、31日の中国の購買担当者景気指数(PMI)などがマーケットの材料になる可能性があります。

29日のデイックス・スポーティング・グッズ、30日のコストコとダラージェネラルなど小売大手の決算と業績見通しに注目。IPO後初めてとなるウーバーの決算も個別に材料になるとみられます。

日米首脳会談、欧州議会選のニューヨーク株式マーケットへの影響は限定的と予想されています。

株式マーケットの最大の材料となりそうなのが、引き続き米中貿易戦争をめぐる動きです。トランプ大統領の不規則発言、中国発の情報が投資家心理に大きく影響する可能性があります。米中貿易戦争が世界経済に与える影響が大きいとの指摘も多く、軟調な展開になりそうだとの見方が少なくありません。

「弾劾の動き」

日本ではトランプ大統領の訪日のニュースが大きく報じられていますが、週末のアメリカではトランプ大統領の弾劾をめぐる報道がトップニュースでした。

これまでに民主党の下院議員38人と共和党議員1人がトランプ大統領の弾劾手続き開始を求めています。トランプ大統領が敵視するペロシ下院議長は慎重な姿勢を崩していませんが、弾劾を求める圧力が強まっています。

トランプ大統領の帰国後に、弾劾をめぐる動きが活発化する可能性があります。インフラ投資など株式マーケットにポジティブな議論が頓挫、債務上限引き上げをめぐる議論も進まない可能性があります。米中貿易戦争と合わせ、アメリカの政局がマーケット全体に影響しそうです。

 [May 26, 2019 NY 153]   

※本文中に記載する内容は主に現物株をベースとしています。

筆者プロフィール

松島 新(まつしま あらた)

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。 ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。 平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。 現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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