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「関税」にらむNY株、次に何が起きる

2019/05/07 10:04

「急落から戻す」

先週まで静かだったニューヨーク株式マーケットの振れが大きくなっています。トランプ大統領の5日以降のツイートがきっかけです。

トランプ政権は今週、中国政府との閣僚級貿易協議を予定しています。交渉が最終段階にあり、今週末にも大枠で合意するとの期待が高まっていました。

しかし、トランプ大統領は5日、中国から輸入する2000億米ドル相当の製品に対する関税を10%から25%へ引き上げると表明。10日から実施するとし、まだ関税がかけられていない3250億米ドル相当の中国製品についても早期に25%関税を発動する意向を示しました。

貿易協議を直前にした突然のツイート。貿易協議が決裂する、貿易戦争が深刻化するとの懸念で、アジア株が売られ、株安がヨーロッパに連鎖しました。

6日のニューヨーク株式マーケットでも売りが先行、ダウは一時471ポイント下げました。中国との事業規模が大きい企業、中国で委託生産しているハイテク企業、特に半導体株が急落しました。

ただ、ウォール街のストラテジストの多くは冷静でした。貿易協議はいずれ合意に至る、「トランプ関税」が発動される確率は50%未満などと投資家にメモを送りました。トランプ大統領の警告にも関わらず、米中協議が予定より1日遅れて9日と10日に開催されるとの一部報道も寄与して、急速に買い戻され、ダウは66ポイント安まで下げ幅を縮めました。

ニューヨーク株式マーケットの6日の取引終了後、中国の交渉責任者である劉鶴副首相も協議に参加する方向だと伝えられ、交渉がまとまる、関税が回避される可能性があるとの期待感が復活しました。

「次にどうなるか」

米中貿易協議については、アメリカ側が有利とみられています。トランプ大統領の「関税ツイート」は交渉術であり、貿易協議を有利に運びたい狙いがあったと指摘されています。

関税率を引き上げ、まだ関税がかかっていない中国産に25%関税を導入した場合でも、アメリカ経済への影響は限定的だとトランプ大統領は考えています。2020年の大統領選を控え、選挙対策で関税引き上げを見送ることはせず、あくまでも対中貿易赤字を大幅に削減することを狙う公算が大きい。

一方の中国は関税の打撃が大きいとみられています。選択の余地がほとんどなく、アメリカの要求の多くを受け入れるのではないかとみられています。

バロンズは、中国経済への打撃が大きいハイテク分野の知的財産権の問題をどうするか。関税引き上げが10日に実施されるかは中国の出方次第だと伝えました。

さらにバロンズは、関税のアメリカ経済への影響は中国と比べれば軽微かもしれないが、株式相場が最高値圏にあり、企業業績の伸びが減速する兆候がある中で、投資家の心理が冷え込むのに時間がかからない可能性があると報じました。

米中貿易協議が一時的に株価を大きく動かす可能性があるものの、中期的には、株式相場の行方はアメリカ経済と企業業績次第と言えそうです。

今週のニューヨーク株式マーケットの焦点は9日に再開するとみられる米中貿易協議。交渉や関税に関する米中双方からのメッセージ、報道が材料になることが予想されます。FRBのパウエル議長が先週の会合後の記者会見で「低インフレは一時的」と発言しこともあり、10日発表の4月の消費者物価指数も株式相場に影響しそうです。

[May 06, 2019 NY 150]  

※本文中に記載する内容は主に現物株をベースとしています。

筆者プロフィール

松島 新(まつしま あらた)

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。 ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。 平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。 現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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