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抵抗したNY株式相場、鍵握る米中

2019/05/13 09:49

「ダウ2.1%安」

ニューヨーク株式マーケットは、世界第1位と2位の経済大国の貿易摩擦に揺れています。

トランプ大統領が、中国から輸入する2000億米ドル(約22兆円)相当の家電製品や企業向け工作機器、海産物などに対する関税を10%から25%へ引き上げる意向を5日に表明しました。

トランプ大統領の警告を受け、世界同時株安で週が始まりました。その後も軟調に推移しましたが、関税が実際に引き上げられ、米中の閣僚級協議が合意に至らなかったにもかかわらず、10日の欧米株は上昇しました。

1週間を通しても、ニューヨーク株式相場の下げ場は懸念されたほど大きくありませんでした。

ダウは先週562ポイント、率にして2.1%下落。S&P500は週間ベースで2.2%安、ナスダックは3%下げました。

バロンズは、マーケットが驚くほど抵抗をみせたと伝えました。SPDR S&P500 ETF(SPY)が1.5%下げる局面があったが、50日移動平均線を上回って引けたとしています。50日移動平均線を割ると、調整領域に戻るとみられていました。

キャピタル・エコノミクスのエコノミストは、猶予期間が設けられ、10日以前に出荷されたモノには25%の関税が適用されないこと、輸出がすでに急減していてアメリカのGDPへの影響が軽微とみられることが株価を下支えしているとバロンズにコメントしました。

「米中と小売決算」

トランプ大統領は10日の米中協議後に「率直的で、建設的だった」とした上で、話し合いを継続するとツイッターに投稿しました。別のツイートでは、合意を急がない姿勢を示しました。

今後の焦点は双方の出方。10日の協議でアメリカ側は、今後3〜4週間のうちに合意しなければ、新たに3250億米ドル相当の中国製品、中国産品に対して25%の関税を課す方針を伝えました。一方の中国は、報復関税の意向を示していますが、具体策はまだ。状況を見極めているとみられます。

6月末に大阪で開かれるG20首脳会議の機会にトランプ大統領と習近平国家主席の会談が設定されるとの観測があります。今後の双方の出方と水面下の交渉次第だとみられます。ウォールストリートジャーナルは、中国政府が貿易問題を話し合うためライトハイザー通商代表とムニューシン財務長官を招いたと報じました。

関税引き上げはすぐにアメリカの小売業界を直撃するとの見方があります。こうした中、今週はコンテナストア、メーシーズ、ウォルマートなど小売大手の四半期決算の発表が予定されています。決算だけではなく、業績見通しや関税の影響に関する企業幹部のコメントがマーケット全体に影響する可能性があります。

今週はこのほか、シスコシステムズ、アプライドマテリアルズ、農機具大手ディアの決算が発表され注目を集めそうです。

「トランプ外交」

ワシントンポストは週末、トランプ外交に対する圧力が最大級に高まっていると報じました。中国との貿易戦争を展開する中、イラン、ベネズエラ、北朝鮮の脅威が高まり、もしくは不安定化し、アメリカの安全保障が揺らいでいるとしています。

特に懸念されるのが中東地域の動き。イランが核合意の一部停止を示唆、アメリカが空母を派遣するなど緊張が高まっています。

安全保障問題はこれまでのところ株価にほとんど影響していません。しかし、緊張がさらに高まれば、リスク回避ムードが高まり、投資家の心理を冷やす可能性があります。

 [May 12, 2019 NY 151]

※本文中に記載する内容は主に現物株をベースとしています。

筆者プロフィール

松島 新(まつしま あらた)

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。 ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。 平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。 現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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