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退屈な相場展開と出口探る投資家
2019/04/22 09:24
「こう着相場」
外国為替相場などと同様に、ニューヨーク株式マーケットでも「動かない」相場展開が続いています。バロンズは、あくびが出そうな「退屈な」状況だが、相場がいずれかの方向に大振れするとの心配がなく、ある意味で夢のような展開ともいえると伝えました。
ダウは先週1週間で147ポイント、率にして0.6%上昇しました。幅広い銘柄で構成され、ファンドマネージャーらの指標となっているS&P500は0.1%安。テクノロジー企業の寄与度が高いナスダックは0.2%高で1週間の取引を終えました。
バロンズは、経済成長率が約2%、インフレ率が2%近く、FRBの政策金利が2%を少し上回った水準という状況は、ブレグジット(イギリスのEU離脱)など重要イベントがあっても変わる兆しがなく、株式相場が熱すぎず、冷たすぎない環境の恩恵を受け続ける可能性があると解説しました。
懸念材料がないわけではありません。先週のニューヨーク株式マーケットでは、ヘルスケア株が軒並み売られました。銘柄や業種のローテーション(入れ替え)とみられますが、短期的にネガティブに影響する可能性があるとの指摘があります。ただ、ローテーションがネガティブに影響しても一時的で、いずれ退屈な相場に戻るだろうとバロンズが伝えました。
「決算とGDP」
今週のニューヨーク株式マーケットでは、引き続き主要企業の四半期決算が最大の材料です。ヨーロッパは「イースターマンデー」で22日も休場ですが、アメリカでは取引が再開します。
今週月曜日は製紙大手のキンバリークラーク、火曜日はコカコーラ、ロッキード・マーティン、ツイッター、ユナイテッド・テクノロジーズ、テキサス・インスツルメンツなどが四半期決算を発表します。
注目は水曜日。通信大手AT&T、ボーイング、マイクロソフト、ジェネラル・ダイナミックなどが決算を発表します。木曜日はアマゾン、3M、コムキャスト、フォードが決算、そして金曜日は、エクソンモービル、シェブロン、コルゲートパルモリブなどが四半期決算の発表を予定しています。決算と同時に発表される業績見通しが特に注目されています。
経済指標では、26日発表のアメリカの第1四半期(1-3月)のGDP速報値が材料になりそう。当初の悲観的な見方が後退、2%を超す成長が予想されています。
米中貿易協議をめぐるニュースも株価に影響するとみられます。交渉が最終段階にあり、どこかのタイミングで米中首脳会談の日程が発表される可能性があります。
「投資家のジレンマ」
ウォールストリートジャーナルは週末、アメリカの主要な株価指数が最高値水準に近づいているが、年初からの上昇分の利益を確定するか、それとも上昇基調に乗り続けるか迷うジレンマを投資家が抱えていると伝えました。
S&P500が年初から16%上昇、過去最高値まであと30ポイントの水準になっています。ウォール街の多くの金融機関の年末予想を上回る水準。ウォール街の多くのストラテジストは、2018年末の急落から緩やかな回復を見込んでいましたが、予想を上回るペースで株価が上昇したことになります。
ファンドマネージャーの多くはここにきて、株式への投資配分を積み増すことも減らすこともせず、様子をみているとしています。株価の振れも、売買高も低水準の状況が続いているのはそのためだとウォールストリートジャーナルが解説しました。
アメリカ経済が景気サイクルの終盤にあるとの認識は幅広く共有されています。このタイミングで積極的に株式に投資することは避け、一部の投資家は出口のタイミングを探っているとしています。
投資家の多くが出口戦略を決めた場合、「動かない相場」が動意づく可能性がありそうです。
[April 21, 2019 NY 148]
※本文中に記載する内容は主に現物株をベースとしています。
筆者プロフィール

松島 新(まつしま あらた)
昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。 ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。 平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。 現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。
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