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貿易問題と司法副長官めぐる不透明感

2018/09/25 10:12

「中国関連株が軟調」


週明け24日のニューヨーク株式相場は下落しました。下げの背景は2つ。米中貿易戦争への懸念。そして、ローゼンスタイン司法副長官の解任騒動が株価を押し下げました。


トランプ政権は24日、中国から輸入する2000億米ドル相当に10%の関税を課す追加制裁を発動しました。年明けからは関税が25%に上がります。これに対し中国政府は600億ドル相当のアメリカからの輸入品に報復関税を導入しました。


すでに発表されていたことなのでサプライズはありません。株が売られたのは、報復合戦ではなく、中国政府がアメリカとの通商協議を拒否したことが原因だとみられています。アメリカのムニューシン財務長官は中国側に早期の閣僚級協議の開催を提案しました。中国側は高官2人をワシントンに派遣することを検討しましたが、欠席することをアメリカ側に通知しました。


24日の取引では、ダウが181ポイント(0.68%)下げました。S&P500は0.35%安。先週末までやや軟調だったナスダックはテクノロジー株が一部買い戻され、0.08%高と小幅ながら上げて取引を終えました。


ダウの構成銘柄であるボーイングが売られました。キャタピラーと並び中国での事業規模が大きい企業です。米中の貿易戦争で業績が悪化すると予想されています。その一方、景気に左右されないディフェンシブ銘柄は高く推移しました。労働市場が堅調、失業率は過去20年で最も低い水準にありますが、こうした環境でディフェンシブ銘柄が上昇するのは異例のことです。


24日の株価を押し下げたもう1つの背景は、ロシア疑惑を担当するローゼンスタイン司法副長官の解任・辞任騒動。トランプ大統領の解任を画策したとニューヨークタイムズが先週報じたことで、トランプ大統領がローゼンスタイン氏を解任する可能性があるとの観測が広がりました。主要メディアの一部が、同氏は辞任する意向だと報じたことで、騒ぎが大きくなりました。ローゼンスタイン氏の去就は、27日のトランプ大統領との会談に委ねることになりました。


ローゼンスタイン氏が司法省を離れる場合、ロシア疑惑捜査を「魔女狩り」だと批判しているトランプ大統領にとって有利になるように思えますが、その逆の効果が大きいと指摘されています。ニクソン大統領を辞任に追い込んだ「ウォーターゲート事件」を連想させるほか、司法に介入したと批判される可能性があります。


ウォールストリートジャーナルとNBCの中間選挙に関する最新の調査では、野党・民主党の支持率が与党・共和党を12ポイント上回っていることがわかりました。民主党が下院で過半数を確保する勢いで、上院での過半数奪回も視野に入りました。ローゼンスタイン氏の去就が支持率に影響する可能性があり、27日のトランプ大統領の判断が注目されています。


「FOMCと貿易問題」


今週の材料は26日のFRBの会合(FOMC)。0.25%の利上げが確実視されていますが、会合後に発表される経済見通しが株価に影響する可能性があります。2021年の金利水準をどう予想しているのか。タカ派的な予想か。それともハト派的か。


もう1つの注目はNAFTA(北米自由貿易協定)。アメリカはカナダとの交渉合意の期限を9月末としています。今週中に協議は再開するか。合意に至るか投資家が注視しています。


一方、アメリカ議会の上院と下院は、9月末までに新年度の予算案を採決する見通し。週後半に材料視される可能性があります。


トランプ大統領が最高裁判事に指名したカバノー氏から性的暴力を受けたとされる大学教授が27日に議会で証言する予定。また、ニューヨーカー誌は週末、エール大学在学中にカバノー氏から性的嫌がらせを受けたとの女性の主張を報じました。2人目の告発で、カバノー氏の承認が一段と不透明になりました。


27日は、カバノー氏承認をめぐる公聴会、ローゼンスタイン氏とトランプ大統領の会談があり、全米の注目が集まりそうです。


 [September 25, 2018 NY 119]   

※本文中に記載する内容は主に現物株をベースとしています。

筆者プロフィール

松島 新(まつしま あらた)

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。 ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。 平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。 現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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