週刊2分でわかるNYダウNYダウ平均株価の情報をタイムリーに、より分かりやすくお伝えするレポート
10月にらむ一部投資家
2017/07/10 08:48
「緩和終了議論も堅調」
先週のニューヨーク株式相場は小幅高でした。ダウは0.30%上昇しました。S&P500は0.07%高、IT関連株の寄与度が高いナスダックは0.21%上昇しました。
FRBの前回の会合の議事録が公表されましたが、量的緩和の縮小が議論されていることがわかり、年内にあと1回の利上げがあるとの観測も広がりました。
金融引き締め方向、もしくは金利が上昇する場合、株式相場が下落するケースが多いです。企業の金利負担が増えるから。リスクが高いとされる株式市場からマネーが流出する傾向があることなどが背景です。
いまはそのタイミング。しかし、株価は崩れない。企業業績が強く、株価が堅調に推移しています。
ファンドマネージャーらがベンチマークにしているS&P500の構成銘柄の株価は12カ月後の利益見通しの17.6倍で取引されています。歴史的には高めですが、2000年のドットコムバブルと比べるとまだまだ低い。ブル(強気)派はまだ上昇余地があると考えています。
CNBCの人気コメンテーターのジム・クレマー氏は、7日発表の6月の米雇用統計で非農業部門の雇用者数が予想以上に増えたことについて、「雇用が増えれば、車や住宅を買う人が増える。不動産株のほか、銀行株やテクノロジー株に追い風だ」とコメントしました。
「イエレン証言」
今週のニューヨーク市場では、FRBの金融政策が最大の材料です。
月曜日10日、サンフランシスコ地区連銀のウィリアムズ総裁がオーストラリアのシドニーで講演。翌11日は、FRBのブレイナード理事とミネアポリス地区連銀のカシュカリ総裁がそれぞれ講演します。
そして12日と13日には、FRBのイエレン議長が議会で証言する予定です。政策金利、バランスシートの縮小、インフレ率見通しなど幅広い質問が予想され、注目です。
今週はまた、ペプシコ(11日)、デルタ航空(13日)が四半期決算を発表します。そして、14日金曜日は、シティグループ、JPモルガン・チェース、ウェルズ・ファーゴの大手銀行が決算発表を予定しています。注目です。
さらに、アマゾンの「プライムデー」(11日)が消費動向をみる上で関心を集めています。14日には、アメリカ商務省が6月の小売売上高を発表します。
「10月急落説」
ニューヨークにいる証券業界の知人が「今後、株価が軟調に推移し、10月に大幅に調整する可能性がある」とみています。ただ、トランプ政権の減税への期待感からいずれ反発すると予想、10月は絶好の買いチャンスになるとしています。
10月前に株価が急落するとの見方もあります。元共和党の下院議員で投資家のロン・ポール氏は先週、CNBCに対し「10月までに株式相場が25%下落、金相場が50%上昇しても驚かない」とコメントしました。S&P500は1819ポイントまで下げ、金相場は1867米ドルまで上昇するとの見方です。FRBの金融緩和の期間が長すぎたとしています。
CNBCによりますと、ポール氏は去年6月にも類似した弱気な見方を示しました。しかし、それ以降、ダウは24%上昇、S&P500は21%上昇しました。これについてポール氏は、「単純に時期がずれただけだ」と述べました。あくまでも弱気を貫きました。
[July 10, 2017 NY 057]
※本文中に記載する内容は主に現物株をベースとしています。
筆者プロフィール

松島 新(まつしま あらた)
昭和60年慶大卒後、テレビ東京入社。 ブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長、「ワールド・ビジネス・サテライト」担当。 平成13年ソニー入社後、CEO室、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカのバイスプレジデントなど歴任。 現在、金融情報サービス会社Market Editorsにて、エグゼクティブエディター(ジャーナリスト)として情報提供に携わる。ロサンゼルス在住。
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