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米中ひとまず休戦、どう影響するか

2018/12/03 11:06

「7年ぶりの週間上昇率」


ニューヨーク株式相場は先週、強い展開でした。


ダウは週間ベースで1252ポイント(5.16%)上昇しました。S&P500は4.85%高、ナスダックは5.64%上げました。


サンクスギビングデー(感謝祭)があった先々週は相場が崩れ、週間ベースで3月以来の弱い展開。先週は対象的な展開だったと言えます。S&P500とナスダックの週間の上昇率は、2011年12月以来の大きさでした。


相場が上昇に転じた最大要因は、FRBのパウエル議長の講演でした。ニューヨークのエコノミック・クラブが主催するイベントで、現在の政策金利が、景気を減速も加速もさせない中立金利を「わずかに下回る」水準にあるとの認識を示しました。講演の後に公表された会合(FOMC)議事録は、12月利上げを強く示唆したものの、来年の利上げペースを見直す可能性があることを示す内容でした。


来年のFRBの利上げ回数について、ウォール街のコンセンサスはありません。見方は大きく分かれています。来年3回〜4回の利上げを予想するエコノミストがいる一方、1回〜2回にペースが落ちる、あるいは来年後半に利上げサイクルが打ち止めになると予想するエコノミストもいます。先週の株式マーケットの反応は過剰だとの指摘もありますが、投資家の多くは利上げサイクルが終了に近づいているとみているようです。


先週の株価を押し上げたもう1つの要因は、米中首脳会談への期待。ウォールストリートジャーナルの「猶予期間の設定を模索」との報道や、トランプ大統領らの楽観的な発言を株式市場は好感しました。


アルゼンチンのブエノスアイレスで開かれたG20首脳会議の機会に、トランプ大統領と習近平国家主席が夕食を挟んで貿易問題を話し合いました。予定時間をオーバーした会談では、アメリカ政府が1月から関税を10%から25%へ引き上げる措置を猶予、90日以内に知的財産権などをめぐって合意を目指すことで合意しました。


トランプ政権による関税率の引き上げ、追加的な関税が先送りされた格好です。


「米中、FRB、雇用統計」


今週前半の株式マーケットは、週末の米中首脳会談の結果に影響を受けそうです。


フォーブスは、首脳会談で問題が先送りされたことで、株価がネガティブに反応しそうだが、下げた局面は買いの機会だとのコラムを掲載しました。


今週半ばは、FRBの金融政策に再び関心が集まりそう。5日水曜日に、FRBのパウエル議長が連邦議会の上下合同委員会で経済見通しについて証言する予定です。パウエル議長は、6日にも、ワシントンのイベントで発言する機会があります。


7日には、アメリカの11月の雇用統計が発表されます。堅調な数字が出ると予想されますが、賃金の伸びが株価に影響する可能性があります。


「米中首脳会談の消化」


世界の注目を集めた米中首脳会談の結果について、ウォールストリートジャーナルは、「米中の関税をめぐる休戦により、冷戦への懸念が後退した」と報じました。ニューヨークタイムズは、米中貿易戦争が休戦したと伝え、ワシントンポストは新たな協議で米中が合意したことを、金融市場は歓迎するだろうと解説しました。


一方、フィナンシャルタイムズは、トランプ大統領と習近平国家主席が不安定な休戦で合意したが、ハードルに直面することになると伝えました。


米中が90日間で合意するかどうか。思惑、観測が今週以降の株式相場に影響しそうです。「サンタクロース・ラリー」が訪れるかどうかは、不透明です。


 [December 02, 2018 NY 129]

※本文中に記載する内容は主に現物株をベースとしています。

筆者プロフィール

松島 新(まつしま あらた)

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。 ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。 平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。 現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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