週刊2分でわかるNYダウNYダウ平均株価の情報をタイムリーに、より分かりやすくお伝えするレポート

波乱のNY株、落ち着くか

2019/01/07 10:58

「懸念が後退」


まるでティーンエイジャーのようだ。最新のバロンズが、新年最初の週のニューヨーク株式相場をこう表現しました。「噂に敏感、感情的に株を売る。ようやく大人になるのか」と伝えました。


ニューヨーク株式相場は3日に急落しました。ISM製造業景気指数が予想以上に低下、ダウは660ポイント下落しました。前日に中国とユーロ圏の企業の景況感が悪化したデータが発表されたばかり。アップルの業績見通し下方修正も加わり、投資家心理は大きく悪化しました。


しかし、4日の取引で、ダウは746ポイント高と急反発しました。雇用統計が市場予想を上回り、FRBのパウエル議長は利上げを停止する可能性を示しました。米中の貿易をめぐる次官級協議の日程が発表されたことも好感されました。


週間ベースでは、主要な3つの株価指数がいずれも上昇しました。ダウは1.61%高。S&P500は1.86%上昇、ナスダックは2.34%上げました。


12月以降、アメリカ経済は急速に減速し、いずれリセッション(景気後退)入りするとの懸念が広がりました。経済指標が景気の冷え込みを示唆、FRBが利上げを継続する方針を示し、米中貿易戦争が激化したことで投資家は警戒感を強めていました。しかし、懸念が一旦後退、4日の大幅反発につながりました。


「米中協議」


今週のニューヨーク株式マーケットでは、アメリカと中国の次官級の貿易協議が最大の材料になりそうです。7日と8日、2日間に渡って北京で協議する予定です。米中貿易戦争が打撃となり、中国経済の減速が鮮明になるなか、アップルに続く形で業績見通しを修正する企業が登場するかどうかも注目です。


今週は、FRB幹部が発言する機会が多くあります。7日はアトランタ地区連銀のボスティック総裁、9日にはボスティック総裁が再び講演。シカゴ地区連銀のエバンス総裁、ボストン地区連銀のローゼングレン総裁のスピーチも予定されています。9日には、FRBの前回会合(FOMC)の議事録が公表されます。


FRBの金融政策をめぐっては10日が最も注目。パウエル議長がワシントンのエコノミック・クラブで発言する機会があります。ハト派的なスタンスをあらためて示すか。相場に影響しそうです。さらに、リッチモンド地区連銀のバルキン総裁、セントルイス地区連銀のブラード総裁、シカゴ地区連銀のエバンス総裁、そして、クラリダ副議長の講演も予定されています。


4日発表の雇用統計が強く、景気後退懸念は一旦落ち着きましたが、マーケットは引き続き経済指標に敏感だとみられます。今週は、7日発表のISMサービス業景気指数、11日の消費者物価指数が材料になる可能性があります。


ジェットコースターのような相場展開が続いていますが、主要な金融機関の多くが2019年のニューヨーク株式相場は上昇すると予想しています。ウォールストリートジャーナルは、当初の見通しを下方修正したものの、多くのウォール街の金融機関は依然として年間ベースで株価が上昇するとみていると報じました。


「政府閉鎖」


週末の主要メディアは、政府機関の一部閉鎖をめぐる報道一色でした。トランプ大統領はメキシコとの国境の壁を建設するための予算に固執していて、民主党と対立しています。4日の両者による会談は物別れ。週末も水面下で協議が続けられましたが、合意したとの報道はまだありません。


予算が成立せず、政府機関の約25%が閉鎖された状態は3週目に入りました。連邦職員の次の給与支払いは11日ですが、80万人の政府職員の給与が支払われない可能性があります。空港などでの検査や郵便配達などは通常通りですが、IRSによる税の還付が停止されているほか、国立公園は閉鎖されたままです。


トランプ大統領は、壁がなければ、メキシコから不法移民が押し寄せ、ギャングや麻薬が大量に入ると主張しています。しかし、実際には、メキシコからの移民数は大幅に減少しています。大幅に増える兆しはありません。銃乱射事件などアメリカ国内の凶悪犯罪の多くは不法移民とは無関係であることがデータで明らかです。


下院で主導権を握った民主党内では、トランプ大統領を弾劾する手続きを検討すべきだとの声が増えています。弾劾をめぐる動き、それに対抗するトランプ大統領の発言もニューヨーク株式相場に影響することが予想されます。


 [January 06, 2019 NY 133]

※本文中に記載する内容は主に現物株をベースとしています。

筆者プロフィール

松島 新(まつしま あらた)

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。 ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。 平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。 現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

  • ※当レポートは、情報提供を目的としたものであり、特定の商品の推奨あるいは特定の取引の勧誘を目的としたものではありません。
  • ※当レポートに記載する相場見通しや売買戦略は、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析などを用いた執筆者個人の判断に基づくものであり、予告なく変更になる場合があります。また、相場の行方を保証するものではありません。お取引はご自身で判断いただきますようお願いいたします。
  • ※当レポートのデータ情報等は信頼できると思われる各種情報源から入手したものですが、当社はその正確性・安全性等を保証するものではありません。
  • ※相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。

バックナンバー

タイトル一覧(月別)