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9月相場、歴史的な安い月

2018/09/03 10:12

「過去4年で最大の上げ」

アメリカがメキシコと基本合意した後に再開したカナダとの北米自由貿易協定(NAFTA)見直し交渉。期待に反し、合意に至りませんでした。

NAFTA見直し交渉のほか、8月には中国との貿易関係も混乱しました。米中の次官級協議が再開したものの進展はなく、同じタイミングで、制裁関税が発動されました。

貿易をめぐる不透明感にもかかわらず、ニューヨーク株式相場は堅調でした。ダウは月間ベースで2.1%高。S&P500は3%上昇しました。8月の上昇率としては2014年以来の堅調さでした。ナスダックは5.7%上昇し、2000年以来で「ベストな8月」となりました。

テクノロジー株は依然として堅調、相場全体をけん引しました。注目銘柄のフェイスブック、アマゾン、ネットフリックス、グーグル(親会社はアルファベット)の頭文字をとってFANGと呼ばれています。これにアップルのAが加わりFAANGになり、最近ではマイクロソフトのMを足してFAANMGと呼ばれることもあります。

バロンズによると、先週最もパフォーマンスが良かったのはアップルとマイクロソフト。アマゾンは株価が2000米ドルを突破、時価総額が1兆米ドル(約111兆円)に迫りました。

 

「雇用統計」

3日月曜日はレーバーデー(日本の勤労感謝の日に相当)でニューヨーク株式マーケットは休場。アメリカでは、レーバーデー明けから「秋」とされます。

今週最大の材料は、7日発表の8月の雇用統計です。非農業部門の就業者数が18万7000人〜19万人増えるというのがコンセンサス。失業率は3.8 〜3.9%と予想されています。平均賃金が前月比で0.2%増、前年同月比で2.7%増えるというのがコンセンサス予想で、就業者数以上に材料になる可能性があります。

4日に発表される自動車メーカー各社の8月の新車販売も注目されています。自動車販売はこのところ弱含んでいます。

歴史的に9月は株式相場が最も弱い月です。1946年以降、S&P500は平均で約1%下げています。

CNBCは「9月はいつも株価にとって厳しい月だが、今年の9月は特に変動が大きくなる可能性がある」と伝えました。トランプ政権は早ければ今週にも中国からの輸入品目2000億米ドル相当に高率関税を賦課する可能性があります。NAFTA見直しをめぐるカナダとの協議の行方は依然として不透明。トランプ政権によるヨーロッパなどからの輸入車に対する制裁関税をめぐる懸念が広がる可能性もあります。

マーケットウォッチは、中間選挙の年の9月の株式相場は弱含む傾向があると解説しました。11月6日に中間選挙を控え、トランプ大統領のスキャンダルが意識される可能性があります。ただ、マーケットウォッチは、9月を過ぎると翌年3月にかけ株価が上昇する傾向が過去にあったとしています。

 

「5日再開」

メキシコでは12月に新政権に移行します。アメリカと合意した内容に現在のペニャニエト大統領が署名するためには、アメリカ議会で90日の猶予が必要。このため、ホワイトハウスは、8月中の合意を目指す独自の期限を設定していました。期限内の成立が不可能になり、トランプ政権は週明けにメキシコの貿易協定のみを議会に通知する方向。同時にカナダとの交渉を続けることになります。

トランプ大統領は1日、ツイッターへの投稿で、カナダによる「何十年にもおよぶ地位の乱用があった」とした上で、アメリカと公平な合意を結ぶことができなければ、NAFTAから出ていくことになる」と主張しました。さらに大統領は、「議会は交渉に介入すべきではない。さもなければNAFTAを完全に終わらせる」と述べました。

アメリカとカナダは5日に交渉を再開します。トランプ大統領が強硬な姿勢を崩さない一方、カナダのトルドー首相は国内で厳しい立場に置かれています。総選挙を来年に控え、トルドー政権の「弱腰外交」が批判され、支持率は急低下しました。与党・自由党の支持率は、野党の保守党を下回っていて、NAFTA見直し交渉の対応によっては、トルドー首相が来年再選されない可能性があります。

トランプ大統領も中間選挙を控えています。「政治」が大きく影響、アメリカとカナダのNAFTA見直し交渉が長期化するとの観測も出始めました。今週再開するNAFTA見直し交渉の行方が、ニューヨーク株式相場に影響することが予想されます。

 

[September 03, 2018 NY 116]   
 

※本文中に記載する内容は主に現物株をベースとしています。

筆者プロフィール

松島 新(まつしま あらた)

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。 ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。 平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。 現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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