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不安定相場、年明けも続く?

2018/12/25 10:58

「1931年以来のペース」


いまニューヨークにいます。ロックフェラーセンター、サックスフィフスアベニュー、タイムズスクエア。通常なら5分で歩ける距離が、20分もかかるほど混んでいました。クリスマス前のいつものニューヨーク。キラキラしたツリーやデジタルサイネージが眩しいほどですが、この街を象徴する株式マーケットには陰りがみえます。


先週のニューヨーク株式相場は大きく崩れました。ダウは6.87%下落。S&P500は7.1%安。テクノロジー株の比率が高いナスダックは8.4%下げ、週間ベースとしては2008年以来の下落率を記録しました。


ナスダックは、下落基調が続くことを示唆するベア(弱気)相場入り。ダウも調整局面からベア入り目前の水準にあります。ダウが年末までにベア相場入りしても誰も驚かないだろうとバロンズは伝えました。


12月に入って21日までのダウの下落率は12%に達しました。


メキシコの壁を建設する予算に固執するトランプ大統領と議会が対立。22日から政府機関の一部が閉鎖されました。政府閉鎖は今年3度目という異常さ。議会がクリスマス休暇に入ったため、再開する27日午後まで予算をめぐる動きはない見込み。政府機関の一部閉鎖は年明けまで続く可能性が濃厚です。農務省やIRS(日本の国税庁に相当)など政府機関の約25%が休業。約80万人の政府職員が影響を受けています。


クリスマスイブ、24日のニューヨーク株式マーケットも大荒れでした。短縮取引でしたが、取引開始直後から幅広い銘柄が売られました。ダウは653ポイント安。ナスダックに続いてS&P500がベア相場入りしました。クリスマスイブのパフォーマンスとしては過去最悪でした。


「政治混乱とFRB」


ニューヨーク株式相場が不安定になった背景は、FRBが利上げを継続し景気を悪化させるのではないかとの懸念に加え、政治の混乱があります。政府閉鎖のほか、マティス国防長官の辞任などが投資家心理を冷やしています。週末には、ISIS対策の現地の司令官も辞任しました。


FRBのパウエル議長を解任できないかトランプ大統領が非公式に検討しているとも伝えられました。FRBは独立機関で、議長が刑事罰を受けるなど極端な場合を除き解任するのは不可能との見方が優勢です。しかし、トランプ大統領が本格的にパウエル議長解任に動いた場合、ムニューシン財務長官と国家経済会議のクドロー委員長も辞任すると予想されています。


クリスマスは休場。参加者が少なく流動性が低下、週を通して振れが大きくなる可能性がありそうです。予算をめぐる政治、FRBの政策をめぐる思惑と景気観測、そして、トランプ大統領のパウエル議長解任をめぐる発言などが相場に影響するとみられます。


米国と中国の高官が、通商問題をめぐり過去1週間で2回の電話会議をしたと報じられました。米中の貿易戦争関連でニュースが出れば、株価が敏感に反応することが予想されます。


「2019年も不安定?」


APは、来年の株式相場について小幅な上昇を予想している金融機関は多いが、落ち着きのない展開になるとの見方が優勢だとしています。来年の相場見通しに関する最新のレポートのタイトルは、ウェルズファーゴが「簡単な投資の終わり」、UBSは「ボラティリティが高い相場をナビゲートする」、バークレイズが「期待が低い」だったとしています。


2019年の株式マーケットの材料は、FRBの金融政策、景気減速、トランプ政権の行方、米中貿易戦争など、2018年と同じ。ただ、不透明感が一段と高くなる可能性があります。いずれにせよ、いまの不安定なマーケットは、少なくとも2019年1月まで続くとの声が非常に多いです。


[December 24, 2018 NY 132]

※本文中に記載する内容は主に現物株をベースとしています。

筆者プロフィール

松島 新(まつしま あらた)

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。 ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。 平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。 現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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