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米国債利回りにらむ相場

2018/10/09 10:39

「ダウ上昇も上値重い」


週明け8日のニューヨーク株式マーケットは、コロンブスデーで薄商いの中、売りが先行しました。


中国経済の減速懸念から人民元と上海株式相場が下落したことが影響しました。米中の貿易戦争や安全保障などをめぐる関係悪化も不安材料になりました。ヨーロッパでは予算案をめぐりイタリア政府とEUの対立が表面化しました。


アジアの株安がヨーロッパに連鎖、ニューヨークの投資家心理は悪化しました。終盤に買い戻され、ダウはプラスに転じました。ただ、上値が重く、ダウの終値は39ポイント(0.15%)の上昇にとどまりました。S&P500はほぼ横ばい。ナスダックは続落して取引を終えました。


CNBCは、ダウの上値が重かったのは、金利上昇に対する懸念があるためだと解説しました。


パウエル議長をはじめとするFRB幹部のタカ派的な発言、それを裏付ける堅調な経済指標。先週末に発表された雇用統計では、失業率が1969年以来の水準に低下しました。こうした中、長期金利の指標である米10年債利回りの上昇基調は鮮明になりました。


米10年債の利回りは3%に乗せた後も上昇が続き、先週は一時3.245%まで上がりました。1年前は2.275%だったので、約100ベーシスポイント(1%)上がったことになります。しかも過去1週間の上昇ペースは急速でした。ゴールドマンサックスのストラテジストは、バロンズに対し「利回り水準より変化するスピードが株価に影響する」とコメントしました。


「利回り、中国、中間選挙」


今週のニューヨーク株式マーケットは、米国債の利回りの動きに左右されることが予想されます。10日の生産者物価指数と11日の消費者物価指数が注目されます。


中国マーケットの動向も引き続き注目されています。国慶節明けは元安でスタートしましたが、9日以降にどう展開するか。


1カ月を切ったアメリカの中間選挙をめぐる動きも株価に影響する可能性があります。歴史的には、中間選挙の年は株価が上昇する傾向がありますが、今年10月はこれまでザラ場(取引時間中)の高値を更新した後、軟化しました。中間選挙を意識したトランプ大統領の不規則発言も株価に影響するかもしれません。


「高金利の時代」


ウォール街ではいま、長期金利がさらに上昇することを基本シナリオに、銘柄、業種、ポートフォリオの入れ替えが進んでいます。


金利が上昇する局面は、銀行株にはポジティブだとされています。JPモルガンチェース、バンク・オブ・アメリカ、シティグループなど大手銀行株がこのところ堅調。銀行株で構成されるETFも上昇しています。


一方で、米10年債利回りに住宅ローン金利が連動することから、不動産関連株が低迷しています。また、公共株の軟調さも目立ちます。高金利は高い配当を出す株式にネガティブに影響します。新興市場のETFも売られる傾向が強いと指摘されています。


米国債の利回りがさらに上昇すると米ドルの魅力が増し、世界の資金がアメリカに移動する可能性が指摘されています。米ドル高が進むと輸出型の企業、海外での事業が大きい企業の業績に影響することが予想されます。


全体的には、米国債利回り上昇は株価にネガティブという見方が多いです。問題は上昇幅とスピード。9日以降の利回り動向にウォール街が注目しています。


 [October 09, 2018 NY 121]

※本文中に記載する内容は主に現物株をベースとしています。

筆者プロフィール

松島 新(まつしま あらた)

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。 ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。 平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。 現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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