週刊2分でわかるNYダウNYダウ平均株価の情報をタイムリーに、より分かりやすくお伝えするレポート

NY市場、売り手が買い手になった

2019/02/18 09:46

「ダウ、8週連続上昇」

ニューヨーク株式相場が先週、大幅に上昇しました。バロンズは、「いいことはいつか終わるが、今年の株価の上昇はすぐに終わりそうにない」と解説しました。売り手が買いに回ったと伝えました。

ダウは週間ベースで776ポイント、率にして3.09%上昇しました。S&P500は2.50%高、ナスダックは2.39%上げました。ダウは2017年11月以来で初めてとなる8週連続の上昇を記録しました。

材料は決して良くありませんでした。飲料大手コカコーラや農機具大手ディアの決算は弱かった。1月の鉱工業生産は8ヵ月ぶりにマイナスとなり、12月の小売売上高は予想外のマイナスでした。

トランプ大統領が15日、与野党が合意した予算案に署名しました。政府機関の再閉鎖は回避されましたが、同時に、メキシコ国境の壁を建設する予算を捻出するため非常事態を宣言しました。トランプ大統領自身が「必要のない非常事態だ」と認めるほどの異常事態。ホワイトハウスと民主党の対立が決定的になりました。

悪材料が多い中、投資家は米中の貿易をめぐる協議に注目しました。「依然として多くの課題が残されている」との報道も少なくありませんが、ワシントンで今年3回目となる閣僚級協議を今週開くことが発表され、進展への期待を生みました。対中関税を引き上げる3月1日の期限を延長する可能性をトランプ大統領が示唆したことも好感されました。

ダウの上昇率が高かったのは、ボーイングやキャタピラーなど中国での事業規模が大きい銘柄の寄与度が高かったからだとみられます。

「ウォルマート決算とFRB」

今週のニューヨーク株式マーケットでは、FRBの金融政策をめぐる観測、そして米中貿易協議が材料になると予想されます。

18日月曜日は「ワシントンの誕生日(プレジデンツデー)」のため休場です。

決算はピークを過ぎましたが、19日火曜日に決算を発表する小売最大手のウォルマートが注目を集めそうです。今週はさらに、ドラッグストアのCVS、ハンバーガーのウェンディーズ、中国のアリババなどが四半期決算を発表する予定です。

FRBをめぐっては、20日水曜日のFOMC議事録が材料になる可能性があります。タカ派スタンスからハト派に転じた会合の記事録であり、金利政策および保有資産の縮小の終了をめぐりどう議論したか注目されます。

22日金曜日には、複数のFRB幹部の講演やパネルディスカッション出席などが予定されています。クラリダ副議長が講演するほか、ニューヨーク連銀、サンフランシスコ連銀、フィラデルフィア連銀、カンザスシティ連銀のそれぞれの総裁とクォールズ副議長が発言する機会があります。FRB幹部の発言を受け、米10年債が動くことも予想されます。

米中貿易協議は今週後半にワシントンで開催される予定。何らかの覚書を出せるか注目です。

「債務上限問題」

トランプ減税と歳出増により、アメリカ政府の借金は増加傾向にあります。議会の予算局の試算によると、年間債務額が2022年に1兆米ドルを突破します。政府債務はGDPの93%に達する見通しです。政府債務のGDP比が200%を超える日本と比べると小さいようにみえますが、債務が大きすぎるとの指摘は少なくありません。

こうした中、債務上限の適用が3月上旬に再開されます。

当初懸念された政府機関の再閉鎖は回避されたものの、メキシコ国境の壁をめぐりトランプ大統領が非常事態を宣言。ホワイトハウスと民主党との対立が決定的となったほか、共和党と民主党が対立、共和党内も一枚岩ではなくなりました。

ワシントンが混乱する中で、債務上限の引き上げ問題が次の大きな政治課題に浮上しそうです。米国債相場に大きく影響、株式マーケットにも影響が波及する可能性があります。

今月後半から来月初めにかけ、非常事態をめぐる混乱が続き、米中貿易協議が大詰めを迎えます。こうした中で、債務上限問題が課題になります。
ウォール街がワシントンを注視しています。

 [February 17, 2019 NY 139] 

※本文中に記載する内容は主に現物株をベースとしています。

筆者プロフィール

松島 新(まつしま あらた)

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。 ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。 平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。 現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

  • ※当レポートは、情報提供を目的としたものであり、特定の商品の推奨あるいは特定の取引の勧誘を目的としたものではありません。
  • ※当レポートに記載する相場見通しや売買戦略は、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析などを用いた執筆者個人の判断に基づくものであり、予告なく変更になる場合があります。また、相場の行方を保証するものではありません。お取引はご自身で判断いただきますようお願いいたします。
  • ※当レポートのデータ情報等は信頼できると思われる各種情報源から入手したものですが、当社はその正確性・安全性等を保証するものではありません。
  • ※相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。

バックナンバー

タイトル一覧(月別)