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自社株買いでも上がらない

2018/07/09 09:55

「貿易戦争VS雇用統計」

先週のニューヨーク株式マーケットは材料が豊富でした。週半ばに「独立記念日」を挟んだため、短い週でしたが、通商政策の大きなイベントがあり、重要な経済指標も発表されました。

トランプ政権が6日、中国からの輸入品に対する25%の制裁関税を発動しました。対抗して中国は同額規模の報復関税を発令、世界の2大経済大国の貿易戦争が始まりました。

アメリカ企業と消費者に大きな打撃となる、景気後退に陥る。貿易戦争が現実化したことで、エコノミストや専門家の懸念が相次ぎました。

しかし、ニューヨーク株式相場は崩れませんでした。それどころか米中の相互関税が発動された6日は、ダウをはじめ3つの株価指数がいずれも上昇しました。

ダウは週間ベースで185ポイント高、率にして0.76%上昇しました。S&P500は1.52%上げました。テクノロジー株が買い戻されナスダックは2.37%高で1週間の取引を終えました。

貿易戦争への懸念は根強いものの、投資家は6日に発表された6月の雇用統計に注目しました。前日に発表されたADPの全米雇用統計とは対照的に、労働省の非農業部門雇用者数は予想を大幅に上回りました。その一方、失業率は予想外に上昇、賃金の伸びは緩やかでした。

懸念されたほど労働市場が逼迫していないとの安心感が広がり、物価上昇ペースが上がるとの懸念が後退しました。株式マーケットにとって好ましい内容でした。

 

「物価指数と決算」

今週も材料が豊富です。

経済指標では、9日発表の中国の消費者物価指数と生産者物価指数。そして、11日のアメリカの生産者物価指数、翌12日の消費者物価指数は株価に影響する可能性があります。

10日には、ペプシコとデパート大手のノードストロームが投資家説明会を予定しています。米中の貿易戦争の影響をどうみているかが注目です。

今週後半から決算発表が本格化します。JPモルガンチェース、シティグループ、ウェルズファーゴ、PNCなど金融大手が13日に四半期決算を発表します。

トランプ大統領は9日から訪欧。ロンドンでメイ首相と2国間貿易協定について意見交換、ブリュッセルのNATO本部で開かれる首脳会議に出席します。ロシアのプーチン大統領とフィンランドで初の米ロ首脳会談も予定しています。

 

「自社株買いブーム」

ウォーストリートジャーナルは、アメリカの大手企業が記録的なペースで自社株買いを進めているが、株価押し上げ効果は限定的だと報じました。

S&P500に採用されている大手企業は今年、合計で8000億米ドル相当の自社株を買い戻すペース。自社株買いブームだった2007年を超える過去最大規模になる見通しです。オラクル、バンク・オブ・アメリカ、JPモルガンチェースなどが大量に自社株買いを進めています。

一般的に自社株買いは、株価を押し上げる、もしくは株価を下支えする効果があります。しかし、自社株買いを実施した株価のパフォーマンスは、指数を下回っています。

高いバリュエーションでの自社株買いに懐疑的な見方があるほか、ITなど設備投資に回る資金が自社株買いでなくなるとの指摘もあります。

トランプ大統領が主導した税制改革が自社株買いを後押ししているとみられています。短期的には株価への影響は限定的ですが、長期的にどう影響するかはわかっていません。

 

[July 09, 2018 NY 108] 
 

※本文中に記載する内容は主に現物株をベースとしています。

筆者プロフィール

松島 新(まつしま あらた)

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。 ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。 平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。 現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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