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パニック気味のマーケット

2018/12/10 10:32

「ダウ、4.5%下落」


マーケットがパニックになった。バロンズは先週のニューヨーク株式相場の展開をこう表現しました。


G20首脳会議、米中首脳会談の結果を受け、先週のニューヨーク株式マーケットは高く始まりました。月曜日はダウが300ポイント近く上昇しました。


その後、トランプ大統領と習近平国家主席の会談での合意内容が不透明で、米中の解釈に温度差があることが表面化したことで、相場は崩れました。カナダの司法当局がアメリカ政府の要請を受け、中国のハイテク産業を代表するファーウェイの副会長兼CFOを逮捕したことで、米中の対立が一段と深刻化するとの懸念がさらに強まりました。


ダウは先週、1149ポイント(4.50%)下落しました。S&P500は週間ベースで4.60%安。ナスダックは4.93%下げ、7000を割りました。


債券市場で発生した逆イールド現象も投資家心理を悪化させました。米3年債の利回りが、米5年債利回りより高くなる「逆イールド」が発生しました。米3年債と米5年債の利回り格差は普段注目されませんが、今回は違いました。ウォール街が重視する米2年債と米10年債の利回りも近く逆転するとの懸念につながりました。

 

リチャード・バーンスタイン・アドバイザーズのストラテジストは、米3年債と米5年債の「逆イールド」がアメリカ経済とマーケットの行方を示唆しているとバロンズにコメントしました。


ストラテジストによると、1965年以降、米3年債の利回りが米5年債利回りより高くなる現象が7回発生していました。


1973年は、すでに株式マーケットがベア(弱気)相場入りしていました。残る6回については、平均で25カ月後に景気後退しました。景気後退するまでの24ヶ月間は、S&P500は平均で20%上昇しました。逆イールド現象の発生は、強い相場が2年ほど続き、ベア相場入りするのはまだ先ということを歴史が示唆しているとストラテジストは述べました。歴史は繰り返すか。


「今週も不安定?」


今週のニューヨーク株式マーケットは、引き続き不安定な相場展開になりそうだとCNBCが伝えました。


経済指標では、12日発表のアメリカの11月の消費者物価指数、そして14日の小売売上高が注目を集めそうです。いずれも米国債の利回りを動かす可能性があります。特に、低下傾向が鮮明な米10年債利回りの動向が注視されます。


株価に最も影響する可能性があるのが、米中貿易戦争の行方。逮捕されたファーウェイの副会長の処遇がどうなるか。米中の協議は進むか。双方の政府あるいは要人の動きに反応するとみられます。


テクニカル分析では、ファンドマネジャーがベンチマークにしているS&P500の動きが投資家心理に影響する可能性があります。先週は11月の安値を2%上回った水準で取引を終えました。11月の安値が重要な下値支持線とされていて、節目を割るか、維持するか注目されています。


年初からのブル(強気)相場をけん引してきたFAANGが、いまは下げ相場を主導しています。FAANGの一角であるグーグルのCEOが11日に議会で証言する予定。注目を集めそうです。


「ホワイトハウスの混乱」


週末のアメリカの主要メディアは、ホワイトハウスのジョン・ケリー大統領首席補佐官が年末までに退任するというニュース一色でした。噂は広がっていましたが、トランプ大統領がケリー氏の辞任を認めました。


ホワイトハウス内の秩序を取り戻すために起用されたケリー首席補佐官は、このところトランプ大統領と対立することが多いとされていました。事実上解任される模様。ホワイトハウスはさらに混乱する可能性があります。


こうした中、ロシア疑惑を捜査しているモラー特別検察官は最終報告書をまとめる作業を本格化しています。フリン元補佐官とトランプ大統領の私設弁護士だったコーエン容疑者が捜査に全面協力、重要な情報を捜査チームに提供したとされています。この問題も、展開によっては株式マーケットの材料になる可能性があります。


[December 09, 2018 NY 130]

※本文中に記載する内容は主に現物株をベースとしています。

筆者プロフィール

松島 新(まつしま あらた)

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。 ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。 平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。 現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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