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NY株に勢い、米国債利回りにらむ
2018/02/26 09:22
「高く終わる」
ニューヨーク株式マーケットの主要株価指数であるダウは、先週23日金曜日、348ポイント(1.39%)上昇しました。
投資家が注目したのは米10年債利回り。2月以降、利回りは3%に向かって上昇基調にありました。利回りの上昇はインフレ期待の高まりを示し、株式相場にはネガティブに影響することが多くあります。米10年債利回りは先週後半に低下、安堵感が広がりました。
週間ベースでは、ダウは91ポイントもしくは0.36%上昇しました。S&P500は0.55%上昇、ナスダックは1.35%上げて、1週間の取引を終えました。
先週は、GEが個別に売られました。ダウの構成銘柄ですが、業績見通しは不透明。週間ベースで4%下げました。ナスダックやS&P500と比べ、ダウの週間上昇率が低かったのはGEの下げによる影響が大きい。
「パウエル議長の証言」
今週のニューヨーク株式マーケットは、先週末の勢いが継続するかどうかが焦点です。
最大の注目は、27日に予定されているFRBのパウエル議長の議会証言です。半期に1度、FRBのトップが議会で金融政策を報告するものです。パウエル議長が公の場で発言するのは、就任後初めてのことです。
パウエル議長の発言に米国債利回り、金利先物が敏感に反応する可能性があります。ハト派的な発言が出れば、利回り(金利)が低下、好感して株式相場が上昇する可能性があります。逆のパターンでは、株が売られそうです。米10年債利回りが3%を超えると、株式相場が大きく崩れると警戒するマーケット関係者は少なくありません。
経済指標では、火曜日発表の耐久財受注、水曜日のGDP改定値、木曜日のPCEデフレーターと製造業PMI、金曜日のミシガン大学消費者信頼感指数が材料になる可能性があります。
1日木曜日には、自動車メーカー各社が2月の新車販売台数を発表します。やや低調な新車販売が続いていて、販売が上向くか注目です。
「バフェット氏の手紙」
投資会社バークシャー・ハサウェイの会長で、著名な投資家であるウォーレン・バフェット氏は24日、恒例の株主への手紙を公表しました。
M&Aで成長したバークシャー・ハサウェイは、このところ大型買収が減りました。バフェット氏は株主への手紙の中で、買収価格が高騰したとして、M&A活動に消極的になっている理由を説明しました。株式相場の水準に対し直接的な言及は避けました。
ウォールストリートジャーナルは、魅力的な価格で買収できる大手企業が見つからないこともあり、バークシャー・ハザウェイは積み上がった手元資金で米短期国債を買い続けていると報じました。保有高は世界最大級になっているとしています。
株式マーケットは米国債の利回りの変化に敏感です。大口の債券トレーダーとも言えるバフェット氏の動向が米国債の利回りに影響、結果として株式マーケット全体にも影響する可能性があります。
[February 26, 2018 NY 089]
※本文中に記載する内容は主に現物株をベースとしています。
筆者プロフィール

松島 新(まつしま あらた)
昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。 ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。 平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。 現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。
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