週刊2分でわかるNYダウNYダウ平均株価の情報をタイムリーに、より分かりやすくお伝えするレポート

貿易戦争が大企業に打撃、基調変わるか

2018/06/25 12:07

「ダウ2%安」


先週のニューヨーク株式マーケットは、アメリカのトランプ大統領が仕掛けた「貿易戦争」に揺れました。


ダウは8日続落後、22日に反発しました。週間ベースで509ポイント(2.03%)下げました。S&P500は0.89%安、ナスダックは0.69%安でした。


アルミニウムと鉄鋼について500億米ドル相当の関税の発動を決め、新たに2000億ドル相当の中国からの輸入品に対し追加関税を検討していることをトランプ大統領が明らかにしました。


中国は徹底して対抗し、一部のアメリカからの輸入品に対し既に報復関税を導入しました。


売上全体に対する中国のシェアが大きい国際企業のアップル、ボーイング、P&Gなどはいずれもダウの採用銘柄。3つの主要な株価指数の中で、ダウの下落率が最も大きいのは対中貿易に大企業が敏感だからです。


ダウは年初水準を下回る水準まで下落しました。一方、中小企業の株価指数であるラッセル2000の先週末の終値は、年初と比べ9.8%高い水準にあります。アメリカの中小企業のほとんどは国内向けの業務が中心で、米中の「貿易戦争」の影響をほとんど受けていないことがわかります。大企業と中小企業で明暗が分かれました。


中国の株価への影響はさらに大きい。上海の総合株価指数は先週1週間で4.4%下落。年初から13%下げた計算になります。株価では、アメリカが中国より優勢と言えます。


一方で、「貿易戦争」はまだ始まったばかりとの指摘があります。トランプ大統領は2020年の選挙で再選を目指しています。議会は2年ごとに改選されます。これに対し、中国の習近平国家主席は選挙を恐れる必要がない。習近平主席は関税の消費者への影響を気にする必要がないという強みがあると、バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチのエコノミストがバロンズにコメントしました。


「貿易問題は一服」


トランプ大統領が就任してから約1年半。短い歴史ですが、トランプ大統領発の悪材料は5日後に一服するのが典型的なパターンです。トランプ大統領が2000億米ドル相当の中国からの輸入品に追加関税を課すことを検討するとコメントしたのが18日。5日後の22日のニューヨーク株式相場は上昇、ダウは9日ぶりに反発しました。


「貿易戦争」への懸念が株式相場の重石となる状況は当面続くとみられますが、先週初めにみられた過度の懸念は一服しました。500億米ドル相当の中国製品に対する25%の関税の発動が7月6日。それを睨んだ米中の駆け引きが当面の相場に影響することが予想されます。


今週発表されるアメリカの経済指標では、水曜日の耐久財受注、金曜日の個人所得と個人支出、シカゴのPMIが材料になる可能性があります。


「3つの懸念」


今週で6月、第2四半期(4−6月)が終わります。来週は独立記念日(7月4日)を挟み休暇モードが高まることが予想されます。その後、企業の業績発表にウォール街の関心が移ります。


元ファンドマネージャーのCNBCのコメンテーター、ジム・クレマー氏は四半期決算について3つの懸念があると指摘しました。


米中の「貿易戦争」をはじめとする国際的な緊張、米ドル高、そして原油などコモディティ価格の上昇の3つです。主要企業が慎重な業績見通しを示す可能性があり、株価を押し下げるだろうと警告しました。


ダウは22日の取引で9日ぶりに反発しましたが、クレマー氏は「売られ過ぎの反動だろう」としています。ニューヨーク株式相場の上昇基調は変わりつつあると予想しました。


[June 25, 2018 NY 106] 

※本文中に記載する内容は主に現物株をベースとしています。

筆者プロフィール

松島 新(まつしま あらた)

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。 ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。 平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。 現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

  • ※当レポートは、情報提供を目的としたものであり、特定の商品の推奨あるいは特定の取引の勧誘を目的としたものではありません。
  • ※当レポートに記載する相場見通しや売買戦略は、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析などを用いた執筆者個人の判断に基づくものであり、予告なく変更になる場合があります。また、相場の行方を保証するものではありません。お取引はご自身で判断いただきますようお願いいたします。
  • ※当レポートのデータ情報等は信頼できると思われる各種情報源から入手したものですが、当社はその正確性・安全性等を保証するものではありません。
  • ※相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。

バックナンバー

タイトル一覧(月別)