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1997年以来、強いスタート
2019/01/21 09:46
「悪材料に反応薄」
米中の貿易戦争が解決に向かう。先週のニューヨーク株式マーケットでは楽観論が広がり、ダウをはじめ株価指数が上昇しました。
ダウは先週1週間で710ポイント(2.96%)上げました。ダウは年初から5.9%上昇した計算。バロンズによると、1997年以降で最も強いスタートを切ったことになります。
S&P500は先週2.87%高。年初から6.5%上昇したことになり、1987年以来の堅調さ。ナスダックは週間ベースで2.66%上昇しました。
3つの主要な株価指数の中でダウの上昇率が最も高かったのは、中国での事業規模が大きいボーイングが買われたほか、決算が市場予想を上回ったゴールドマンサックスなどが上昇したためです。
アメリカのムニューシン財務長官は中国からの輸入品に対する関税を引き下げる、あるいは撤廃することを政権内の会議で提案、一方の中国は今後6年間で貿易不均衡を解消する提案をアメリカ側に示したことが明らかになりました。
米中は月末に閣僚協議を予定しています。予断を許さない状況ですが、先週のニュースは、株価を押し上げるには十分な材料でした。
先週は、アメリカの連邦検事が、中国の通信機器大手ファーウェイが企業秘密を盗んだ容疑で捜査、近く起訴する方針であると報じられました。悪材料ですが、株価は反応薄。悪いニュースでも売られなくなった。モメンタムが上を向いているとの声が増えました。
「米中貿易と決算」
先週の株価の動きは、米中の貿易戦争の行方に投資家がいかに敏感かを示す形となりました。
米中の閣僚級貿易協議はワシントンで30日と31日。協議を控えた水面下の動き、それをめぐる報道が今週の株式相場に影響しそうです。
国外では、ダボス会議が22日から始まります。トランプ大統領、イギリスのメイ首相、フランスのマクロン大統領は欠席します。イギリスのEU離脱をめぐっては、メイ首相が21日に代替案を議会に提出します。総選挙や合意なきEU離脱の可能性は低下したとされていますが、事態は引き続き流動的。投資家心理に影響する可能性もあります。
先週は金融大手の決算が集中しました。今週は、ジョンソン&ジョンソン、IBM、コムキャスト、P&G、アメリカン航空、インテル、スターバックスなどが四半期決算の発表を予定しています。
21日月曜日は、「マーティン・ルーサー・キング・ジュニアの日」で連邦祝日、ニューヨーク株式マーケットは休場です。
「政府閉鎖」
トランプ大統領は19日午後、ホワイトハウスで演説し、移民規制を緩和する代わりに、メキシコ国境の壁を建設する予算を認めるよう民主党に求める妥協案を示しました。
幼少期に家族に連れられて不法入国したメキシコ人らの滞在を認める措置(DACA)を3年間認める譲歩案。重大発表があるとされていましたが、肩透かしを食らった格好。DACAの延長は裁判所がすでに認めています。民主党のペロシ下院議長は、提案を拒否する意向を演説のすぐ後に表明しました。
20日、トランプ大統領就任から丸2年となりました。政府機関の一部閉鎖は5週目に入り、ネガティブな影響が幅広い分野に波及していますが、解決の兆しはありません。逆風の中で、トランプ政権の3年目がスタートしました。
[January 20, 2019 NY 135]
※本文中に記載する内容は主に現物株をベースとしています。
筆者プロフィール

松島 新(まつしま あらた)
昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。 ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。 平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。 現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。
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