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神経質なダウと対中貿易摩擦

2018/06/04 11:20

「輸入関税問題」


先週のニューヨーク株式マーケットは材料が豊富でした。


週前半、政治混迷を背景にイタリア国債が急落したことを材料に、株式相場が崩れました。ユーロ圏の新たな危機とする懸念が強まりました。


トランプ政権が、同盟国のカナダ、メキシコ、EUから輸入する鉄鋼とアルミニウムに対し輸入関税の適用に踏み切ったことも株式相場に影響しました。対象となったNAFTAの2カ国とEUが激しく批判、報復関税の導入を発表しました。貿易をめぐる緊張が株価を押し下げました。


しかし、週終盤には、イタリアで連立政権が発足、混乱が一服しました。注目されたアメリカの5月の雇用統計は予想を上回る内容。株式が買い戻されました。


ダウは週間ベースで117ポイント、率にして0.48%下げました。一方、S&P500は0.49%高、ナスダックは1.62%上昇しました。


先週の展開を振り返ると、FRBが利上げペースを速めるとの懸念の影響が軽減していることが伺えます。強い1月の雇用統計が発表された2月2日、ニューヨーク株式相場が大きく崩れました。しかし、今回は逆に上昇しました。FRB幹部が、インフレ率が2%の目標を超えても容認するとの姿勢を示したことで安心感があったのかもしれません。


もう一つ。輸入関税をめぐる懸念でダウが軟調に推移したのに対し、ナスダックは反応薄でした。輸入関税の影響は、テクノロジー株よりアメリカを代表する30社(ダウ銘柄)への打撃が大きいと投資家がみていることを示しています。これまで相場をけん引してきた銘柄の割高感が指摘されていることも影響している可能性があります。


「通商問題」


今週発表されるアメリカの経済指標は少なめです。株価に影響する可能性があるのは、水曜日発表の4月の貿易収支。


決算発表で注目されるのは金曜日の食品大手JMスマッカーのみ。月曜日のアップルのイベント「WDC」、水曜日に予定されるグーグルの親会社アルファベットの株主総会が株価に影響する可能性があります。


最大の材料となりそうなのが通商問題です。ウォール街は、中国との貿易をめぐる協議、NAFTA交渉の行方を引き続き注目しています。8日からカナダのケベックでG7首脳会議が開かれますが、保護主義色を強めるトランプ大統領への批判が強まりそうです。


「合意に至らず」


トランプ政権のロス商務長官が2日訪中、劉鶴副首相と3度目の閣僚級貿易協議を行いました。5月中旬のワシントンでの協議で基本合意した中国の対米黒字の削減に向け話し合いましたが、意見は食い違ったままでした。ウォールストリートジャーナルは、アメリカと中国が合意しないまま貿易協議を終えたと詳しく報じました。


中国の新華社通信によりますと、農業やエネルギー分野などで協議は「確実に前進」しました。ただ、詳細では合意に至りませんでした。「アメリカが制裁関税を発動すれば、協議での合意が無効となる」と伝えました。つまり、アメリカが制裁を科せば、中国は合意したアメリカ製品を購入しないことを意味しています。


ロス長官が帰国後にどう発言するか。報告を受けたトランプ大統領がどう反応するか。中国はどう動くか。今週のニューヨーク株式相場に大きく影響する可能性があります。


 [June 04, 2018 NY 103] 
 

※本文中に記載する内容は主に現物株をベースとしています。

筆者プロフィール

松島 新(まつしま あらた)

昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。 ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。 平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。 現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。

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