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大きく戻したNY株、どこに向かう
2019/01/28 10:52
「S&P500一服」
先週のニューヨーク株式相場はまちまちでした。
ダウは週間ベースで30ポイント(0.12%)上昇しました。テクノロジー株の比率が高いナスダックは0.11%高。いずれも5週連続で上昇しました。
マーケット全体の動きを示す指数であるS&P500は前週比で0.22%下げて先週1週間の取引を終えました。前週まで4週連続で上昇し11%上げましたが、一服した格好です。テクニカル上の重要な節目とされた2600を超えて上昇したものの、勢いがなくなりました。
米中は知的財産権をめぐり対立、閣僚級貿易協議を控え準備会合が予定されていましたが、キャンセルされたと報道されました。ダボス会議で世界経済の減速が議題になるなど悪材料が相次ぎました。悪いニュースにダウとナスダックは反応薄でしたが、S&P500はやや違いました。
25日には、トランプ大統領と民主党は政府機関の一部閉鎖を解除するため、2月15日まで3週間の「つなぎ予算」で合意しました。好材料に思えますが、投資家は慎重でした。「問題先送りにすぎない」との指摘があったほか、ハト派に傾いたFRBの判断を難しくしたとの見方がありました。
S&P500は、12月24日につけた安値から13.3%戻しました。バリュエーションが上がり株価の割安感が薄れました。S&P500は今週以降どう動くか。ウォール街が注目しています。
「材料豊富」
今週は材料が豊富です。
時価総額が大きいアップル、マイクロソフト、アマゾンがそれぞれ四半期決算を発表します。FAANGの一角を占めるフェイスブックも決算発表を予定しています。さらに、キャタピラー、3M、ロッキードマーティン、AMD、ボーイング、マクドナルドなど大手の決算発表もあります。特に、2019年の業績見通しが注目です。
イベントも目白押し。30日と31日には、米中の貿易をめぐる閣僚級協議が予定されています。ロス商務長官は「合意にはほど遠い」と述べていますが、協議の結果は投資家心理に大きく影響しそうです。
29日と30日にはFRBが金融政策を決める会合(FOMC)を開きます。政策金利を据え置くとの予想がコンセンサス。保有資産の縮小の終了を予定より早めることを検討する見通しです。会合後のパウエル議長の記者会見が材料になるとみられます。
1日の雇用統計など重要な経済指標の発表も多く予定されています。
イギリスでは、メイ首相が提出したEU離脱に関する代替案の議会採決が今週予定されています。「合意なき離脱」の可能性が低下したとされていますが、不確実性があります。
「2月15日までの議会」
複数の空港の混乱や2回にわたる80万人の政府職員の給与未払いが圧力となりトランプ大統領が譲歩、3週間の「つなぎ予算」が成立しました。
2月15日を期限として議会は年度末までの予算を可決することが求められます。壁の建設ではなく、国境での移民対策をどうするかが焦点です。
上下両院、共和党と民主党の超党派議員17人で構成される特別委員会が設置されることになりました。移民法は多岐にわたり複雑で、見直しが長年の懸案でした。議論の行方は不透明、3週間でまとまらず予算が成立しない場合、政府機関の一部が再び閉鎖されるとの懸念があります。
議会の特別委員会は今週、初会合を予定しています。議会とトランプ大統領の動きが株価に影響する可能性があります。
[January 27, 2019 NY 136]
※本文中に記載する内容は主に現物株をベースとしています。
筆者プロフィール

松島 新(まつしま あらた)
昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。 ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。 平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。 現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。
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