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悪材料に反応薄、「1998年リスク」は

2018/06/11 12:46

「予想以上の勢い」
G7サミットをG6+1にするとフランスのマクロン大統領が主張。鉄鋼とアルミニウムの関税に対抗し、メキシコ政府がアメリカの農産物などに報復関税を課すと発表。中国との貿易協議はこう着状態。悪材料が相次いだにもかかわらず、先週のニューヨーク株式相場は大幅に上昇しました。


ダウは週間ベースで681ポイント高、率にして2.77%上げました。S&P500は1.62%上昇、ナスダックは1.21%高でした。NYSEに上場している銘柄の2086が上昇、下落は998でした。


「ダウが681ポイントも上げると誰も予想しなかった」。バロンズがこう伝えました。フォーブスは、週間ベースの株価上昇が、一段高になることを示唆しているとするコラムを掲載しました。


「材料豊富」
今週のニューヨーク株式マーケットは材料が豊富です。


FRBが金融政策を決める会合(FOMC)が火曜日から2日間の日程で始まります。火曜日には、アメリカの消費者物価指数が発表されるほか、シンガポールでは歴史的な米朝首脳会談が実施されます。


FOMCは水曜日に声明、メンバーの金利見通しなどを公表。パウエル議長の記者会見が予定されています。0.25%の利上げがコンセンサス予想ですが、その後の利上げについてどう示唆するのかが焦点になります。


今週はさらに、木曜日に5月の小売売上高、金曜日に鉱工業生産、ニューヨーク連銀の製造業景気指数、ミシガン大学の消費者信頼感指数が発表されます。いずれも注目度が高いデータ。ただ、弱い数字が出ても影響は限定的だとの見方が少なくありません。


経済のファンダメンタルズの強さに加え、ニューヨーク株式相場を下支えすると指摘されているのが外国からの資金流入です。


イタリア政局などユーロ圏の不透明感、ブレグジット(イギリスのEU離脱)への懸念、アメリカの保護主義を受けた貿易摩擦、中東情勢など。地政学リスクが多く存在しますが、アメリカ国内には免疫があり、経済が悪化する可能性は低いとみられています。


バロンズによりますと、バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチのストラテジストは、「1998年リスク」が再び起こる可能性があるとみています。新興国の金融危機がきっかけで世界同時株安が起こりました。ただ、最終的に、新興国などに投資した資金がアメリカに流れました。地政学リスクの影響を一時的に受ける可能性があるものの、資金流入がニューヨーク株式相場を支えるとの見方です。


「問われるトランプ交渉術」
カナダのケベック州シャルルボアで開催されたG7サミット。首脳宣言が一旦採択されましたが、カナダのトルドー首相の「関税は侮辱的、アメリカの言いなりにはならない」とする発言に怒ったトランプ大統領が最後の最後に宣言を承認しませんでした。


米朝首脳会談に向かう途中、ツイッターで発表したもの。トランプ大統領はまた、輸入車に対する関税導入の可能性も示しました。ドイツや日本に打撃になる可能性があります。


G7サミットは混乱のまま終わり、G7の結束を示すことに失敗しました。


世界の関心はカナダからシンガポールに移りました。中国の商業機でシンガポールに到着した金正恩朝鮮労働党委員長に続いて、トランプ大統領が10日夜、シンガポールに到着しました。


トランプ大統領はシンガポール中心部のシャングリアホテルに宿泊。キム委員長はすぐ近くのセントレジスに滞在しているとみられています。12日の会談はリゾート地のセントーサ島のカペラホテルで、現地時間の午前9時に始まります。


北朝鮮の核の放棄が最大の焦点ですが、金委員長が即時放棄に応じるとはみられず、予断を許しません。トランプ大統領は「金委員長が本気かどうかは最初の1分でわかる」と話していますが、トランプ大統領の独特の交渉術が通用するかどうか。会談の結果が、ニューヨーク株式相場にも影響するとみられます。

[June 11, 2018 NY 104] 
 

※本文中に記載する内容は主に現物株をベースとしています。

筆者プロフィール

松島 新(まつしま あらた)

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。 ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。 平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。 現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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